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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
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工房の引っ越しは数分で終わった。空間転移とマジックボックスがあるので、大きなものから小さなものまで片っ端から収納して戻って出現されればそれで終わってしまうのだ。


引っ越しを終えたあとは夕食を作って2人で食べて、解散。

日本のようなコンロがない、上水道のないキッチンというのは非常に使い勝手が悪い。ただ、水道については戸建てならば魔導具が既にあるのでなんとでもなる。まあそう簡単に戸建てを買えるわけもないのだが。

取り敢えずは魔法で水を作ったり火をつけたりで何とかはなったが、仮にこちらで生活することになるのならコンロの魔導具は頑張って作るべきかも知れない。




スーリヤ滞在3日目。この日は初級学園の見学にサイファと一緒に行った。

アルディアの初級学園と特に変わりはない。まあ視察などを行ってまで教育水準を一定にしているのだから、変わりがある方が問題なのだが。


滞在4日目。高等学園の見学に、この日はリッドと一緒に。

正直高等学園というのがどういう立ち位置なのかがわかっていなかったのだが、どうやら日本のような”なんとなく進学する場所”とは全く違うようだった。”研究者になるための基礎知識を学ぶ場所”という表現が妥当だと思う。ただ、魔法関連については初級学園の内容よりももう少し踏み込んだ、いくつかの属性を組み合わせるといったようなことをしている程度でそこまで参考になるわけではなさそうだった。

初級学園でも選択できる経済について言えば、初級学園の経済は算数、数学の他地理に関連したような内容なのに対し、高等学園の経済は統計だったり物価の変動だったり、こちらはだいぶ専門的になっている。

ちなみに、現在通っている学校にも歴史や地理の授業がないのだが、創世記の頃の歴史などならばともかく、近代史は記録が残っているし地理ならば地図がある。調べてわかることはわざわざ教えないのがこの世界のスタンスだ。



滞在5日目、この日はアルの日だ。

ザルツの言っていたように、通りには平日とは違って、こんなに人が住んでたの?というくらい多くの人が溢れていた。確かに人が多すぎてこんな日に中央公園付近には行きたくない。宿でゆっくり休むことにした。


滞在6日目。初めて研究棟に足を踏み入れた。今日の護衛はサイファである。

区画ごとに研究内容が違うようで、大まかに魔法研究、魔導具研究、魔物研究、古代文明研究、伝承研究・・・あとは地球にもあるような建築学、地質、動物学、植物学、それから医学、疫学などなど・・・やはり興味があるのはこの世界ならではの学問だ。


魔法研究の区画に、精霊の力とはなにか、というのを主題に研究を行っている部屋があった。精霊が何を力に変換しているのか、あるいはその仕組み、そもそも精霊とはどういう存在か。うん、これは私も調べてみたい。

その隣の部屋とは共同研究もしているらしく、そちらは転生と精霊の力の関係についての研究。うん、これも興味がある。


魔法の使い方とかそういった内容には心惹かれないが、もっと基礎である魔法の根源に着目している研究室のほうが圧倒的に多い分この区画の研究には興味が湧くものが多い。


魔法研究の区画を見た後は魔物研究の区画を見せてもらった。ザルツが西の国から運んできた魔物はここで解剖や調査が行われたらしい。魔物の生態や能力の他、やはりこちらでも何故発生するのかとか、その精霊の力はどのように変質しているのかとか、そういった基礎研究が多い。これも勿論興味深い内容である。なんせ魔人をこの目で見ているわけだしね。


7日目。この日は見学は休憩して図書館で一日過ごした。本を読み始めると止まらない悪い癖が出たのである。蔵書の量は、それが一体どれだけあるのか、どんなものがあるのか、それを調べる気が無くなるくらい多かった。

なので、完全にこの日は読書を楽しんだだけである。休息も大事だよね。


8日目、再び研究棟へ。

古代文明の研究区画では、出払っている部屋が多くあまり見学できる場所がない。実際に発掘に行ったり、他の遺跡の分布から予測を立てて新しい遺跡を探しに行ったりと、かなりフットワークが軽いようだ。勿論発掘品を調査研究しているところもあったのだけど。


そこから伝承研究の区画に向かうと、まあいずれするだろうとは思っていたが、通路でばったりとザルツと遭遇した。


「おや、ティエラ様。研究棟はいかがですか?」


真正面から数人で歩いてくる中に、ザルツがいたのである。


「こんにちは、ザルツ様。

正直に言って、興味があるものが多すぎますね」


ここまで見ただけで、私の心は既に決まってるも同然だった。

あとはどうやって説得するか、だなぁ。

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