第63話 奴隷商討伐作戦
アジト前。
空気が張り詰めていた。
焚き火の光が揺れる。
男たちはまだ気づいていない。
仲間が一人消えたことに。
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闇の中。
レオンとリーナは並んでいた。
距離。
配置。
視線。
すべて確認済み。
レオンが小さく言う。
「外は二人」
リーナが頷く。
「奥は不明」
レオンの視線が洞窟へ向く。
「先に外を落とす」
「外を落としたあと、リーナは隠れて射線を確保してくれ」
短い指示。
リーナもすぐに理解する。
「外は同時に討つ?」
「ああ」
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一瞬の沈黙。
呼吸を合わせる。
風の音。
焚き火の揺れ。
男の笑い声。
すべてが遠くなる。
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レオンが囁く。
「……行くぞ」
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次の瞬間。
二人は同時に動いた。
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レオンは一直線に踏み込む。
地面を蹴る。
一気に距離を詰める。
焚き火の光の中へ飛び込む。
男の目が見開かれる。
「——なっ」
言葉になる前に。
剣が振り抜かれる。
ヒュン。
首が飛ぶ。
血が舞う。
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同時。
リーナの矢が放たれていた。
ヒュッ——
もう一人の男の喉を正確に射抜く。
「ぐっ……!」
声にならない音。
そのまま崩れ落ちる。
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静寂。
ほんの一瞬。
だが。
すぐに崩れる。
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「おい!?」
洞窟の奥から声。
足音。
複数。
レオンが剣を構える。
リーナが木に登り隠れながら次の矢を番える。
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レオンが視線をリーナに向ける。
リーナが頷く。
お互いに準備が整ったことを確認する。
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洞窟の闇。
そこから。
人影が飛び出してくる。
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「なんだてめぇ!」
「敵か!?」
怒号。
剣を抜く音。
空気が一気に変わる。
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レオンの目が細くなる。
もう迷いはない。
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レオンがゆっくりと息を吐き出す。
「ふぅ——殲滅する」
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その一言で。
戦いは始まった。
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洞窟の奥から、まだ足音が迫る。
複数……かなりの人数だな。
動きも速い。
レオンは一瞬だけ視線を動かした。
既に外にいる敵との距離。
タイミング。
そして——
腰の袋。
小さな玉を取り出す。
リーナが木の上からその存在に気づく。
「あれって——」
「煙玉?」
そしてレオンが駆け出す。
右手で持っている煙玉を迷わず洞窟へ投げ込んだ。
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カラン。
乾いた音。
一瞬の静寂。
次の瞬間。
ボンッ!
白い煙が一気に広がる。
洞窟の入口から、溢れるように煙が吹き出した。
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「なっ!?」
「なんだこれ!?」
中の声が乱れる。
咳き込む音。
怒号。
足音が乱れる。
レオンの目が細くなる。
(これでいい)
(中でまとまらせない)
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その間に——
外へ飛び出してきていた三人。
剣を構え、視界を探る。
「敵だ!」
「どこにいった——!」
遅い。
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レオンが踏み込む。
一人目。
剣が閃く。
横薙ぎ。
首が飛ぶ。
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二人目。
振り向く。
間に合わない。
蒼嵐刀。
喉を裂く。
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三人目。
恐怖が顔に出る。
「ひっ——」
逃げようとする。
だが。
遅い。
レオンの剣が振り下ろされる。
叩き斬る。
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血が地面に広がる。
わずか数秒。
外はすでに制圧されていた。
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リーナが小さく息を吐く。
「……早い」
だがレオンは答えない。
視線は洞窟。
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煙がまだ溢れている。
その中から。
人影が飛び出してきた。
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「くそっ!何が起きてる!」
「外だ!外に出ろ!」
次々と出てくる。
一人。
二人。
三人——
まだ出てくる。
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咳き込みながら。
目を押さえながら。
状況も分からずに。
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レオンが静かに言った。
「……多いな」
リーナが木の上から矢を放つ準備をしていた……が。
レオンがこちらの動きに気付き、まだ隠れてるよう手で合図が送られてきた。
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レオンは一歩前に出た。
剣を構える。
その目は——
完全に戦闘のそれだった。
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「押し潰す」
煙の中から現れる敵。
混乱。
怒号。
恐怖。
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レオンは動き出す。
踏み込む。
剣が走る。
一人。
また一人。
確実に斬る。
迷いなく。
容赦なく。
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戦場はすでに。
一方的な狩りだった。
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血の匂いが広がる。
煙はまだ残っている。
地面には倒れた男たち。
そして——
残った数人。
その奥。
一歩遅れて出てきた男がいた。
他の連中とは違う。
装備。
立ち方。
視線。
そして。
迷いがない。
頭領だな。
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「……やってくれたな」
低い声。
状況を見て、すぐに理解している。
ただの雑魚ではない。
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次の瞬間。
頭領が動いた。
洞窟の入口へ戻る。
中に消える。
レオンが眉をひそめる。
「……?」
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すぐに戻ってきた。
だが——
腕の中に一人。
少女。
縄で縛られている。
口を押さえられている。
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「動くな」
刃が首元に当てられる。
リーナの目が見開く。
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「武器を捨てろ」
低く、はっきりと言う。
「捨てねぇと、こいつは死ぬ」
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静寂。
焚き火の音だけが揺れる。
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レオンは動かない。
頭領と向こうの人数を確認している。
頭領と……あと2人だけか。
距離。
人質の確保が最優先。
呼吸。
リーナはしっかり隠れている。
すべてが整った……。
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「聞こえなかったか?」
頭領が苛立つ。
「早く武器を捨てろ」
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一瞬の間。
レオンが小さく息を吐いた。
「……わかったよ」
あっさりと言う。
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その瞬間。
わずかに視線が動く。
横目で確認する。
木の上。
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リーナ。
弓を構えている。
視線が合う。
一瞬。
それだけで伝わる。
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(……今だな)
レオンが剣を持ち上げる。
そして——
上へ投げた。
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ヒュン。
剣が宙を舞う。
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三人の男たちの目が動く。
反射的に。
上へ。
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その瞬間。
リーナの指が離れる。
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ヒュッ——
3本の矢が同時に走る。
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正確に。
一直線に。
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ズドッ!ドスッ!グサッ!
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「がっ!?」
「うっ!?」
1本目の矢は頭領の肩を貫く。
刃がぶれる。
力が抜ける。
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少女の拘束が緩む。
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「今だ!」
レオンが動いた。
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一瞬で距離を詰める。
落ちてくる剣。
それを空中で掴む。
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踏み込み。
振り抜く。
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斬撃。
頭領の横にいた仲間の二人の首が飛ぶ。
頭領が身体を起こす。
武器を握り直し突撃してくる。
激昂してレオンを殺そうと武器を振るう。
レオンはその場で、立ったまま首を横に倒す。
レオンの頭があった場所から矢が飛び出してくる。
慌てて、頭領が武器で矢を払う。
(……隙だらけだ)
そのままレオンが頭領を斬り倒す。
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バタン…。
地面に倒れる音。
静寂。
少女がその場に座り込む。
震えている。
リーナがすぐに駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか」
リーナが優しく小さく言う。
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レオンは周りを見渡す。
敵の気配はない。
「……終わったか」
静かに呟く。
戦いが終結した。
闇奴隷商は——
ここで壊滅した。
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