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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第76話 夜に沈む町

 バルディアを出て、一日。


 また同じ道。


 同じ景色。


 だが三人の覚悟は違う。


 レオン、リーナ、アステア。


 無駄な会話はない。


 ただ目的に向かって進む。


 やがて見えてくる。


 宿場町ガルーク。


 お昼。


 行き交う人の数は、多い。


 荷を運ぶ商人。


 馬車。


 旅人。


 一見すれば、普通の町。


 何も変わらない。


 だが。


 三人は知っている。


 この町の“裏”を。


「……昼だと普通ね」


 リーナが小さく呟く。


 周囲を見ながら歩く。


 視線は自然。


 だが観察は鋭い。


「気に食わないわ」


 一言。


 感情が滲む。


 レオンは短く返す。


「だから夜にやる」


 それだけでいい。


 アステアは何も言わない。


 ただ前を見る。


 その拳は、すでに強く握られている。


 三人は町に入る。


 違和感のない動きで。


 市場を抜ける。


 人混みを通る。


 誰にも気づかれないように。


 自然に。


 そして。


 町の奥。


 あの場所へと近づく。


 酒場兼宿屋。


 昼の姿。


 入口には数人。


 酒を飲みながら、だらけているように見える。


 だが。


 目は違う。


 周囲を見ている。


「……ちゃんといるわね」


 リーナが小さく言う。


 レオンは頷く。


「前回と同じだ」


 配置は大きく変わっていない。


 裏に回る。


 馬車はない。


 だが。


 地面の跡は新しい。


「夕方以降から増えるわね」


 リーナが言う。


「動くのは夜になってからだな」


 アステアが低く呟く。


「……全員捕まえる」


 レオンは周囲を確認する。


 逃げ道。


 路地。


 建物の配置。


 頭の中に落とし込む。


「一度離れる」


 短く言う。


 リーナも頷く。


「夜まで時間あるしね」


 三人はその場を離れる。


 町の外れ。


 人気の少ない場所へ。


 座ることはしない。


 立ったまま。


 時間を待つ。


 空がゆっくりと暗くなる。


 赤が消え。


 青が深まり。


 やがて夜になる。


 灯りが一つ、また一つと点く。


 ガルークの“顔”が変わる。


 三人は何も言わない。


 ただ、同じ方向を見る。


 あの場所を。


 これから始まる。


 止めるための戦いが。



---


 夜。


 ガルークの空気が変わる。


 昼の喧騒は消え、灯りだけが残る。


 通りを歩く人の数も減る。


 だが。


 一部だけ、逆に“濃くなる場所”がある。


 町外れ。


 あの酒場兼宿屋。


 遠目から見ても分かる。


 騒がしさが増している。


 笑い声。


 怒鳴り声。


 酒瓶のぶつかる音。


 だが。


 それだけではない。


「……来たわよ」


 リーナが低く呟く。


 街道側から、馬車が一台。


 灯りを落とし、静かに近づいてくる。


 表の通りではない。


 裏手へ回る動き。


 三人は影に紛れて見る。


 馬車が止まる。


 男が数人降りる。


 周囲を確認。


 短く合図。


 扉が開く。


 一瞬だけ見える。


 中にいる人影。


 すぐに引きずり出される。


 抵抗はない。


 力が抜けている。


 そのまま建物の中へ。


 扉が閉まる。


 何事もなかったように。


 だが。


 それが日常だ。


 この場所では。


 リーナが目を細める。


「完全に好き放題やってるわね」


 小さく言う。


「人を攫ってガルークから商会」


「そのままオークションだ」


 レオンが頷く。


「止めるならここだ」


 アステアが低く言う。


「……全部、ここで終わらせる」


 声に感情はない。


 だが。


 押し殺された怒りがある。


 リーナが周囲を観察する。


 入口。


 裏口。


 屋根。


 窓。


 見張りの位置。 


 巡回の間隔。


 細かく、正確に。 


