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世界樹は夢を見る  作者: 深月
スーリヤ学術都市
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私達のチームは度々他のチームの人たちを交えながらミーティングを重ね、2つの遠征予定はゆっくりとではあるが進行している。魔導具研究チームが作った水中探索用の魔導具も完成し、あとは遺跡探索班と海中調査チームの人数分が揃うのを待つだけ。海底洞窟を探索する準備は、魔導具が揃い次第実際にそれを使っての水中訓練をして終了となる。


五の月に入ってからは地質調査の研究室から興味深い報告があった。

アルディアとトリスの間に南北に走る山脈の調査をしていたチームが、不自然な地層の変化を発見したのだ。

山脈の西の麓、アルディア側。そのある一点から西側に、地層が無かったのだ。そのわずかに東側の調査では何層にも分かれた地層が見つかっていることから、それが自然に出来た地形と、そうでない地形の境目であることが示唆されている。

つまり、東側は元々自然に存在していた、ゆっくりと出来上がった地形。西側はなんらかの方法で短時間で形成された地形、ということだ。

西側に世界の果てが広がっていることを考えれば、そこが古代文明時代からの土地と、世界樹が作り上げた土地の境目であると推測される。


それを裏付けるように、遺跡発掘チームからはその山脈以西に古代文明遺跡が発見された例が無いことも示され、今後東側を重点的に調査が進められることになった。


そうなると尚更期待が持たれるのが今進んでいる2箇所の遠征予定地である。

そうした様々な要因から、私達は終始高いモチベーションを維持している。



ザルツとは未だ話していない。ミーティングや研究に関することは話すが、それ以外の話はほとんどしていない。私としてはさすがに指輪を外すのは大人気ないと思ってそのままにしているが、念話の魔導具は外したままだ。ザルツがつけたままなのか外しているのかは、知らない。



今日はアルディアの屋敷に戻ってきている。9歳の誕生日を明後日に控え、少しだけ早いが、アルの日である今日、家族が祝ってくれると言うので戻ってきた。

毎年お祝いはしてもらっていたが、今年は賑やかだ。エイドが結婚してエルミラが屋敷にいるようになったし、テオとカイトもいる。

翌日のことも考えて夕方ころからスタートした夕食会では、料理人達が頑張ってくれてたくさんの料理が並んだ。久々に会ったジェーンを始めとするメイド3人も、私に祝福の言葉を掛けてくれた。

そういえばサイファとリッドは元気だろうか、と思っていたら、エイドとジルがおめでとうの伝言を持ってきてくれて、思いがけないところからの祝福がすごく嬉しい。

満ち足りた気分で屋敷を後にし、いつも通り第三訓練所から自宅へ戻った。


ウルの日、朝から研究室に篭り、私は探索用の便利グッズを作っている。両手が空いた状態で使えるライトが欲しいと思ったのだ。日本ではテレビでよく見る、ヘルメットにライトをくっつけたようなやつ。

ただ、霊石が肌に触れた状態を維持することを考えるとその構想はなかなか進まなかった。ヘルメットの上に装着するライトを作るのではその条件をクリアできない。かといってヘルメットを外すわけにもいかない。

廊下でばったり会ったギィに相談したら、ヘルメットと一体型にしたらいいじゃない、というばっさりした意見を頂いて、自分の視野が狭くなっていたことに気付かされた。ウルの日の午前はずっと作業部屋に篭るという習慣がついてしまっていて、他人からアドバイスをもらったり相談したりという意識が欠けていたと思う。反省。


そんなわけで出来たのが、ヘルメットを固定するベルト部分に霊石をつけ、触れている間ヘルメットの前頭部分につけた反射板のようなパーツが光るという機能を付与したライト一体型ヘルメットが完成。

今まで作ったライトは”霊石が光る”ものばかりだったので、この発想に至るまでも時間がかかったのだ。しかし改善点もある。この付与の仕方では何かあったときに明かりを消すことが出来ないのだ。

課題は残った。


更にその次のウルの日、霊石を連動させることを思いついた。

先に作ったヘルメットの霊石が、腕輪型の魔導具についた霊石に触れた間だけは作動するように。これならばヘルメットを外すこと無く、腕輪の方を外せば明かりを消すことが出来る。セットで作るのが多少面倒ではあるが、利便性には変えられない。

翌日であるミトラの日に、完成したそのセットを1つ持って遺跡発掘チームの元を訪ねた。

評価は上々。次の探索から使ってもらえそうだ。

あとは実際の現場での使用感などを元にまた改良していけばいい。


充実した時間はあっという間に過ぎる。

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