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食べた魔物の力を取り込む【捕食者】だった俺は、最弱の村から最強の料理人を目指す  作者: RUN


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第61話 闇奴隷商

 ギルドの一角。


 喧騒から少し離れた小さな会議スペース。


 木のテーブルを挟んで、レオンとリーナは向かい合っていた。


 机の上には紙が広げられている。


 周辺の地図。


 リーナが持っている簡単なメモ。


 そして——


 アルヴェインから渡された資料。


 リーナが口を開く。


「まず、私の方から」


 指で地図の一点を示す。


「バルディア近郊で失踪が増えたのは三ヶ月前」


 レオンは静かに聞く。


「最初は行商人」


「次に旅人」


「そして……エルフ」


 少し間を置く。


「明らかに狙ってる」


 レオンが眉をひそめる。


「種族か」


「そう」


 リーナは頷く。


「エルフは高く売れる」


 その言葉に、わずかな怒りが混じる。


 だが抑えている。


 冷静に話を続ける。


「足取りを追ったわ」


「いくつかの拠点を経由して——」


 指が地図をなぞる。


 そして止まる。


「ここ」


 リーデルと中層の間。


 今はあまり使われていない旧街道の奥。


 人目につきにくい場所。


 レオンが資料を見る。


「……一致してるな」


 アルヴェインの資料。


 同じ場所の辺りに印がついている。


 リーナもそれを見る。


「そっちの情報は?」


 レオンが紙を引き寄せる。


「ギルド側は二ヶ月前から追ってる」


「不自然な物資の流れ」


「夜間の出入り」


「そして」


 少しだけ声を落とす。


「捕まった奴が一人いた」


 リーナの目が動く。


「吐いたの?」


「半分だけな」


 レオンが続ける。


「“商品”って言葉を使ってた」


 空気が重くなる。


 リーナが静かに言う。


「間違いないわ」


「闇奴隷商」


 レオンも頷く。


「ああ」


 確定だった。



---


 少し沈黙が流れる。


 周囲の喧騒が遠く感じる。


 リーナがぽつりと言う。


「単独で潰すつもりだった」


 レオンが顔を上げる。


「無茶だな」


「分かってる」


 リーナは短く答える。


「でも」


 視線を地図に落とす。


「時間がなかった」


 その言葉に、焦りがにじむ。


 レオンはそれ以上は聞かなかった。


 代わりに言う。


「今は二人だ」


 リーナが顔を上げる。


「状況は変わった」


 レオンは地図を指で叩く。


「ここが一番怪しい」


「なら——」


 少しだけ笑う。


「潰せる」


 リーナは一瞬だけ驚いた顔をした。


 だが。


 すぐに小さく笑う。


「……自信あるのね」


 レオンは肩をすくめる。


「まあな」



---


 再び地図を見る。


 情報は揃った。


 場所。


 目的。


 敵。


 すべて一致している。


 もう疑う余地はない。


 リーナが静かに言った。


「ここで間違いない」


 レオンも頷く。


「ああ」


 闇奴隷商。


 その拠点は——


 この旧街道の奥にある。



---


 資料の上に、静かな沈黙が落ちた。


 リーナはしばらく何も言わなかった。


 だが。


 ゆっくりと口を開く。


「……エルフはね」


 視線は落ちたまま。


「奴隷に人気なの」


 レオンは黙って聞く。


「寿命が長い」


「見た目がいい」


「魔力も高い」


 一つ一つ。


 淡々とした言葉。


 だが。


 その奥には、抑えた感情がある。


「だから——」


 少しだけ間が空く。


「“商品”として人気がある」


 レオンの指がわずかに動く。


 机の上。


 拳がゆっくりと握られる。



---


「連れていかれた人は」


 リーナが続ける。


「名前を捨てさせられる」


 静かな声。


「番号で呼ばれる」


 レオンの眉がわずかに動く。


「逆らえば?」


 短く聞く。


 リーナは答える。


「売れない傷をつけられる」


 その一言で十分だった。


 空気が冷える。



---


「……バルディアで」


 リーナが言う。


「知ってる子がいた」


 ほんのわずか。


 声が揺れる。


「一緒に依頼を受けたことがある」


 レオンは何も言わない。


「真面目で」


「ちょっと不器用で」


 小さく笑う。


 だが。


 その笑みはすぐ消えた。