「正面は五人」


「裏は二人」


「屋根にはいない」


 一つずつ共有する。


 レオンが短く答える。


「作戦を決める」


 リーナが頷く。


「外は任せて」


 アステアが武器に手をかける。


「……裏口は任せろ」


 短い会話。


 それで十分。


「俺は二階の部屋から侵入する」


「外を片付けたら、アステア俺を投げてくれ」


レオンがアステアに言う。


「わかった」


アステアも理解する。


 無駄がない。


 レオンが最後に確認する。


「二階から侵入後、5分後アステアは裏口で声を出してくれ」


「扉から出てきた奴らをリーナが落とす」


「漏れたやつをアステアが殺す」


「パニックになってる奴らを中から俺が殺す」


「落ち着いたら中に入ってきて合流だ」


「逃げる奴は倒せ」


 リーナが笑う。


 だがその目は冷たい。


「一人も逃がさないわ」


 アステアは何も言わない。


 ただ、頷く。


 三人の視線が揃う。


 同じ場所を見る。


 あの建物。


 あの地下。


 あの中にいる人たち。


 助けるため。


 終わらせるため。


 そのための動き。


 もう迷いはない。


 あとは。


 踏み込むだけだ。



---


 夜の空気が、さらに冷える。


 風が止む。


 音が消える。


 三人は影の中にいた。


 酒場兼宿屋の裏手。


 灯りは少ない。


 だが、人の気配は濃い。


 笑い声は前から聞こえる。


 裏は静かだ。


 だからこそ。


 よく分かる。


 足音。


 布の擦れる音。


 リーナが息を整える。


 目を閉じる。


 周りの音を聴いている。


 そして目を開く。


 視線が鋭くなる。


「……今ならいけるわ」


 小さく言う。


 レオンは頷く。


 アステアはすでに武器を握っている。


 無言。


 だが準備は整っている。


 レオンが一歩、後ろへ。


 次の瞬間。


 姿が消える。


 気配も。


 音も。


 完全に。


 見張りの一人が、ふと振り向く。


 違和感。


 だが。


 遅い。


 喉元に一瞬の影。


 音もなく崩れる。


 もう一人。


 気づく前に倒れる。


 裏口の見張りが消える。


 何も起きていないように。


 静かに。


 レオンが戻る。


「裏口、制圧」


 短く言う。


 アステアが前に出てくる。


 中から音。


 笑い声。


 酒の匂い。


 レオンが横に並ぶ。


 呼吸が重くなる。


 だが抑える。


 ここで暴れない。


 まだ。


 レオンが小さく言う。


「あそこの部屋から侵入する」


 二階の明かりがついていない部屋に指をさす。


 アステアは頷き、レオンを持ち上げる。


 ブン―……。


 腕を軽くふるいレオンを二階まで投げる。


レオンは二階のベランダにつかまり中を確認している。


人がいないことを確認後、ベランダから中に侵入する。


もう一度ベランダから顔を出しOKサインを出す。


 それが準備完了の合図だ。


 五分後作戦開始だ。



---


 レオンは二階の部屋から侵入して、通路を進み階段の上を確保している。


「グオォォー」


 裏口から大きな声が聴こえる。


 「なんだ―どうした?」


「裏口の見張りは何してる!」


 中にいるゴロツキが慌て始める。

 

 武器を担ぎ、裏口に向かって走り出す。


 レオンは階段を下りながら、剣を鞘から抜きスキルを発動する。


斬撃強化(シャープネスエッジ)


 両手の刃が青白く光を纏う。


 一番後ろにいたゴロツキが、光につられて振り向いた。


「だれ――」


 一閃。


レオンが右手のミスリルの剣を振り抜いていた。


 ゴロツキの動きが止まり、ゆっくりと胴体から頭が床に落ちる。


(まずは一人)


 もう止まらない。


 その一歩が。


 すべてを壊す始まりになる。


 ガルークの夜が。


 静かに、終わりへ向かい始めた。



ここまで読んでいただきありがとうございます!


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次回もお楽しみに。

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