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第13話:【急展開】魔王軍の幹部が「我が軍の四天王にスカウトしたい」とDMしてきた件




「――はい、というわけでね! 高級ホテルの一室から、本日の深夜雑談配信スタートでーす! 現在の同接はなんと780万人! みんな高評価よろしくねー!」



S級冒険者をゴミ捨て場へポイした後に手に入れた莫大なスパチャ(と、ハッキングでログインボーナス化した高級ポーションの売却益)を使い、私は街で一番高い最高級ホテルのスイートルームにチェックインしていた。


ふかふかのシルクのベッドの上で、ダボダボのパーカーを着たままスリッパを脱ぎ捨てて、のんびりとスマホのチャット欄を眺める。



▶:『高級ホテル配信助かる』


▶:『国から指名手配されてるのに優雅すぎだろww』


▶:『宿の受付の人、手配書の筋肉ポーズとろいでちゃんが一致しなくて普通に通してて草』


▶:『完全に情報のバグの恩恵受けてるわ』



「いやホントそれね。あのマッスル人相書きを描いた人には、今度お礼のスパチャでも送りたいレベル。……ん? 雑談の最中だけど、なんかチャット欄に、無駄にめちゃくちゃ目立つ『紫色の限定アカウント』からメッセージが届いてるんだけど」



画面の隅っこに、禍々しい紫色のオーラを放つ【ダイレクトメッセージ〈DM〉】の通知が、パチパチとバグるようにポップアップした。


そこには、赤黒い文字でこう書かれている。



【アカウント名:堕天の黒翼・ヴァルザード(魔王軍四天王)】



【メッセージ:突如として現れし災厄の魔女、マッスルろいでよ。人類最高峰のS級冒険者をも一瞬で消滅させた貴様の圧倒的な暗黒の力、実に見事であった。どうだ、我ら魔王軍の『五人目の四天王』として、世界を恐怖のどん底に陥れる王座に就く気はないか? 報酬は金貨10万枚と、人間の領地を3つ差し出そう】



私がその文章をそのまま声に出して読み上げると、一瞬の静寂の後、チャット欄がマッハの速度でスクロールし始めた。



▶:『え????????????』


▶:『魔王軍から公式マークつきのアカウントでDM来たんだけどww』


▶:『四天王の5人目って何!? 計算バグってんぞ!!』


▶:『魔王軍のスカウト方法、現代的すぎて草。SNSで裏垢スカウトする業者かよ』


▶:『領地3つとかいうパワーワードwww』



「ねえ、りーくん。魔王軍の四天王って、配信のDMでヘッドハンティングしてくるのが普通なの? 異世界の就職活動、ちょっとフランクすぎない?」



『そんなわけないだろぉぉぉ!!!』



ヘッドホンの中から、音量3%のりーくんが本日一番の限界絶叫をあげる。



『ヴァルザードといえばね! 1万の不浄な軍勢を率いて数々の王国を滅ぼしてきた、文字通り世界の終わりを体現する大悪魔だよ!? そんな存在が、なんで君の配信のアカウントを特定して、スパムメールみたいに直談判してきてるんだよ!! 世界のパワーバランスがネット求人並みに崩壊しちゃうよ!!』



「えー、でも完全に『マッスルろいで』宛てに連絡きてるし。……よし、じゃあこの自称四天王のお兄さん、せっかくだから配信の『ゲスト』として通話に繋いでみよっか。ポチッと」



私が画面の【通話開始】ボタンを押した、まさにその瞬間だった。



ズズズ、ズガガガガッ!!!



最高級ホテルの美しい部屋の空間が、突如として激しく歪み、黒い稲妻がバリバリと走った。


ベッドの目の前に、禍々しい漆黒の巨大な魔法陣が出現し、そこから巨大な黒い翼を生やし、頭部に悍ましい二本の角を持つ、圧倒的な威圧感の銀髪でイケメンの悪魔が姿を現した。


これこそが魔王軍四天王の一角、ヴァルザードその人であった。



「くはははは! 通話ボタンを押した瞬間、我が転移魔術の術式を同期させて強制介入させてもらったぞ! さあ、災厄の魔女よ、我が魔王軍への参加を――」



威風堂々と腕を組んで勝ち誇る大悪魔。


しかし、その目の前に突きつけられたのは、ドローンカメラの超高画質レンズと、ネオンピンクに輝く私のスマホの画面だった。



「はい、というわけでみんな! 今日の雑談配信、急遽スペシャルゲストとして魔王軍の四天王、ヴァルザードさんが凸待ちに来てくれましたー! パチパチパチパチ!! 現在の同接はついに850万人突破!!」



「……は? 凸待ち……? 850万人……? 貴様、先ほどからその奇妙な鉄の球体に向け、何を喋って――」



「あ、ヴァルザードさん、ちょっとカメラの画角からハミ出てるんで、もう一歩後ろに下がってもらっていいですか? あ、そこそこでーす。はいチーズ!」



カシャッ! とマヌケなシャッター音がスイートルームに響き渡る。


世界を滅ぼす大悪魔が、ただの「配信の初コラボ相手」として扱われた瞬間、チャット欄は完全に腹筋崩壊の渦に包まれたのだった。



(つづく)

11話、12話、13話一挙投稿したのでぜひ見ていただけたら嬉しいです!

次回【14:00】頃に3話連続投稿します!

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