「二カ月前に消えた」


 短い言葉。


 それだけで全てが伝わる。



---


 レオンはゆっくりと息を吐いた。


 視線を落とす。


 資料。


 地図。


 ただの紙。


 だがそこには。


 人の人生が書かれている。


 リーナが言う。


「……見つける」


 顔を上げる。


 目が変わっている。


「生きてるなら」


「連れて帰る」


 迷いはない。


 レオンはその目を見た。


 そして。


 静かに言った。


「全部潰す」


 短い言葉。


 だが。


 そこにあるのは怒りだ。



---


 少しの沈黙。


 リーナがふと聞く。


「……レオンは怖くないの?」


 レオンが顔を上げる。


「相手は人間だよ」


 魔物ではない。


 意思がある。


 殺せば終わりではない。


 レオンは少しだけ考えた。


 そして。


「……そうだな怖いな」


 正直に言う。


 リーナがわずかに目を見開く。


「でも」


 レオンは続ける。


「見過ごす方が嫌だ」


 その言葉に。


 迷いはなかった。



---


 リーナはしばらく黙っていた。


 そして。


 小さく息を吐く。


「……やっぱり変な人」


 だが。


 その声は少しだけ柔らかい。


 レオンは肩をすくめた。


「よく言われる」



---


 空気は重い。


 だが。


 もう迷いはない。


 敵は決まった。


 理由もある。


 あとは——


 動くだけだ。



---


 レオンは地図を引き寄せた。


 旧街道の奥。


 リーデルから山間部に抜ける古い道。


 指でゆっくりと範囲をなぞる。


「……この辺りか」


 リーナが頷く。


「確定じゃない」


「でも、流れはここで止まってる」


 バルディア側の追跡。


 ギルドの情報。


 どちらも——


 この旧街道の奥で途切れている。


 レオンが呟く。


「隠れ家があるなら、この辺だな」


「そう」


 リーナが短く答える。



---


 少しの沈黙。


 レオンが続ける。


「奴隷商の情報は?」


 リーナは首を横に振った。


「分からない」


「人数も」


「戦力も」


 はっきりと言う。


「全部、現地で見るしかない」


 レオンは小さく頷いた。


「……だよな」



---


 机の上の地図。


 だがそれはただの“当たり”だ。


 確定ではない。


 だからこそ——


 慎重に慎重を重ねないと。


 レオンが言う。


「アジトが見つからなければ?」


 リーナが答える。


「絶対探す」


 迷いはない。


「時間はかかるけど」


「必ず見つける」


 レオンは少しだけ笑った。


「その覚悟は嫌いじゃない」



---


「問題は」


 レオンが言葉を続ける。


「見つけた後だな」


 リーナが頷く。


「いきなり突っ込むのは危険ね」


「中に人がいる可能性が高い」


 レオンも同意する。


「人質を巻き込むわけにはいかない」



---


 少し考える。


 そして。


「まずは偵察だな」


 レオンが言った。


 リーナもすぐに頷く。


「位置確認」


「見張りの有無」


「出入りのタイミング」


 レオンは地図を折りたたむ。


「夜に行く」


 リーナが答える。


「向こうはアジトにいる時間ね」


「その方が見えるものも多い」



---


 レオンは立ち上がった。


「準備するか」


 リーナも立つ。


 弓を背負う。


 矢を確認する。


 レオンは腰の剣に触れる。


 そして。


 蒼嵐刀。


 静かにそこにある。



---


「……なあ」


 レオンが呟く。


 リーナが顔を上げる。


「なに?」


 少しだけ間。


 レオンは言った。


「やるときは」


「躊躇するな」


 短い。


 だが重い言葉。


 リーナは静かに頷いた。


「分かってる」


 その目に迷いはない。



---


 二人は歩き出す。


 ギルドを出る。


 街の喧騒が遠ざかる。


 向かうのは街の外。


 旧街道のその奥。


 まだ見えない“敵の巣”。



---


 夕日が沈む。


 影が長く伸びる。


 そして。


 夜が来る。



---


 出発の準備をすすめる


 まずは——


 アジトを見つける。



---

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次回もお楽しみに。

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