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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第77話 殲滅

 まずは一人目。


 だが——


 それで終わりじゃない。


 レオンは止まらない。


 剣を振り抜いたまま、次へ踏み込む。


 倒れた音は小さい。


 だが。


 完全な無音ではない。


「……今の音はなんだ?」


 前を走っていた男が振り返る。


 その瞬間。


 もう遅い。


 レオンの姿はすでに懐に入っている。


 一閃。


 首筋を裂く。


 血が飛ぶ前に崩れる。


 二人目。


 さらに前。


 まだ気づいていない。


 視線は裏口へ向いている。


 アステアの声に釣られている。


(いい囮だ)


 レオンは迷わない。


 距離を詰める。


 剣を振る。


 横薙ぎ。


 二人まとめて切り裂く。


 崩れる。


 音が重なる。


 ここで——


 異変に気づく。


「……おい?」


 残った一人が足を止める。


 視線が下に落ちる。


 仲間。


 倒れている。


 血。


 異常。


 理解するまでの一瞬。


 その一瞬で十分だった。


 レオンはもう目の前にいる。


「な——」


 言葉は最後まで出ない。


 一撃。


 喉を貫く。


 崩れる。


 これで。


 部屋の中に残っているのは——


 レオンだけだ。


 レオンは剣を軽く振る。


 血を払う。


 そして顔を上げる。


 まだ終わっていない。


 酒場の入口。


 裏口の外では騒ぎがまだ続いている。


 だが。


 今の一瞬で。


 確実に“流れ”が変わった。


 入口の方から声が上がる。


「おい、あいつら確認しに行って遅くないか?」


「何してやがる!」


 苛立ち。


 疑問。


 そして——


 不安。


 その感情が、空気を変える。


 レオンは静かに息を吐く。


 剣を構える。


 次は——


 入り口の見張りだ。


 レオンは、入り口に向かって歩き出していた。



---


 裏口。


 静寂は、すでに終わっている。


 リーナは弓を構えていた。


 呼吸は乱れていない。


 視線は一点。


 扉。


 次の瞬間。


 扉が乱暴に開く。


「おい!何してやが——」


 飛び出してきた男。


 その言葉が終わる前に。


 矢が放たれる。


 一直線。


 喉元を貫く。


 男は声も出せずに崩れる。


 続けてもう一人。


 状況を理解する前に。


 額を射抜かれる。


 三人目。


 反応が一瞬遅れる。


 だが。


 それで十分。


 矢が胸を貫く。


 三人。


 一瞬で沈む。


 リーナは弓を下ろさない。


 そのまま次を待つ。


 正面の入口の方から声が上がる。


「どうした!?」


「何があった!!」


 足音。


 複数。


 正面側にいた見張りが、裏へ来たのだろう。


 焦りが混じった足音。


 その動きを。


 アステアは聞いている。


 角。


 死角。


 そこに立つ。


 大盾を構え。


 斧を握る。


 呼吸は深い。


 動かない。


 そして。


 足音が近づく。


 止まらない。


 勢いのまま、角を曲がる。


 先頭の男。


 顔を出した瞬間。


 アステアが動く。


 振り下ろし。


 斧が叩き込まれる。


 頭部を砕く。


 即死。


 後ろの二人。


 ようやく異常を理解する。


 足が止まる。


 だが。


 遅い。


 アステアが前に出る。


 大盾で押し込む。


 体ごと。


 力任せに。


 二人まとめて地面に叩きつける。


 息が詰まる音。


 動きが止まる。


 そのまま。


 斧を振るう。


 一人。


 もう一人。


 確実に。


 動かなくなるまで。


 仕留める。


 裏口は、完全に制圧された。


 その時。


 正面側から、短い悲鳴。


 一瞬。


 そして静かになる。


 リーナが小さく笑う。


「……終わったみたいね」


 アステアは何も言わない。


 ただ、頷く。


 正面に向かう予定だったが。


 レオン先に終わらせたようだ。


 リーナとアステアは裏口の扉に向かう。


 まだ、目的の途中だ。 


「外は終わりだな」


 アステアが短く言う。


 リーナが肩をすくめる。


「こっからが本番よ」


 アステアが大盾を構え前を進む。


 裏口から建物の内部に侵入。


 転がっている死体を無視して、通路を進んでいく。



---


 通路を抜けた大きな部屋にはレオンが先に戻っていた。


 三人の視線が合う。


 次は地下を探す。


 既に建物の中は静寂に包まれていた。


 レオンが足を止める。


「……あった」


 視線の先。


 床の一角。


 隠すように作られた扉。


 地下へ続く階段。


 アステアが頷く。


 リーナは何も言わない。


 ただ、目が冷えている。


 レオンが先に進む。


 扉を開ける。


 軋む音。


 暗闇。


 三人は、ゆっくりと降りていく。


 一段。


 また一段。


 湿った空気。


 鼻につく臭い。


 そして——


 声。


 下品な笑い声。


 低く、濁った。


 レオンの足が止まる。


 階段の終わり。


 視界が開ける。


 そこにいた。


 牢屋。


 鉄格子。


 中には人影が見える。


 動かない者もいる。


 視線だけが空を見ている。


 そして。


 その前。


 ソファーにふんぞり返る男。


 大柄。


 太い腕。


 無駄に装飾された武器。


 両脇には用心棒が二人、無言で立っている。


 レオンが一瞬だけ視線を流す。


 距離。


 配置。


 逃げ道。


(……問題ない)


