どっち派?
放送後。
夜。
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スタジオの空気が、少し違う。
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モニター。
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感想が流れている。
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「今回ヤバくない?」
「空気変わった」
「神谷の圧すごかった」
「でも白瀬いるとまとまる」
「どっちが主役なん?」
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止まらない。
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スタッフが笑っている。
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「めっちゃ反応来てますね」
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「珍しい割れ方してるな」
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「普通、片方に寄るのに」
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神谷は黙って見ている。
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白瀬も横にいる。
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缶のお茶を飲みながら。
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「……なんか怖いっすね」
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ぽつり。
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神谷が少し笑う。
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「今さら?」
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白瀬は画面を見る。
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「いや、前より知らない人増えてる感じする」
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その感覚は正しかった。
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現場の外で、
作品が広がり始めている。
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しかも、
“二つの熱”で。
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「白瀬派かな」
「神谷派だわ」
「いや、この二人並んでるのがいい」
「空気バグる」
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レオンが後ろから覗く。
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「ほら、割れた」
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楽しそうに。
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黒崎も来る。
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画面を見る。
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少しだけ笑う。
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「いい割れ方してんな」
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神谷が振り向く。
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「いいんですか、割れて」
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黒崎は即答する。
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「全員同じ感想になる方が危ねえよ」
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沈黙。
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レオンが続ける。
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「“推せる理由”が違う方が長く残る」
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白瀬は少し困る。
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「……なんか、難しい話になってません?」
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神谷が吹き出す。
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初めて自然に。
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「お前、ほんと普通だな」
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白瀬は眉をひそめる。
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「悪口ですか?」
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「褒めてる」
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神谷。
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少しだけ空気が軽くなる。
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でも。
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モニターの熱は止まらない。
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「次回やばそう」
「神谷、変わったよな」
「白瀬がいる時だけ空気違う」
「この作品、なんなん?」
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誰も、
答えられない。
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でも、
それでいい。
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ディレクターが入ってくる。
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モニターを見る。
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少し黙る。
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そして言う。
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「……次、もっと攻めるか」
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全員が見る。
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ディレクターは笑う。
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珍しく。
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「面白くなってきた」
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その一言で、
空気が変わる。
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現場が、
“勝負する空気”になる。
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白瀬は、少しだけ目を丸くする。
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神谷は笑う。
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逃げない。
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もう。




