表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
113/201

112

宿まで迎えに来てくれたザルツと合流し、さてどこに行くかということで。

まずは街全体をぐるっと見て回ることにした。明後日からは護衛1人をつけて自力で回ることになるので、地理には少しでも明るいほうがいい。


といっても、目立つ建物が多いこの街では、多少迷子になったとしてもどうにでもなるような気はした。

六芒星の頂点に3つの初級学園、図書館、高等学園が1つ、そして学生たちのために用意された巨大な寮。この中で最北端にあるのが図書館で、その裏手、街の北側は研究のためのあらゆる施設で埋め尽くされている。

そうした構造のため、立っている場所から6つの建物の位置関係が見えれば、それだけで方角も大体の現在位置もわかるのだ。


街の中心にある公園の周囲はたくさんの商店が並んでいる。食料品、書店、文具店、魔導具の店・・・街の外側に行くほど住宅が増えるが、単身者が多い、すなわち買い物をする世帯の数は他の街よりも大幅に多いため、食料品を扱う店は至るところに点在しているのだそうだ。


「それにしても、意外と静かな街ですね」


「いえ、そうでもないですよ。

平日の昼間はこんな感じですけど、アルの日は人が多すぎて外出したくないくらいです」


なるほど、皆が学校に行っているからか。多くの人が同じ生活時間帯になるその辺の事情は日本に近いのかも知れない。


「ザルツ様はいつもは研究者棟に?」


「そうですね、あとは高等学園で授業を受け持ったり、図書館で調べものをしたり」


「遺跡の発掘に出かけたり、ですか?

そういえばご専門は?」


「うーん、僕は雑食なので、これ、というのは決めていないんですよね」


それで研究職ができるなんて、世の研究者が聞いたら嫉妬に狂いそうだ。


「最近は伝承を調べることが多いですね、創世記の」


絵本のような創世記で読んだ、あれだろうか。


「偉大な魔道士が世界樹を、ってやつですか?」


「ええ、それです」


確かにあれには私も興味がある。ロキの誕生の秘密が潜んでいるのはほぼ間違いないだろうし。


「僕も世界樹と話ができればいいんですけどね」


私が成人するまではレイに聴取を行うこともできないし、手がかりがあるのに触れない、そんなもどかしい状況なのだと思う。


「そういえばティエラ様はどうされるんです?」


どう、というのは何のことだろうか。


「3年生からは授業が選択制になるでしょう?」


「うーん、悩んでるんですよねぇ」


2年までで基礎授業は終了で、あとは3年間自分の望む授業を2つ選んでそれだけを専門的に学ぶようになる。科目としては各種属性魔法、付与魔法、魔導具、あとは剣技や弓術、経済などなど。冬には希望を出さなくてはいけないのでそろそろ決めてもいい頃なのだが・・・


「剣と、経済、ですかねぇ・・・」


「実習を見て思ってはいたんですけど」


そう言ってザルツは一旦足を止めて、私の方を見た。


「ティエラ様、正直今の学校で学ぶこと、無いでしょう?」


はい、と言っては嫌味になるかも知れないが、正直その通りなのだ。そもそも魔法はレイが言っていた通り使い手次第。先人の知恵を学ぶという意味では授業も意味があるのだが、私が使う魔法は転生前の知識によるところが大きい。付与魔法も同様だし、魔導具も納得がいくものを作れてしまっている。となると武術全般とか社会的知識になるのだが、それにあたる授業はピンポイントすぎる上に数が少なすぎて物足りない。将来的に役に立つとも思えない。

そんなわけで、どの授業も受けたくて迷っているのではなくて、どの授業にも魅力がなくて迷っているのだ。


無言を貫く私を見て、やっぱり、といった顔のザルツ。はい、図星です。


「とはいえあと3年以上ありますし、選ばないわけにもいかないのでそろそろ決めようとは思うんですけどね」


「うーん・・・なんだかそれは時間の無駄ですねぇ」


「そうなんですよねぇ」


「ティエラ様さえよかったら、ですけど」


なにか名案があるのだろうか?


「スーリヤに来てはいかがです?」


「卒業後に、ですか?」


「いえ、来春に、ですね」


来春はまだ3年生になる時期だ。編入とか?でもスーリヤの初級学園ってそんなにレベルが違うのだろうか。


「所謂飛び級というやつですね」


おお、なんか海外のエリートの代名詞みたいな言葉が出てきた。


「といっても高等学園でも学ぶことは殆ど無いと思うので、学園に建て前上だけ在籍しながら、実際は研究棟で研究をする形になってしまいますけど」


3年間を無駄にするよりはよっぽど魅力的な話だ。私もできるなら世界樹のことや精霊のこと、転生者のこととか、調べてみたいことはたくさんある。


「そんなことが可能なんですか?」


「飛び級自体は次の段階の教育機関に所属することが条件で認められていますよ。

勿論それなりの審査はありますけど」


審査。試験とか実績の評価とかだろうか。


「高等学園では次の教育機関に該当するものがないので飛び級はできないですけど、一部の優秀な学生は研究棟に所属することで授業を免除されます」


なるほど。スーリヤの学術都市の名は伊達ではないわけか。

ふむ。・・・問題は2つある。


「私にその条件全部クリアできますかね?」


「ティエラ様に出来なかったら誰一人できないでしょうね」


「お褒めいただいて光栄です。

ならあとは・・・」


「ご両親の許可、ですかね」


「一番の難関な気が・・・」


「そんな気がしますねぇ・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