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第29話:【定期テスト崩壊】学園の筆記試験を「リスナーアンケート」に書き換えてみた件




「――で、ネオンピンクに染まったパリピ教室の次は、よりによって『全校一斉・古代魔導筆記テスト』ですかぁ……」



天井の穴から降り注ぐ微量の雨を、ろいでが適当に張った謎のモザイクバグで弾きつつ、不憫な神様(一応彼は表現と芸能の神様です)ことリデーレ(りーくん)は、教壇の隅で深い深ーーい溜息をついていた。


ゼノスとセレスティアという学園の誇る二大エリートを「公式信者モデレーター(パシフィック枠)」として秒で調教(再教育)し、学園の生態系を完全に崩壊させた前回の事件から数日。


平穏な日常が戻るわけもなく、神魔統合学園は今、年に一度の「進級判定・全校一斉筆記テスト」のシーズンを迎えていた。


大講堂のひな壇にずらりと並べられた机の上には、呪術的な魔力が込められた分厚い試験用紙がドンと置かれている。


このテストで赤点を取ろうものなら、即座に留年、あるいは過酷な煉獄送りとなるガチの難所だ。


エリート生徒たちは朝から青い顔をし、冷や汗を流しながら参考書にかじりついていた。



▶:『おっ、定期テスト回キターーー!』


▶:『赤点回避RTA始まるぞ』


▶:『ろいでちゃん、勉強できるイメージ全くない件』


▶:『りーくん、ここで赤点取ったらどうなるの?』



スマホのチャット欄には、すでにテストの難易度そっちのけで「ろいでがどうやってこの難局をバグらせるのか」を楽しみにする野次馬たちが数千万人の規模で群がっている。


そんな中、教壇の上には、魔界の生徒会長候補のゼノスが、なぜか「モデレーター腕章」を誇らしげに装着し、完璧な直立不動の姿勢で試験監督を務めている。



「静粛に! 皆様、まもなくテストが開始されます! ろいで様のテスト用紙にゴミ一つ落とした者は、直ちに私の手で地獄の底へ叩き落とします!」



(いや、お前が一番生徒としてテスト受けなきゃいけない立場でしょ……何監督気取ってんの……)



リデーレが心の中で盛大にツッコミを入れていると、講堂の扉がガチャンと開き、試験官である鬼の教頭が、恐ろしい形相で分厚い問題用紙の束を配り歩いてきた。



「コホン! 今年もこの血を吐くような筆記試験の季節がやってきた。制限時間は60分。過去の古代魔法の呪文体系、神聖幾何学の複雑な数式、および魔力回路の逆算構造について、一言一句違わずに記述せよ! 不正行為は一発退学だ!」



鬼の教頭の怒号が講堂に響き渡る。


生徒たちは一斉にペンを走らせ始めたが、その問題用紙を見た瞬間、あちこちから「無理だこんなの……!」「数式が呪詛みたいになってて頭が割れる……!」と絶望の悲鳴が上がった。


一方、ろいでの机の上に置かれた試験用紙もまた、文字がびっしりと詰まった禍々しいデザインの代物だった。


ろいでは、ダボダボの萌え袖パーカーのポケットから片手を出し、その試験用紙をじっと見つめる。



「んー、文字多くて読むのめんどくさいねこれ」



「ちょ、いくらなんでも白紙で提出したら一発で退学処分だよ! ちょっとは足掻いて!」



「大丈夫。UIアップデートしとくから」



ろいでがスマホの画面をシュッとスワイプし、空中にポップアップさせた【神権バグUI】を軽やかに操作した。


瞬間――。


講堂全体を包み込んでいた重苦しい試験の空気が、パァン、と軽い電子音とともに書き換えられた。



【神権:神回ゴッド・ストリーム】を発動。



私の視界がデジタルノイズでピンク色に明滅し、全校生徒に配られた「古代魔導筆記テスト」の試験用紙が瞬時に別のオブジェクトへ変換されていく。



【オブジェクト:全校一斉・古代魔導筆記テスト用紙】



【実行アクション:難解な呪文と数式を記述し、生徒の魔力を削る】



【変更後実行アクション:「今夜の夕飯のおかずは何がいい?」のリスナーアンケート形式(選択肢:①ラーメン、②カレー、③焼き肉、④ろいでちゃんの残り汁)に強制全校一斉ブラウザ変換】



