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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第82話 仮面の終焉

GWは仕事が繁忙期のため職場が24時間稼働のため毎日投稿できず、1週間投稿が出来ませんでした。


また今日から奴隷商編の最後まで毎日投稿していきますので楽しみにしていてください。

 会場が揺れる。


 ざわめき。


 混乱。


 だが——


 まだ壊れてはいない。


 ギルドは来ていない。


 この場はまだ。


 “閉じた地獄”のままだ。


 レオンは立ち上がる。


 静かに。


 視線は一点。


 ギース。


 逃がさない。


 それだけ。


 アステアも立ち上がる。


 武器はない。


 盾も斧も。


 持っていない。


 あるのは——


 拳。


 そして体。


 レオンの手には。


 鉄扇。


 マリーナから渡されたもの。


 それだけだ。


 十分だった。


 レオンが一歩踏み出す。


 観客が気づく。


「……何だ?」


「誰だあいつ」


 警備が動く。


 前に出る。


 レオンは止まらない。


 距離を詰める。


 男が剣を振るう。


 速い。


 だが。


 レオンが扇を開く。


 金属音。


 刃を弾く。


 そのまま。


 踏み込む。


 喉元へ。


 鉄扇が叩き込まれる。


 鈍い音。


 男が崩れる。


 またステージ向かって走り出す。


 横から一人の警備が向かってくる。


 レオンは体を捻るりながら、扇を閉じて振り抜く。


 警備の側頭部へ目掛けて。


 骨の砕ける感触。


 警備が倒れる。


 

 前へまた、走り出す。


 一直線に。


 アステアがレオンの後ろから前に出る。


 三人の警備が前から向かってきていた。


 アステアが一番前の男の腕を掴む。


 力で持ち上げる。


 そのまま——


 投げる。


 すぐ後ろから来ていた警備が慌てて避けようとするが、ぶつかり下敷きになる形で倒れる。


 アステアは踏み込み、大きくジャンプする。


 倒れた二人目掛けて。


 思いっきり踏みつける。

 

