表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
57/63

ステージ袖。


――――


歓声が揺れている。


――――


壁まで震えるくらい。


――――


スタッフの声も、


イヤモニの確認音も、


少し遠い。


――――


――――


白瀬は、袖から客席を見る。


――――


光。


――――


人。


――――


ペンライト。


――――


想像より、ずっと多い。


――――


――――


「……無理かも」


――――


小さく漏れる。


――――


――――


隣で神谷が笑う。


――――


「今さら逃げる?」


――――


――――


白瀬は真顔。


――――


「普通に怖いです」


――――


――――


神谷は少し驚いて、


でもすぐ笑う。


――――


「よかった」


――――


――――


白瀬。


――――


「何がですか」


――――


――――


神谷は前を見る。


――――


歓声。


――――


光。


――――


――――


「お前もちゃんと怖がるんだなって」


――――


――――


白瀬は眉をひそめる。


――――


「だからずっと人間ですって」


――――


――――


黒崎が後ろから入ってくる。


――――


「その返し、最近多いな」


――――


――――


レオンも来る。


――――


スマホを見ながら。


――――


「配信の待機、やばいよ」


――――


――――


白瀬、固まる。


――――


「言わないでください今」


――――


――――


神谷が吹き出す。


――――


空気が少し軽くなる。


――――


――――


スタッフ。


――――


「30秒前!」


――――


――――


緊張が戻る。


――――


――――


白瀬は深呼吸する。


――――


うまくできない。


――――


浅い。


――――


――――


神谷がそれを見る。


――――


少しだけ迷って、


言う。


――――


「……最初、俺が喋るから」


――――


――――


白瀬が顔を上げる。


――――


――――


「お前は、いつも通りでいい」


――――


――――


静か。


――――


――――


白瀬は少しだけ目を丸くする。


――――


――――


今までは逆だった。


――――


神谷が合わせていた。


――――


でも今は違う。


――――


――――


神谷が“前に立つ”。


――――


その意味が、


白瀬にも少しだけ分かる。


――――


――――


「……お願いします」


――――


小さく。


――――


――――


神谷は笑う。


――――


「珍しく素直だな」


――――


――――


「今それ言います?」


――――


白瀬。


――――


――――


その瞬間。


――――


「本番です!」


――――


扉が開く。


――――


歓声。


――――


一気に熱が流れ込む。


――――


――――


神谷が先に出る。


――――


歓声が跳ねる。


――――


――――


「こんばんはー!」


――――


声が通る。


――――


空気を掴む。


――――


――――


白瀬は一歩遅れて出る。


――――


その瞬間。


――――


歓声の種類が変わる。


――――


大きさじゃない。


――――


熱。


――――


――――


神谷は気づく。


――――


白瀬も気づく。


――――


――――


“待たれていた”。


――――


――――


白瀬は少しだけ息を止める。


――――


でも。


――――


今回は逃げない。


――――


マイクを持つ。


――――


少し震える手。


――――


――――


「……こんばんは」


――――


歓声。


――――


さらに大きくなる。


――――


――――


白瀬、少しだけ笑う。


――――


自然に。


――――


――――


神谷が横を見る。


――――


――――


「……それ、反則だろ」


――――


小さく呟く。


――――


でも、


悔しそうじゃない。


――――


――――


楽しそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