「――なっ……!?」



試験官である鬼の教頭が、手元にあった分厚い問題用紙に目を疑った。



先ほどまで恐ろしい古代呪文が書かれていたはずの紙面が、眩いネオンピンクのフォントに変わり、画面の中央に巨大な選択肢の投票ボタンが浮かび上がっている。



『【アンケート】今夜の夕飯のおかずは何がいい?』


『① ラーメン』


『② カレー』


『③ 焼き肉』


『④ ろいでちゃんの残り汁』



「なんだこれはぁーーっ!? テスト用紙が突然の居酒屋アンケートに改ざんされたぞーーっ!?」



教頭の絶叫を皮切りに、講堂全体が盛大にざわめき立った。


エリート生徒たちは、目の前にある「④ ろいでちゃんの残り汁」という狂気に満ちた選択肢を二度見し、冷や汗を流しながらペンを止める。



▶:『④の圧勝不可避なんだが』


▶:『待って、試験の合否がリスナーの投票数で決まる神ゲーと化したぞ』


▶:『ろいでちゃん、発想が天才すぎて草』


▶:『りーくん、④に一票入れとけ』



スマホのチャット欄は、一瞬にして「④を推すコメント」で埋め尽くされ、数千万人のリスナーたちが一斉に投票ボタンを連打し始めた。



「ちょ、ろいでちゃん! テストをアンケート機能に変えるな! これじゃ学園の単位認定が完全にインターネットのノリで決まっちゃうだろ!!」



「えーだって、テストの点数より今日の晩御飯の方が大事でしょ」



「大事かもしれないけど学生の本分をどこに置いてきたんだよ!」



見かねたリデーレがやたらキラキラと輝くうるさいエフェクトを鳴らしながら抗議するが、もはや時すでに遅し。



スマホの画面に表示されたリスナーアンケートの投票率は、一瞬にして「④(ろいでちゃんの残り汁)」が99.8%を叩き出し、画面全体にド派手な「【大正解・神回認定】」のスタンプが爆誕した。



ビビビーッ! と、講堂の天井から金色の紙吹雪が舞い散り、試験用紙に書かれていた文字が自動的に「全員合格・単位認定完了」へと書き換わっていく。



「な……なんだこの圧倒的な全会一致の空気感は……! 私としたことが、この選択肢を見ているとなぜか④を選ばなければならないような強烈な使命感に駆られる……!」



鬼の教頭は、自らのプライドと教育者としての矜持が崩れ去っていく音を聞きながら、震える手でテスト用紙の「④」にチェックを入れざるを得なかった。


後ろに控えていたエリート生徒たちも、ゼノスやセレスティアを含め、全員が従順に「④」に丸をつけ、清々しい笑顔で答案用紙を提出していく。



▶:『全校生徒がリスナーの言いなりになってて草』


▶:『テストの採点が完全にSNSのアンケート機能依存で草』


▶:『ろいでちゃん、この学園もう乗っ取り完了してるやん』



チャット欄の熱狂は止まることを知らず、【視聴者熱狂度(MP)】はさらに限界突破の数値へと駆け上がっていく。


こうして、神魔統合学園の歴史に残る「全校一斉・古代魔導筆記テスト」は、ろいでの配信アンケートによって完全にハックされ、全校生徒が「晩御飯のメニュー」に真剣に向き合うだけの平和な(?)大茶番へと変貌を遂げたのだった。



――次なるステージは、学園の深部に眠る「禁断の地下ダンジョン配信」へ……!?



(つづく)

本日【14:00〜】21話〜32話を連続投稿します!

【このあとすぐ】30話を【14:45】頃に投稿します!

ぜひ見てください。

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