 リーナも確認する。


 牢屋までの位置。


 巻き込まない距離。


 アステアはすでに斧を握っている。


 準備は整っている。


 レオンは、隠れない。


 そのまま。


 正面へ歩いていく。


 足音を隠さずに。


 ボスの男が顔を上げる。


「……あぁ?」


 目が細くなる。


「上にいた連中はどうした?」


 レオンは止まらない。


 そのまま答える。


「全員、死んだ」


 一瞬。


 沈黙。


 そして。


 男が鼻で笑う。


「……所詮、ゴロツキだな」


 肩をすくめる。


「役にも立たねぇ」


 視線が三人を舐める。


 そして。


 止まる。


 リーナ。


「……お、エルフか」


 口元が歪む。


「そいつは傷つけるなよ」


 用心棒に言う。


「遊んでから売れば、高くなる」


 下品な笑い。


 空気が濁る。


 その瞬間。


 リーナが笑う。


 柔らかく。


 だが。


 目は冷たい。


「あら、安心して」


 一歩前に出る。


「あなたは殺さないわ」


 一拍。


「聞きたいことがあるから」


 さらに笑う。


「腕一本で済ませてあげる」


 空気が変わる。


 男の顔が歪む。


「……調子に乗るなよ」


 立ち上がる。


 床が軋む。


「後悔させてやる」


 用心棒も武器を構える。


 重い空気。


 張り詰める。


 アステアが前に出る。


 盾を構える。


 斧を握る。


 レオンが剣を引き抜く。


 静かに。


 リーナが弓を引く。


 矢が番えられる。


 次の瞬間。


 空気が弾ける。


 戦闘が始まる。



---


 空気が弾ける。


 最初に動いたのは、リーナ。


 弓を引く。


 放つ。


 矢が一直線に走る。


 用心棒の一人。


 反応は早い。


 だが。


 遅い。


 肩を貫く。


 体勢が崩れる。


 その瞬間。


 レオンが踏み込む。


 一気に距離を詰める。


 剣が走る。


 もう一人の用心棒。


 受けようとする。


 だが。


 力が違う。


 弾かれる。


 体が開く。


 そこへ——


 アステア。


 踏み込む。


 大盾で押し込む。


 体ごと叩きつける。


 壁にぶつかる音。


 そのまま。


 斧が振り下ろされる。


 まずは一人目の、頭を叩き割る。


 沈む。


 もう一人。


 肩に傷を負いながら立ち直ろうとする。


 だが。


 レオンがすでに背後にいた。


 一閃。


 首筋を断つ。


 崩れる。


 用心棒、二人。


 あっという間の制圧。


 一瞬だった。


 静寂が戻る。


 そして。


 残るは——


 ボスのみ。


「……チッ」


 顔を歪める。


 だが。


 遅い。


 レオンが正面に立つ。


 一歩。


 ボスが剣を振るう。


 レオンはそれを躱しながら、踏み込む。


 剣を振るう。


 ズバァ――。


 ボスの右腕が宙を舞う。


 血が噴き出す。


 男の絶叫。


「があああああああ!!!」


 その次の瞬間。


 アステアが動く。


 踏み込み。


 距離を詰める。


 拳を握る。


 そして——


 思いっきり拳を振り抜く。


 顔面へ。


 鈍い音。


 骨が砕ける感触。


 男の体が宙を舞う。


 そのまま。


 ドォ――ン……。


 壁へ叩きつけられる。


 辺りに衝撃が走る。


 そのまま床に崩れ落ちる。


 ボスがピクリともしない。


 完全に沈黙する。


 静寂。


 リーナが額に手を当て眉をひそめる。


「……ねぇちょっと」


 一歩近づく。


「殺してないわよね?」


 アステアが肩を落とす。


 青い顔をして申し訳なさそうにしている。


「……たぶん」


 レオンがボスに近づく。


 倒れた男の横にしゃがむ。


 首元に手を当てる。


 一瞬。


 そして。


「……大丈夫だ」


 立ち上がる。


「かろうじて生きてる」


 アステアが深く息を吐く。


「……はぁ……」


 力が抜ける。


 リーナが笑う。


 軽く肩を叩く。


「危なかったわね」


 どこか楽しそうに。


 その言葉に。


 アステアも、わずかに力を抜く。


 戦いは終わった。


 ガルークの闇は——


 ここで断たれた。



---

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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次回もお楽しみに。

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