 ドォーン……と大きな音がして二人が動かなくなる。


 次。


 あと一人は。


 アステアが拳を握りしめ顔面に向かって振り抜く。


 警備がガードをしようと腕を交差するがアステアの拳が当たった瞬間、吹き飛ぶーー。


 机や椅子に当たって、床が揺れる。


 道が開く。


 二人の動きは止まらない。


 最短、最速で向かう。


 無駄がない。


 ただ——ギースへ向かって走る。


 舞台が近づく。


 ギースの護衛が前に出る。


 二人。


 明らかに警備の人と動きが違う。


 視線が鋭い。


 構えも隙がない。


 レオンが止まる。


 一瞬。


 アステアが横に並ぶ。


 息が揃う。


 レオンが低く言う。


「……ここからだ」


 アステアが頷く。


 ギースと商会長は動かない。


 逃げないで観察している。


 余裕の表情すら浮かべている。


 だがーー。


 その目は変わっている。


 侵入者を認識した目。


 舞台の上からレオンたちを見下ろしている。


 空気が張り詰める。


 その次の瞬間——


 後ろから音が響く。


 重い扉が破られる音。


 遅れて届く怒号。


 ギルドと冒険者が突入してくる。


 ここは、すでに戦場の中心だ。


 レオンが一歩踏み出す。


 扇を構える。


 視線は動かない。


 ギース。


 ここで潰すーー




---


 少し時間を遡るーー


 商人の後を追い、右手の部屋に三人が中に入っていく。


 静かな空間。


 隣の喧騒とは切り離された場所。


 商人が机の上に書類を置く。


「こちらが契約書になります」


 淡々とした声。


 いつもの仕事。


 それだけ。


 マリーナが視線を落とす。


 そして、顔を上げる。


「その前に——」


 一拍。


「商品の状態を確認させていただけまして?」


 軽く言いながらも視線は鋭い。


「不良品を掴まされては困りますもの」


 商人がすぐに頷く。


「もちろんでございます」


 慣れた対応。


 疑いはない。


 そのままもう一つの扉へ向かう。


「こちらの扉から、ステージ裏の商品の部屋へと続いています」


 扉を開け、中に入っていく。


 石の壁の通路が続いているのが分かる。


 三人はその後を追う。


 足音だけが響く。


 通路はくの字に折れていて視界が切れる。


 その先にもう一つの扉が見える。


 商人が扉を開く。


 中に入るとこちらの部屋も広い。


 だが。


 並んでいるのは——


 檻。


 いくつも。


 いくつも。


 中には人。


 うずくまる者。


 目を伏せる者。


 動かない者。


 沈んだ空気。


 生気が薄い。


 商人が歩く。


 迷いなく進んでいく。


「こちらです」


 指し示す。


 一つの檻。


 中には小さな子供。


 泣いている。


 膝を抱えて。


 震えている。


 セレナの息が止まる。


 だが。


 まだ動かない。


 マリーナが言う。


「少し、商品と話をしても?」


 商人が頷く。


「構いません」


 マリーナが続ける。


「終わりましたら、先ほどの部屋に戻りますわ」


 一拍。


「それと——」


 視線を軽く巡らせる。


「他の商品も少し見てもよろしいかしら?」


 自然な流れ。


 疑われない言い方。


 商人が答える。


「問題ございません」


「私は先ほどの部屋で準備をしております」


 軽く頭を下げる。


 そのまま扉に戻っていく。


 足音が遠ざかる。


 静かになる。


 完全に。


 マリーナが一歩前に出る。


 檻の前。


 子供がビクッとする。


 後ずさる。


 怯えた目。


 セレナがすぐにしゃがむ。


 目線を合わせる。


「大丈夫」


 優しく言う。


「泣かないで、静かにしてね」


 子供の視線が揺れる。


 顔を見る。


 仮面越し。


 だが。


 気づく。


「……せい——」


 声を上げかける。


 セレナがすぐに指を立てる。


 仮面の口元へ。


「しー」


 小さく。


 優しく。


 子供が口を閉じる。


 涙を堪える。


 セレナが頷く。


「はい、助けに来ました」


 一拍。


「もう大丈夫です」


 静かに続ける。


「今は静かにできますか?」


 子供が何度も頷く。


 涙をこらえながら。


 セレナはそっと手を握る。


 安心させるように。


 その間に。


 マリーナが立ち上がる。


 リーナを見る。


 無言の合図。


 二人で歩き出す。


 部屋を一周する。


 檻の配置。


 出入口が二箇所。


 死角。


 警備の位置。


 すべてを確認する。


 一周。


 戻る。


 セレナの元へ。


 リーナが小さく時計を見る。


 タイミングを測る。


 そして。


 入ってきた扉へ戻る。


 静かに開ける。


 通路を確認する。


 誰もいない。


 通路の中に入り扉を閉める。



---


 三人で顔を合わせる。


 リーナが小さく言う。


「……いける」


 一拍。


「警備は五人」


「やれるわ」


 マリーナが頷く。


「では——」


 静かに言う。


「私は今からこの通路を封鎖します」


 視線が通路へ向く。


「ステージ側からしか出入りできないように」


 セレナを見る。


「あなたは先程の子供と一緒にいてあげなさい」


 優しく言う。


 三人で頷く。


 役割は決まった。


 マリーナが通路に顔を向ける。


 手をかざす。


 魔力が集まり始める。


 詠唱を唱え始める。


 空気が冷える。


「——アイスウォール」


 低く唱える。


 瞬間。


 通路に氷が広がる。


 壁が形成される。


 完全に通路を封鎖した。



---


 その時。


 遠くから音が響く。


 怒号。


 衝突音。


 叫び。


 ステージ側から。


 始まった。


 リーナが笑う。


 静かに。


 だが。


 完全にキレている。


「……さぁ」


 一歩前に出る。


「こっちもやるわよ」


 空気が変わる。


 ここも——


 戦場になる。




---


 足音。


 近い。


 扉の向こう側。


 声がする。


「おい、さっきの音……」


「中を確認しろ」


 警備が来る。


 リーナが一歩前に出る。


 かんざしに手をかける。


 視線が鋭くなる。


 マリーナは小さく息を吐く。


 手をかざす。


 魔力を集める。


 詠唱は短い。


「フロスト」


 氷の粒が飛ぶ。


 扉を空けて警備が二人、侵入してくる。


 だが、侵入してきた警備の足元が凍りつく。


 動きが止まる。


 だが。


 完全ではない。


「っ……!」


 すぐに足元の氷を砕き体勢を整えようとする。


 リーナが眉をひそめる。


(……ちゃんとやんなさいよ)


