第34話 決戦 前編
どうも、とうとう決戦かと初心者Pです。
やはり大きな戦いになるので、前後編に分けます。
今回は戦わず、お話し回です。
では、第34話どうぞ~。
第34話 決戦
ツカサとの勝負を終え、俺たちは宿で一休みをしていた。今、俺の部屋で休んでいるのはファルドとツカサ、そして俺だ。
ちなみに、ツカサは兜が壊れたというのをきっかけに、頭にはなんの装備もつけていない。どうやら、女の子だと気づかれなかったのがショックだったようだ。
それは置いておいて、丁度3人でいるわけだし俺が疑問に思ったことを話そうと思う。
「サザリーと戦うんだが、どこにいるか分からない」
「え!?」
「ふむ、それなら問題ない。コレがサザリーの居場所を突き止めてくれる」
「それが?」
「あぁ、コレはサザリーのいる方向に向く方位磁石だ」
ファルドが懐から出したのは、地球でも良く見る方位磁石だった。だが、中には針が入ってるだけで何も書いていない。
いや、針に何か書いてある。『サザリー・ナウ』……見なかったことにしよう。
「それ、もはや方位磁石としての役割を放棄してるんじゃ……」
「そうか。ファルド、ありがとう」
ファルドの持つ方位磁石を見ると、針はある方向を示して止まっている。つまり、この針の向く方向にサザリーがいるということだ。
とても便利な道具を出してくれたファルドに感謝しつつ、俺は王子の部屋に行こうと2人に提案した。
「別に構わないが、何故だ?」
「あそこの方がキレイだ!」
「何も考えてなかったんだな」
「でも、確かに一理ありますね」
別にこの宿が汚いと言っているわけではないが、やはり王子の部屋のほうがキラキラしていてキレイだよな。
それに、王子がそう簡単に外に出られないのはよくある話。それを考慮しても、俺たちが王子に会いに行った方が効率的だ。
ということで俺とファルド、そしてツカサの3人で宿を出て城に向かっている。だがその途中、面倒くさい奴に出会ってしまった。
「師匠!師匠じゃないですか!」
「あ、こいつ忘れてた」
「ユウトさん、今忘れてたって……」
「俺もしっかりと聞いた。お前、自分の弟子の存在を忘れるなど。愚の骨頂」
すっかりさっぱり忘れていた。そういえば、こんな奴いたな~、と今思い出したくらいだ。
たしか、ツカサに仲間を集めることを話したよな。その時にちょろっとコイツのことを言った気がするが、それから記憶喪失にでもあったかのように馬鹿野郎の存在が消えていた。
「え~と、久しぶりだな。どうしたんだ?」
「どうしたじゃないですよ!なにやら強敵との戦いが待っているようではないですか!何故、俺もその戦いに連れてってくれないのですか!?」
「おま、それ誰から聞いた!?」
「情報収集は家の十八番なんですよ」
なんだよそれ、聞いてないよ。お前の家ってどっちかっていうと肉体派じゃないの?だって、名誉騎士でしょ!?騎士ってことは、剣の方が得意じゃないのか?
だがまぁ、話が早いのは助かるか。仕方ない、知られてしまっては話すしかないな。
「お前には頼みたい任務があるだ。だから、連れては行けない」
「任務?」
「あぁ、お前にしか頼めない任務だ。受けてくれるな」
「はい!!俺にお任せください!!」
「良い返事だ。では、任務の内容を発表する。
「……(ゴクリッ」
「お前にはノラ達の護衛をしてもらう。俺がいない間はお前が頼りだ。頼んだぞ」
「俺が……頼り?」
「あぁ」
「誠心誠意!命を懸けて!務めさせていただきます!!」
ふぅ、なんとか誤魔化せたか。本当にコイツは面倒くさいな。まぁ、俺のことを慕ってくれてるのは分かるんだが、暑苦しくてな。
俺は1人で熱くなっている馬鹿野郎を放置し、ツカサとファルドを連れて城へ向かった。
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「それで、どうして僕の部?」
「だから、キレイだからだよ」
「なるほど……」
「じゃ、作戦会議をするぞ」
「作戦会議?」
「なんだそれは」
「あれ?お2人共聞いてないのですか?
