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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第83話 救い出した夜

 会場の喧騒が少しずつ収まっていく。


 床には倒れた警備と商会の従業員。


 拘束された貴族たち。


 そして——


 舞台への花道


 縄で縛られたギース。


 その隣には、ゴルゴア商会長。


 ギルド職員たちが二人を囲む。


「確認完了」


「こいつらはギルドで預かる」


 ギースが睨みつける。


 だが。


 もう終わりだ。


 レオンは視線を外す。


 価値はない。


 ギルド職員が貴族たちの仮面を剥がしていく。


「うわっ……」


「本当に貴族かよ……」


 周囲から小さく声が漏れる。


 青ざめる者。


 言い逃れを始める者。


「私は知らなかった!」


「招待されただけだ!」


 聞く価値もない。


 ギルド側は淡々と拘束していく。


 レオンは振り返る。


「行くぞ」


 短く言う。


 リーナたちが頷く。


 そのままステージ裏へ向かう。


 扉をくぐり檻の並ぶ部屋へと入る。


 中にいる人たちは、まだ怯えていた。


 突然の戦闘と怒号。


 まだ何が起きたのか分かっていない状態だ。


 レオンが前へ出る。


 檻を見渡す。


 そして。


「……ここを制圧した」


 低く言う。


 一拍。


「もう大丈夫だから安心してほしい」


 静寂。


 誰も動かない。


 信じられない。


 そんな顔。


 だが。


 少しずつ理解していく。


 本当に。


 終わったのだと。


 涙が零れる。


「……たす、かった……」


「ありがとう……」


「助けてくれて……」


 泣き声が広がる。


 檻の中。


 崩れるように座り込む者もいる。


 セレナがそっと近づく。


「もう安心してください」


 優しく声をかける。


 その時。


 ギルド職員たちが部屋に入ってくる。


「ギルドの者です、皆さんを助けに来ました!」


 鍵を持って次々と檻を開けていく。


 怯える人たちに職員が声をかける。


「安心してください、皆さんを保護します」


「身元確認後、安全な場所へ移送しますので大丈夫です」


 負傷者。


 子供。


 順番に誘導されていく。


 少しずつ。


 この場所から、人が消えていく。


 地獄だった空間が。


 ようやく終わりを迎えようとしていた。


 リーナが小さく息を吐く。


 怒りはまだ残っている。


 だが。


 助けられた。


 それだけは、確かだった。


 救出作業が続いている。


 ギルド職員たちが慌ただしく動き回る。


 負傷者の確認。


 証拠品の回収。


 拘束した貴族たちの連行。


 会場はまだ騒がしい。


 だが。


 さっきまでとは違う。


 終わった後の空気。


 張り詰めていたものが、少しずつ緩み始めていた。


 その時。


 入口側から聞き慣れた声が響く。


「おー、派手にやったな」


 ギルド長のギンだ。


 後ろにギルド職員を連れて歩いてくる。


 レオンたちを見つけると、軽く手を上げた。


「よくやった」


 レオンが頷く。


「ギースと商会長は拘束済みだ」


「被害者の保護も進んでいる」


 ギンが周囲を見る。


 檻。


 運び出される人たち。


 そして証拠品が運ばれていく。


「完璧だな」


 満足そうに笑う。


 その時。


 ギンの視線が止まる。


 一点。


 リーナを見つめる。


 沈黙。


 数秒間、時が止まる。


 そして——


 吹き出した。


「ぶっ……!」


 肩を震わせる。


「お前、その格好エロいな!」


 一瞬で空気が止まる。


 周囲の職員たち。


 冒険者たち。


 みんな一斉にリーナを見る。


 露出の高い衣装。


 首輪。


 戦闘で少し乱れた髪。


 完全に目立っていた。


 リーナの顔が真っ赤になる。


「なっ……!」


 固まる。


 視線を感じる。


 チラチラ。


 明らかに見られている。


 職員たちも視線の置き場に困っている。


 冒険者たちはニヤついている。


 リーナの肩が震える。


 限界をむかえる。


 その横で。


 マリーナが平然と言う。


「着替えなら馬車に積んでありますわ」


 追撃。


 リーナの顔がさらに赤くなる。


「見るなぁぁぁぁ!!!」


 叫ぶ。


 そのまま全力で入口へ走り出す。


 周囲から笑いが漏れる。


「はははっ!」


「逃げたぞ!」


 ギンが腹を抱えて笑う。


 アステアは少し困った顔。


 セレナは苦笑い。


 レオンは小さくため息を吐く。


 そして最後に。


 マリーナが口元を隠しながら、ニヤリと笑う。


「……お似合いでしたのに」


 完全に楽しんでいた。



---


 ゴルゴア商会の奥の部屋。


 机の上には押収した資料が並べられている。


 帳簿。


 取引記録。


 地図。


 そして。


 教会と繋がる証拠。


 部屋の空気は静かだった。


 さっきまでの戦闘が嘘のように。


 レオンたちは机を囲む。


 ギルド職員が資料を整理しながら口を開く。


「オークション側はこれで壊滅です」


「残る大きな拠点は孤児院と子爵側になります」


 レオンが地図を見る。


 孤児院。


 場所は確認済み。


 セレナが小さく頷く。


「明日の朝、私と教会騎士で孤児院へ向かいます」


 机の上の地図を指差す。


「子供たちを自然に外へ連れ出します」


「西区への散策という形なら怪しまれません」


 ギンが腕を組む。


「子供が中にいる状態で突入はできねぇからな」


 レオンが続ける。


「子供たちが見えなくなった瞬間に動く」


 視線が全員に向く。


「ギルドと冒険者で孤児院を制圧する」


 シンプル。


 だが確実な作戦。


 マリーナが椅子に座ったまま言う。


「教会側が混乱する前に、一気に押さえた方がいいですわね」


 リーナは腕を組む。


 まだ怒りは消えていない。


「明日で終わらせてあげる」


 低く言う。


 セレナが静かに目を伏せる。


 孤児院。


 そこにいた子供たち。


 思い出すだけで胸が痛む。


 アステアが口を開く。


「明日は昼間だ」


 レオンが頷く。


「短時間で終わらせる」


 一拍。


「外で見張る人と、中に突入する人を分けよう」


 その言葉に、全員が頷く。


 オークションは潰した。


 だが。


 まだ根は残っている。


 次は孤児院。


 灯りの少ない部屋の中。


 ギンが低い声で話す。


「今から、冒険者で孤児院へ見張りもつける」


「朝、ギルドに集合してくれ」


 ギルドと冒険者も準備が出来た。


 今日の突入作戦でギルド職員や冒険者に全てが筒抜けになった。


 明日の孤児院が終われば次は子爵だ。


 

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次回もお楽しみに。

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