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歓迎会は続く。
途中から、お酒の入ったダメな大人たちが私にもお酒を勧めてきたが、それはザルツの鉄壁のガードによって防がれていた。
ただその代わりに、じゃあお前が飲めとザルツの酒量はどんどん増えた。こんなに飲んで大丈夫なのかと思うくらい増えた。葡萄酒数本一人で飲んだんじゃないだろうか・・・
「ロッシュさん、あんなに大丈夫でしょうか・・・」
「だいじょぶだいじょぶ、あいつ酒は結構強いんだよ」
そう安請け合いするロッシュさんも酔っていた。助けを求めてウルドさんを見たが、彼は既にグラスに手を添えたまま静かに眠っていた。
・・・どうしようこれ。
「あの、ザルツ、その辺でお酒は・・・」
「ティエラを守るためならまだまだ受けて立ちます!」
いや、全部受けて立たないで受け流してほしいです。
もう完全にこれは潰れるコースだ。明日は二日酔いに苦しむんだろうなぁ。
「カナデちゃん、そんな馬鹿な大人は放っておいて、お姉さんたちとお話しよ?」
「研究者は男ばっかりだからカナデちゃんみたいな潤いが欲しかったのよね〜」
そう言って私の手を引く数人のお姉様たち。
ザルツと離れたほうがこれ以上飲まされずに済むのか、それとも拍車がかかるのか・・・読めない。
すると、お姉様たちとは逆方向から私の体はがっしりと掴まれ、引き寄せられた。
「これは僕のですからっ」
完全に酔ってる。もう手遅れだよ・・・
その様子を見てロッシュが大笑い。
「こわっ、その独占欲こわっっ」
その台詞、既に一度聞いた気がします。
後ろから私を抱きしめるような形になっているザルツに阻まれて、お姉様たちは退散してしまった。
「ザルツ様、飲みすぎですっ」
「やり直し」
「はい?」
「様付けはやり直しですー」
子供のようなことを言い出すザルツをどうやって連れて帰るか、私の頭はそれだけを占めていた。
ダメな大人たちの殆どは二次会へとなだれ込むとのことで、私は一人のダメな大人を背中で支えながらその後ろ姿を見送った。
途中からすやすやと眠っていたウルドはかろうじてちょっとダメな大人くらいで済んでいたので、今は私の隣で同じようにお見送り。その背中にはダメダメなロッシュがいる。
「ウルドさん、大丈夫ですか?」
「なんとかねー、でも」
さすがに困ったような顔を浮かべる。
「ロッシュ一人ならともかく、2人は無理・・・」
そもそも細身のウルドにロッシュを抱えさせるだけでも無理がある。
「ロッシュさんのご自宅、ご存知です?」
「うん、わかるよー、何度も行ってるから。
カナデはザルツの自宅知ってる?俺知らないんだよねー」
「あ、はい。それは大丈夫です」
「知ってても運べないよねぇ・・・」
んー、出来るか出来ないかで言えば、出来る。魔法で浮かせてしまえばそれでいいのだ。それは別に構わないのだけれど、本当にウルドはロッシュを送り届けることができるだろうか?
「運ぶのは大丈夫です。・・・ロッシュさんも運びましょうか?」
「いやいや、大丈夫ー。じゃあごめんだけど、ザルツ任せていいー?」
そうしてひらひらと手を振って、ウルドはロッシュを背負い直して去っていった。
残されたのは、私とザルツ(泥酔)である。
酔っぱらいの介抱なんて何年ぶりですかね・・・
「ザルツ様、歩けますか?」
一応聞いてみた。
「さまづけはやりなおしですー!」
「はいはい、歩けますか?」
「あたりまえじゃないですかぁ、ぼくはこうみえてもおさけはつよいんですよー」
そう言いつつも、一歩も動かないザルツを見て、私は諦めた。
「左手貸して下さい」
素直に差し出される手。私はその手を取って、その体を5cm程度浮かび上がらせる。これくらいなら立って歩いているように・・・見えるといいんだけど。
そのまま、私の歩調にあわせてザルツが横を移動するように魔力をコントロールしながら、家までの道を歩き始めた。
「なんだかふわふわしますねぇ」
「そうですねー」
適当に相槌を打って歩く。無事家に辿り着いて、ザルツの家の門を開け、庭を抜けてドアの前。
「鍵、出して下さい」
「えー?えぇと・・・」
カバンをごそごそと漁るザルツ。
うーん、私の予想ではそれでは出てこない。多分マジックボックスの方に収納してるんじゃないかなぁ。
案の定、5分待っても鍵は出てこない。うーん、ザルツのマジックボックスの使い方知らないんだよなぁ。
「ちょっと失礼しますね」
そう断って、バッグの内部にある霊石に触れる。バッグに入っている物を思い浮かべてみるが・・・私のマジックボックスのような検索機能はないらしい。
試しに家の鍵を思い浮かべて・・・確か前は出すとき何も喋ってなかったはず。
頭の中で家の鍵出てこい、と念じてみる。・・・出てこない。
「はぁ、仕方ないですね・・・」
私は諦めて、ザルツの家のリビングへ、空間転移の入り口を開いた。




