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第33話:【デス運動会・後半戦】全員参加の「騎馬戦」を宇宙規模の空中戦にバグらせてみた



「――って、配信締めたフリして運動会続いてるじゃんかぁぁぁーーッ!?」



夕焼けに染まりかけたグラウンドの中央で、数万ボルトの電気縄跳びからなんとか命からがら生還した不憫な神様(※彼は一応表現と芸能の神様です)ことリデーレ(りーくん)は、バグ花火が空でパチパチと弾ける中、血吐くような叫び声を上げていた。


前回の「デスデス大運動会」前半戦(人食いワニ&バグコード雨あられ、マグマ床、電撃大縄跳び)によって、全校生徒の9割は白目を剥いてグラウンドに転がっている。


しかし、スマホのカメラは依然として赤く点灯し、「LIVE」の文字を眩しく輝かせていた。



▶:『「おつろいでー!」からの「はい、後半戦いきまーす!」草』


▶:『りーくんの安堵した顔からの絶望の表情変化助かる』


▶:『チャンネル登録者数3800万人突破ペース早すぎて草』


▶:『モデレーターコンビ(セレスティア&ゼノス)の手際が良すぎるんだよな』



スマホのチャット欄には、終わらないデスゲームに歓喜する数千万人の視聴者たちのコメントとスパチャが、まるで滝のように雪崩れ込んでいる。


ろいでは、ダボダボの萌え袖パーカーのフードを頭にすっぽりと被り、足元の198円のスリッパで地面を「キュッ、キュッ」と鳴らしながら、特等席のソファから立ち上がった。



「んー、花火打ち上げたら締まった感じするかなって思ったけど、みんなから『まだ騎馬戦やってない!』ってスパチャがいっぱい来たから、延長戦いくね」



「リスナーの言いなりになるなよ!! 運動会の花形だけど、絶対普通の騎馬戦にならないでしょこれ!!」



リデーレの真っ当すぎるツッコミに対し、審判姿のセレスティアとゼノスが、待ってましたと言わんばかりにメガホンを構えて前線へ躍り出た。

「全校生徒の皆様! ろいで様のご意向により、運動会最終種目『超次元・神魔大騎馬戦』を開始いたしますわ!」



「各組、ただちに騎馬を組むように! なお、騎馬の土台となる者は『重力倍増の呪い』がかかり、上の『騎手』がハチマキを奪われた瞬間、騎馬全体が上空10,000メートルへと爆発四散しながら打ち上げられます!」



「どんな命がけの騎馬戦だよ!! ハチマキ取られたら即・宇宙進出じゃんか!!」



絶叫するリデーレを余所に、全校生徒たちは「ろいで様の御前で無様な姿は見せられぬ……!」「ハチマキを死守して単位と命を持ち帰るぞー!」と、狂信者特有の決死の覚悟でゾロゾロと騎馬を組み始めた。


そして、なぜかろいでの足元には、先ほどチョコレートで手懐けられた「人食いワニ」、元・魔界生徒会長候補の「ゼノス」、そして学園地下の元・ボス「タコ足海獣王」の三体がズラリと並び、完璧な『最強の騎馬』を形成していた。