 心の中で吐き捨てる。


 だが。


 リーナの動きは止まらない。


 一歩。


 踏み込む。


 一瞬で距離を詰める。


 かんざしを振るう。


 喉元を一突き。


 1人目の警備が崩れる。


 声も出ない。


 次……。


 横からもう一人が武器を構える。


 剣を振るう。


 遅い。


 体を滑らせてかわす。


 そのまま。


 首筋へ。


 かんざしを突き刺す。


 倒れる。


 これで2人目。


 後ろからもう一人、通路に入ってくる。


 マリーナが手を動かす。


「バインド」


 足が絡む。


 一瞬だけ止まる。


 それで十分。


 リーナが正面に振り向く。


 踏み込む。


 心臓へ。


 一撃。


 崩れる。


 となりの部屋にいる警備は残り二人。


 リーナが走り出し、マリーナとセレナが後を追う。



---


 部屋に入り警備の位置を確認する。


 ステージの出入り口の方に、警備が二人がいるのが見える。


 リーナは一直線に、二人向かって走る。


 リーナに気づいた警備がこちらに振り返り武器を構える。


 警備の一人が、前に出てリーナに向けて剣を振るう。


 リーナがそれを避け、懐へ。


 まず、腹に拳を一撃。


 動きが止まる。


 そのまま、喉へかんざしを一突き。


 終わり。


 最後の一人。


 警備は、手に持つ槍を振り下ろす。


 だが。


 リーナには届かない。


 リーナが下がり、距離を取る。


 「バインド」


 後ろからマリーナが魔法を発動する。


 一瞬、警備の動きが止まる。


 だが、すぐにバインドを振り払う。


 リーナにはそれで十分の時間である。


 かんざしを警備に向けて投げる。


 警備の額に刺さり崩れる。 


 制圧完了。


(……)


 ほんのわずかにリーナがマリーナを見る。


(……まぁいいか)


 リーナはかんざしを引き抜き、ステージ裏の入口を陣取る。



---


 セレナが檻の所まで走っていく。


「皆さん、助けに来ました、もう安心してください」


「今、傷を癒します」


 優しく言う。


 詠唱を始める。


 静かに。


 周囲に光が集まる。


「エリアヒール」


 柔らかな光が広がる。


 部屋を包む。


 傷が癒えていく。


 檻にいた子供の表情が少し緩む。


 他の檻にいる人達も安堵の表情を浮かべる。


 呼吸が落ち着き、助けが来てことで安心し、涙を流し始める人達もいる。


 セレナは檻を回る。


「もう大丈夫です」


 優しく声をかけて回る。


 マリーナが周囲を見る。


 冷静に。


「……これで中は抑えましたわね」


 短く言う。


 リーナがかんざしを拭く。


「次は外ね」


 視線がステージ裏へ向く。


 その向こう。


 音が大きくなる。


 衝突音。


 怒号。


 戦いはすでに始まっている。


 ここからが——


 本番だ。



---


 ステージ裏の入口を押さえている、リーナ。


「二人はこの部屋に居て」


 リーナが短く言う。


 後ろにいるマリーナが頷く。


 リーナは扉を開け、ステージ裏に出ていく。


 音がぶつかる。


 戦場。


 目の前。


 ステージへ続く花道。


 そこで戦っているのは、レオンとアステア、それからギースの護衛が三人。


 激しい衝突音。


 剣と鉄扇がぶつかり合う。


 レオンが鉄扇で剣を弾いて流す。


 そのまま護衛に踏み込むが、もう一人の護衛に憚れる。 


 慣れていない武器のせいもあり、少し手こずっている様子だ。




---


 アステアが対峙しているのは大柄な男。


 二人とも拳で殴り合っている。


 アステアが拳を突き出す。


 護衛はそれを躱しながらアステアの懐に入る。


 アステアに向けて、近距離から蹴りを打つが、アステアもこれを防御する。


 (……二人が相手している護衛はかなり強い)


