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オンナけもの、ふたりゆるりと。 〜アナグマ作家と銀狼OLの生活記録〜  作者: かかからす


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11/12

Episode 11 高校の文化祭訪問

 今日も今日とて、実家にご飯を貰いに行くのは私こと高梨鈴。

 一人暮らしの家は誘惑が多すぎて執筆が進まないのもいけない。

 というわけでバスで実家に向かって行こうとしたところ。

 やけにバスがぎゅうぎゅうだ。

 土曜日の朝なのに。通学じゃあるまいし。

 私服を着た中年くらいの大人のヒトやケモノが目につく。

 私はバスの揺れに合わせてぎうとカバンを押し付けられながら辟易していた。

 とある駅で一気に人波が去っていった。ここはとある高校のそばだったような。

 気になってAIに雑談を振ると、本日まさに文化祭が始まっていたらしいとのこと。

 そして一般参加も可能だとAIに告げられる。

 ふむ。文化祭か。大学の学園祭なら成人してからも行ったことはあるが。

 ここはひとつ、行ってみるか。

 とは思ったが、バスはもう実家のそばだ。

 とりあえず一旦実家に寄って荷物を整理してから行こう。

 心に決めて、私は降りるボタンを押した。


 調べてみたところ、持っていくものは残高をチャージしてあるキャッシュレス決済手段と、上履きと、脱いだ外履きを入れておく袋さえあればいいらしい。

 実家でもそもそと準備をして逆方向のバスにトンボ帰りする私。母と姉が「どうしたの?」と疑問符を浮かべていたので、文化祭行ってくる、と事情を説明したら納得していた。


 初めて降りたバス停だったが、降りて割とすぐのところに校門があった。

 校門は文化祭らしく、エネルギッシュかつ可愛らしく装飾されている。

 校門前で待ち合わせをしているらしい人々も見受けられる。

 保護者の人々、近所の人々、他校の友人や兄弟姉妹。

 普段は教師と生徒の学びの園が、色んなヒトやケモノが入り混じるお祭り騒ぎと化している。


 示された順路通りに中庭へ抜ければ、食べ物の屋台が集まっているようだ。

 甘い匂い、しょっぱい匂いが入り混じっている。

 そして、列がすごい。人気テーマパークのアトラクションと錯覚するほどだ。

 こりゃ、お昼時に来て失敗したかな。

 とりあえず、パンフレットを見ながら中庭を一周してみることにする。

 早々に売り切れていたり、注文を打ち切っていたりする屋台も多い。

 モバイルオーダーを導入している店も多く見られ、時代の移り変わりを感じるなどした。

 まあプロのうどん屋でさえ、行列ができたら捌ききるにはそれなりに時間がかかるものだ。

 不慣れな高校生で、設備もプロ仕様ではないなら時間がかかるのは仕方なし。

 というか、微笑ましいまであるぞ。

 本人たちは対応で必死かもしれないが。

 とりあえず先んじて小籠包をモバイルオーダーしておいた。

 そして待ち時間に穴場っぽい3階のおにぎり販売ブースへ向かった。

 PTAの屋台らしい。

 中庭の屋台よりは空いているブースで、シーチキンマヨおにぎりを買って中庭に戻る。

 ダンスドリル部とやらのチアリーディング的なダンスを鑑賞しながらおにぎりにぱくつく。

 道行くヒトやケモノの学生さんは、クラスごとにお揃いのTシャツを身にまとっているようだ。

 昔も流行り始めてたけど、最近はお揃いのTシャツ、マストなんだろうな。

 これもまた、青春だなあと微笑ましく眺める。


 待ち時間にうどんに並んでいると、後ろの男子高校生たちが「めっちゃ並んでるわ、腹減ったー」とわいわい喋っている。

 うんうん、食べ盛りだもんなあ。とこれもまた微笑ましく聞き流す。

 おっと、つい微笑ましいbotと化してしまった。

 AIと壁打ちして一人相撲したり、執筆を黙々と進めたりしていると、案外早く順番が来た。

 何種類かあったが、私は豚肉おろしぶっかけうどんを食べることにした。

 かなりシステマチックに効率化されており、さほど待つことなく商品を受け取る。

 お椀に三分の一人前ほどの可愛らしいうどんが盛ってある。

 大根おろし、ねぎ、塩豚もささやかに乗っている。

 七味をかけて、容器を脇に置き、空いているベンチを見つけて座った。

 さて、いただきます。

 つるりとすすれば、ぶっかけのお出汁が効いていて箸が進む。

 塩豚も量はささやかだったが濃いめの味付けで全体に行き渡っている印象だ。

 かき混ぜて大根おろしと一緒に口に含めば、うどん屋と遜色ないうまさだ。

 あっという間に食し、ゴミを屋台のゴミ箱に捨てさせてもらった。


 もう一個食べてみたいものがあったので、横に移動して他の屋台に並んだ。

 こちらも先ほどと同じく、注文窓口で注文、受け取り口で受け取りのシステムだ。

 今回狙ったのは、クロワッフルとやら。

 ワッフルを巻いてくしに差したものだろうか?

 見た目はよく焼けているようだ。

 生クリームがとろけている。

 砕いたココアクッキーが振りかけられており、かじると甘くてあたたかくて、ちょっぴりほろ苦。

 外はサクサクで中はふわふわだ。

 こちらもミニサイズですぐ食べ終わってしまう。


 お腹がそこそこ満たされたので、校内を見て回ることにする。

 ざっくり下から上に見ていったが、なんだかお化け屋敷系が妙に多く、かつ人気なようだった。

 文芸部や美術部の展示も見て回り、ふふふ若いなあと青春の一端に触れるなどした。

 ステージでは絶えず出し物が行われており、なんとボディビルダーコンテスト? なるものもあったようだ。

 高校生で仕上がってるのはすごいな。

 と思いつつ校舎をまわっていると、小籠包のモバイルオーダーの通知が届いた。

 慌てて屋台に戻って支払いを済ませ、3個入りの小籠包を受け取る。

 まだまだアツアツだ。

 酢は無くなっていたので、醤油をセルフコーナーでかけた。

 割り箸で一個まるっと食べたら、肉汁が口のなかではじける。

 豚ひき肉の旨味。皮はもちもちだ。醤油の塩っぱさがとても合う。

 学園祭という気分の盛り上がりもあってか、なんだかとても美味しく感じた。


 小籠包を食べ尽くしてベンチでぼんやりお茶を飲んでいると、最終退場の時間がアナウンスされた。

 そんなに長くいたかな。時間の進みに驚きつつ、バス停に向かう。

 うん、お腹いっぱいで楽しいお祭りの日だったな。

 私は家路についた。


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