「ろいで様! 土台の準備は完了いたしました! どうぞ我が背をお踏み台ください!」



「ろいで様を背中に乗せられるなど……このゼノス、生きていてよかった……っ!」



「ワニもガウガウ(光栄です)と言っております!」



「なんで魔王と悪魔とワニで騎馬組んでんだよ!! 物理的にも絵面的にも属性が渋滞しすぎだろ!!」



呆れ果てるリデーレだったが、ろいでは「よいしょ」と軽やかな動作でその不気味すぎる騎馬の上に飛び乗ると、頭に蛍光ピンクの【神権ハチマキ】をキュッと巻き直した。



「じゃあ、りーくんもあっちの騎馬のトップね」



「へ? あっちって――」



リデーレが振り向くと、そこには白目を剥いて気絶しかけている教頭先生と、全身黒コゲのモブ悪魔生徒二人が、ガクガクと膝を震わせながらリデーレを担ごうと待機していた。



「嫌だぁぁぁ! 僕の騎馬、耐久値ゼロの豆腐アセンブルじゃんか!! 一瞬で空中分解するわ!!」



「大丈夫、UI書き換えて浮遊感出しておくから」



ろいでがスマホの画面をシュッとスワイプし、空中に浮かぶ【神権バグUI】をタップした。


瞬間――。


グラウンド全体を覆っていた重力が歪み、ピンク色の光の粒子が爆発的に弾け飛んだ。



【神権:神回ゴッド・ストリーム】を発動。



私の視界が激しいデータグリッチとともに、グラウンドの空間そのものを「無重力のSF空中戦ステージ」へとリライトしていく。



【オブジェクト:神魔大騎馬戦エリア】



【実行アクション:地上でハチマキを奪い合い、単位を競う】



【変更後実行アクション:「全騎馬が上空へ浮上し、宇宙空間でレーザーと魔法が飛び交うSFドッグファイト(観客の投票で軌道変更)」に強制変換】



「――えっ……!? 体が……浮く……!?」



リデーレの悲鳴とともに、グラウンドにいた数十組の騎馬が一斉に浮き上がり、そのまま音速を超えて上空へと垂直上昇し始めた。



眼下にはみるみるうちに小さくなっていく学園の校舎、そして雲海を突き抜け、一瞬で漆黒の宇宙空間と青い地球が視界いっぱいに広がる。



「宇宙に来ちゃったぁぁぁーーッ!? 息! 息ができるのはなんで!? バグなの!? バグの力なの!?」



「あ、宇宙空間の空気UIはONにしておいたから大丈夫」



「親切なんだか狂ってるんだか分かんないよ!!」



▶:『うおおおお! 運動会が急にSFアニメの宇宙決戦になったwww』


▶:『騎馬戦(物理)じゃなくて艦隊戦なんだよなぁ』


▶:『りーくんの騎馬、宇宙の藻屑になりそうで草』


▶:『ろいでちゃんの騎馬(海獣王・ゼノス・ワニ)の威圧感やばい』



無重力の宇宙空間で、生徒たちの騎馬がバーニアのような光を放ちながら縦横無尽に飛び交う。



「ハチマキを渡せぇぇーーッ!」



「ろいで様にハチマキを献上するのだぁぁッ!」



ドカン! バババババッ! と、生徒たちの手から放たれた魔力レーザーが宇宙空間で激しく交差する。


ハチマキを奪われた騎馬は、爆発エフェクトとともに「キャアアアアッ!」と地球へ向かって流星のように再突入(落下)していった。


その凄まじい混沌の中、ろいでの乗る超絶騎馬は、ゆっくりと宇宙を泳ぐようにリデーレの脆弱な騎馬へと接近していった。



「あ、りーくん見ーっけ」



「来ないで! 頼むからこっち来ないで! 僕の騎馬、教頭先生の腰がもう限界なんだ!!」



「はい、ハチマキいただきまーす」



ろいでが萌え袖の手をひらひらと伸ばし、リデーレの頭に巻かれたハチマキの端を「チョン」とつまんだ。


瞬間――。



【判定:リデーレチーム、ハチマキ喪失。強制脱落(大気圏再突入コース)へ移行します】



「ギャアアアアアアッ!! だから言っただろぉぉぉーーーッ!!」



教頭先生たちの腰が崩壊すると同時に、リデーレたちの騎馬は盛大な爆発音とともに地球のグラウンドへ向かって猛スピードで逆噴射落下を開始した。



「助けてろいでちゃぁぁぁぁん!! 摩擦熱で僕の自慢の超派手な髪の毛が燃えるぅぅぅーーッ!!」



落ちていくリデーレの断末魔の悲鳴が宇宙空間に響き渡り、チャット欄は本日一番の「wwwww」とスパチャの嵐で埋め尽くされた。



▶:『りーくん流星になってて草』


▶:『きれいな大気圏再突入だなあ(白目)』


▶:『ろいでちゃん、圧勝おめでとう!』



ろいでは、地球へと落ちていくリデーレの流星を背景に、宇宙空間でプカプカと浮かびながら、タピオカミルクティーを手にカメラへ微笑みかけた。



「というわけで、第1回デスデス大運動会、優勝は私でーす。みんな、宇宙での応援ありがとね。それじゃあ今度こそ――おつろいでー!」



パァン! と、宇宙空間にド派手な「【神回認定】」のピンク色のバグスタンプが打ち上げられ、学園史上最もカオスで宇宙規模な運動会は、ろいでの圧倒的勝利(とリデーレの地上激突)をもって幕を閉じたのだった。



(つづく)

本日、【21:00〜】33話〜38話を連続公開します!

【このあとすぐ】34話を【21:15】頃に投稿します!

誰か優しい方!一人でもいいのでこの作品に

評価やブクマをつけてくれたら嬉しいです!

モチベが急降下して常に涙目です……

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