 リーナが迷わず、戦闘に飛び込む。


 一気に距離を詰める。


 護衛の背後から急所を狙う。


 護衛がリーナに気付く。


 振り向く。


 かんざしが走る。


 急所に向けて。


 だが、護衛はギリギリの所でリーナの攻撃を躱す。


 リーナが舌打ちする。


「感がいいわね」


 レオンの目が動く。


 リーナを確認する。


 一瞬だけ目が合う。


 それだけで通じる。


 位置。


 タイミング。


 それで十分。


 護衛がすぐに反撃で、リーナに向けて剣を振るう。


 リーナはバックステップで後ろに下がって躱す。


 同時にレオンが踏み込み鉄扇を振り上げる。


 護衛の顎へ鉄扇がぶつかる。


 護衛の身体が宙に浮きそのまま倒れて動かなくなる。



---


 アステアはまだ殴り合っている。


 拳と拳がぶつかり、何度もお互いの身体に拳を叩き込む。


 アステアが殴られ吹き飛ばされる。


 身体を起こし立ち上がる。


 対峙している護衛も肩で大きく息をしている。


 アステアが走り出し拳を振り抜く。


 護衛は腕で防御をするが勢いに押され片膝をつく。


 アステアはそのまま足を振り上げ、勢いよく踵落としを放つ。


 護衛は頭上でもう一度防御しようと腕を上げるが、受け止めきれず、頭に踵落としが決まる。


 そのまま顔から床に叩きつけられた護衛は、意識をなくし、動かなくなった。


 アステアは、大きく息をして花道にいる、残り一人になった護衛とギースと商会長に向けて歩き出す。



---


 護衛は残り一人。


 リーナとレオンが動く。


 左右に分かれ同時に攻撃をする。


 レオンは低く足を払いにいく。


 リーナはかんざしを護衛に向けて振るう。


 レオンの足払いを受け止め、リーナのかんざしを間一髪避ける護衛。


 すぐ護衛は反撃をしようとリーナに向けて剣を振り上げる。


 ――剣を振り下ろす瞬間、護衛は違和感に気付く、目の前の女の手にさっきまでの持っていた、かんざしがなかったのだ。 


 気付いた時にはもう遅く、背中から激しい痛みが起きた、下向くと胸の所からかんざしが突き出ていた。


 剣を落とし血を吐きながら倒れる護衛。


 残りはギースと商会長のみだ。



--- 


 ギースと商会長は逃げようとするがもう遅い。


 三方向。


 レオン。


 アステア。


 リーナ。


 包囲。


 逃げ場はない。


 レオンが一歩前へ。


 視線を外さない。


「終わりだ」


 低く言う。


 アステアが構える。


 リーナが笑う。


 冷たく。


 ギースが歯を食いしばる。


 理解する。


 逃げられない。


 完全に——


 追い詰められた。


 その場で、お互いに動きが止まる。


 ギースはゆっくりと懐からナイフを取り出した。


 「私は捕まるわけにいかない」


 大きくナイフを振り上げ、自分に向けて振り下ろす。


(……まずい出遅れた)


 レオンはギースに向けて走り出していた。


 リーナとアステアも遅れて走り出す。


 ――間に合わないと思った瞬間――


「……バインド」


 ステージの扉の前からマリーナが魔法を放っていた。


 一瞬ギースの動きが止まる。


 レオンが鉄扇でナイフを叩き落とす。


 そのまま拘束。


 リーナとアステアの方を見るとアステアが商会長を拘束していた。


 これでオークションは終わりだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひブックマークをお願いします。

評価や感想もとても励みになります!


次回もお楽しみに。

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