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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第90話 嘲笑う魔法師団

 レオンたちと魔法師団が向かい合う。


 中央。


 ヴァルツが杖を肩に乗せながら笑っていた。


 その視線が止まる先にいるマリーナを見ている。


 一瞬、考えるように目を細めた。


 そして。


「あぁ……なるほどな」


 口元が歪む。


「奴隷オークションがバレたか」


 周囲の魔法師たちも小さく笑った。


 ヴァルツが肩を竦める。


「まぁいい」


「とっとと終わらせて父上に報告して、隣国に逃げるかな」


 まるで遊びの続きのような口調。


 だが。


 次の言葉で空気が変わる。


「しかし、捕まえに来たのがマリーナとは運がいい」


 ニヤリ。


「なぁ、バイザック侯爵家の恥さらし」


 マリーナの肩が小さく揺れる。


 ヴァルツは止まらない。


「貴族学院時代が懐かしいなぁ?」


 わざとらしく笑う。


「魔法授業学年トップと、学年最下位」


 一拍。


「18歳になって既に今の立場の差が、これだ」


 魔法師団から笑いが漏れた。


 クスクスと。


 見下す笑い。


 マリーナは俯いたまま何も言わない。


 リーナの眉がピクリと動く。


 だがまだ黙っている。


 ヴァルツがさらに続ける。


「お前、まだ初級魔法しか使えないのだろ?」


「よく俺達の前に出てこられたな」


 魔法師の一人が吹き出す。


「本当に無能な魔法師だったんですね」


「よく侯爵家を名乗っていられますねぇ」


 笑いが広がる。


 その中心で。


 マリーナだけが何も言えなかった。


 悔しさ。


 情けなさ。


 全部飲み込むように俯いている。


 レオンは静かにヴァルツを見ていた。


 観察するように。


 怒りではない。


 敵を見る目。


 その横。


 アステアも無言で手斧を握る。


 ヴァルツが杖を掲げた。


「さて」


「出来損ないとの思い出話はここまでだ」


 次の瞬間。


 魔法師団が一斉に杖を構える。


 空気が張り詰めた。




---


 ヴァルツが杖を掲げる。


「遊びは終わりだ」


 次の瞬間。


 魔法師団が一斉に動いた。


 魔法陣展開。


 赤。


 青。


 白。


 無数の光が平地に浮かび上がる。


「撃て」


 火球、雷撃、氷槍の魔法が浮かび上がる


 連携された魔法が一斉に放たれた。


「魔法防御!!」


 レオンが叫ぶ。


 風見鷹のヒーラーとセレナが魔法を唱える。


「プロテクション・サークル」


 ドーム状の透明な壁が冒険者たちの周囲を包む。


 魔法が壁に当たり弾ける。


 アステアが、ヒビの入った大盾を構える。


 黒狼の牙の盾役たちも並ぶ。


 魔法が途切れる瞬間を狙って進むつもりだ。


 その後ろ。


 リーナと風見鷹の弓兵が反撃。


 魔法師に向かって矢を放つ。


 ザクッ。


 魔法師の肩へ矢が突き刺さる。


 だが。


「物理防御展開しろ」


 ヴァルツの指示。


「ガード・プロテクト!」


 前列の魔法師たちが半透明の障壁を展開する。


 矢が弾かれた。


「くっ……!」


 リーナが舌打ちする。


 魔法師団の連携が早い。


 統率されている。


 風見鷹の弓兵が叫ぶ。


「練度が段違いだぞこいつら!」


 その時。


 火球が飛んでくる、地面に着弾し地面が爆ぜる。


 黒狼の牙の前衛が吹き飛ばされた。


「がっ——!」


 セレナがすぐに回復魔法を展開する。


「ヒール!」


 光が傷を癒していく。


 だが。


 回復が追いつかない。


 魔法の数が多すぎる。


 ヴァルツは笑っていた。


「どうした?」


「さっきの勢いは」


 余裕。


 完全に格上。


 その時。


 マリーナが前へ出た。


 杖を構える。


「アイスアロー!」


 氷の矢。


 一直線に飛ぶ。


 だが。


 ヴァルツが片手で火魔法を展開。


 ジュッ。


 簡単に燃える。


 一瞬の静寂。


 そして。


 ヴァルツが吹き出した。


「ははっ……!」


「本当に初級魔法しか使えないのかよ!」


 周囲の魔法師たちも笑い始める。


「成長してないんですね」


「よくこれで前線に来れましたねぇ」


 笑い声。


 見下し。


 マリーナの手が小さく震える。


 だが。


 次の瞬間。


 レオンが前へ出た。


 静かな声で、周囲に声をかける。


「リーナ」


 リーナが頷く。


 矢を番える。


 「アステア」


 アステアも前へ出る。


 盾を構え直した。


 空気が変わる。


 ヴァルツの笑みが少しだけ深くなる。


「いいぞ」


「その顔だ」


 杖をゆっくり持ち上げた。


 戦場の熱がさらに上がっていく。



---


 ヴァルツが杖をマリーナへ向ける。


 口元には笑み。


 完全に見下していた。


「無能なお前と——」


 杖を自分へ向ける。


「魔法師団で選ばれた俺とじゃ経験が違うんだよ」


「偉大な魔法師だったお前の母親も泣いてるだろうな」


 魔法師団から笑いが漏れる。


 下品な笑い。


 見下しながら。


「丸焦げになったお前を見て、侯爵様も泣いて喜ぶだろうな」


 その瞬間だった。


「うるさーい!!」


 リーナが叫んだ。


 怒気。


 今までで一番感情が乗っていた。


「うちの仲間を舐めるな!!」


 空気が変わる。


 ヴァルツが少し目を細める。


 その横。


 レオンとアステアが小さく笑った。


「……だな」


 レオンが二刀へ手をかける。


 アステアも大盾を構え直した。


「ボコボコにして土下座させるか」


 二人が前へ出る。


 ヴァルツが鼻で笑った。


「まだ来るのか?」


 杖を振る。


 数人の魔法師が火球の魔法陣を展開。


 一斉に放たれる。


 セレナが後ろから防御魔法を使う。


「守ります!」


 光の壁が展開される。


 次の瞬間。


 轟音。


 魔法が防御壁へ叩きつけられる。


 火花。


 衝撃。


 壁が軋む。


 セレナの顔色が一気に青くなった。


「っ……!」


 既に魔力の消費が激しい。


 だが。


 魔法は止まらない。


 ヴァルツが笑いながら杖を振る。


「どうしたそこのヒーラー?」


「もう限界か?」


 さらに魔法が飛ぶ。


 アステアが前へ出た。


 大盾を構える。


 轟音。


 火球が直撃。


 衝撃で大盾が砕ける。


 アステアが膝をついた。


「ぐっ……!」


 それでも前を見る。


 立ち上がろうとする。


 その後ろ。


 マリーナが小さく呟いた。


「……やめて」


 誰にも届かないほど小さな声。


 だが。


 ヴァルツは止まらない。


 魔法陣が再び展開される。


 今度はレオンへ向けて。


 空気が熱を帯びる。


 レオンが静かに一番前へ出た。


 二刀を構える。


 視線は敵だけを見ていた。


 マリーナの声が、もう一度だけ漏れる。


「……もう、やめて」

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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次回もお楽しみに。

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