残り続ける声
最終話。
放送。
――――
夜。
静か。
――――
再生。
――――
映像が流れる。
――――
白瀬の声。
――――
主役。
――――
でも——
変わらない。
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ズレている。
――――
ほんの少し。
――――
空気が、
引っかかる。
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でも、
進む。
――――
壊れない。
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成立している。
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シーンが動く。
――――
感情が流れる。
――――
でも、
どこかに残る。
――――
説明できない何か。
――――
「……」
――――
ラストシーン。
――――
静か。
――――
台詞。
――――
短い。
――――
「……そうか」
――――
それだけ。
――――
なのに——
止まる。
――――
時間が、
伸びる。
――――
画面は終わる。
――――
音楽が流れる。
――――
エンドロール。
――――
でも——
消えない。
――――
耳に、
残る。
――――
感情に、
引っかかる。
――――
終わったのに、
終わらない。
――――
――――
翌日。
――――
反応。
――――
「やばかった」
「今回、神回」
「演技えぐい」
――――
評価。
――――
高い。
――――
でも——
それだけじゃない。
――――
「あの最後の声、なんだったの」
「ずっと残ってるんだけど」
「もう一回見た」
――――
残る。
――――
消えない。
――――
「白瀬ってやつさ」
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名前。
――――
普通に出る。
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説明はいらない。
――――
“あの声”。
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それで通じる。
――――
――――
スタジオ。
――――
日常に戻る。
――――
でも、
少しだけ違う。
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「お疲れ」
「よかったよ」
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声がかかる。
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自然に。
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特別じゃない。
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でも——
軽くない。
――――
マネージャーが来る。
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「終わったな」
――――
白瀬は、少しだけ頷く。
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「……はい」
――――
短い。
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少しだけ、間。
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「……どうでした?」
――――
珍しく、聞く。
――――
マネージャーは、少しだけ考える。
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「売れるよ」
――――
即答。
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でも、
続ける。
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「それ以上に」
――――
少しだけ笑う。
――――
「残る」
――――
――――
白瀬は、何も言わない。
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外に出る。
――――
空。
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変わらない。
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でも——
変わった。
――――
主役をやった。
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奪った。
――――
成立させた。
――――
でも——
それでも。
――――
「……」
――――
小さく、息を吐く。
――――
「……まあ」
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静かに呟く。
――――
「同じか」
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歩き出す。
――――
主役じゃないときと、
同じ。
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ズラす。
――――
残す。
――――
それだけ。
――――
スマホが震える。
――――
黒崎。
――――
『見た』
――――
短い。
――――
『残ってるな』
――――
――――
白瀬は、少しだけ笑う。
――――
「……どうも」
――――
通話が切れる。
――――
一人。
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主役じゃない。
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でも——
主役だった。
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そして、
これからも。
――――
“残る側”。
――――
それでいい。