「あぁ」
「はい」
お前ら、結構仲良いのね。お兄さん、なんか独りぼっちで寂しい。
だが、それを乗り越えて俺は作戦会議を決行した。
「サザリーは強い。だから、一応作戦を立てておこうと思ってな」
「だが、サザリーがどんな手段で攻撃してくるかはあまり分かってないだろ」
「そう、ファルドさんの言う通り。だから、何をされても良いように作戦を立てるのさ」
「なるほど。それで、どんな作戦を?」
「サザリーの魔法は強力だ。だが、爆発系の魔法などは近距離では放てない。だから、近距離戦に持ち込む」
サザリーの魔法はまだ2つしか見てないが、どちらもまともに食らえば一撃だ。だから、あんな魔法を放てないくらいの距離で戦う必要があるのだ。
「だが、問題はもう一つ。呪いだ。近距離で戦う以上、呪いに細心の注意を払ってほしい。これを食らえば、力が減衰。他にもおそろしい効果が出るかもしれない。十分に気を付けてくれ」
「はい!」
「分かりました」
「分かっている。だが、奴は近距離戦も強い。それはどうする」
「それは、数で圧倒します。幸い敵は1人……かもしれません。なので、俺たち全員で叩きます」
サザリーは完璧超人だ。だが、1対多数ならば勝機はあるはず。それでも勝てなかったら、俺にはどうすることもできない。
だが、このメンバーならもしかしたら勝てるかもしれない。うーん、ダメだ。希望的観測で動いたら即死確定だな。落ち着こう。
「だけど、結局何が起こるかは分からないのが現実。だから、戦闘時は各自の判断に任せます。なにより今回の戦闘、死者が出る可能性が高い。でも、俺と共に戦ってくれると言ってくれてありがとう。俺からは以上です」
俺の言葉に場の空気が一気に冷めた。きっと、死者が出ることは全員が考えていたことのなのだろう。だが、出来るだけ考えないようにしていた。
けど、逃げてはダメなんだ。人間誰しも死にたくはない。でも、人間なんてアッサリと死んでしまう。だから、今を精一杯生きなければならない。精一杯、死なないように足掻かなきゃいけない。
「今日は帰ろうか。王子にも、きっと話したい相手がいるだろう。ファルドさんも、ツカサも、考える時間がほしいはずだ。だから、皆今日は解散。明日、早朝にサザリーの元へ行く。それでいいよね」
俺の提案に全員が頷いた。こうして、作戦会議は重い空気の中終了。それぞれが、それぞれのしたいことする時間が残った。俺は、さっそくしたいことをするために宿に戻った。
俺がしたいこと、それはノラ達と話すことだ。あいつらを守る、そのために今まで戦ってきた。このことはもう何度も考えている。
だから、最後にもう一度力をもらいたい。本当に、最後になってしまいそうだから……。
「3人とも、いるか?」
「いるですよ!入るですよ!!」
「おう、入るぞ」
ノラの元気な声を聞きながら、俺は扉を開け部屋に入る。すると、ノラが俺の胸に飛び込んできて、ニアが俺の足にしがみ付いて、ミリアが……羨ましそうな顔でこちらを見ている。
驚きはしたが、そこまで強い衝撃ではなかったので何とか耐えた。ノラを抱き抱え、何が起こったのかを聞く。
「ど、どうした?」
「ユウト、戦いに行っちゃうですよね?」
「……馬鹿野郎が話したんだな?」
「ん、そう。それで、頑張ってのハグ」
「それで俺に飛び掛かってきたのか」
馬鹿野郎に口止めしておくのを忘れていた。ノラ達には心配させないように、最後まで隠しておくつもりだったのに。
バレてしまっては仕方がない。ありがたく頑張ってのハグを頂戴致しますか。
「ミリア、おいで」
「ッ!……ご、ご主人様のご命令とあれば」
「(そう言っている割には、嬉しそうなんだが)
俺はノラを下し、3人の目線に合わせしゃがんだ。そして、3人を並べて包み込むようにハグをした。
突然のことで顔を真っ赤にしてアワアワしているノラ達をギュッと、さらに強めに抱きしめた。すると、ノラ達も必死に俺を抱きしめようとしてくれた。
「ありがとう、ノラ、ミリア、ニア。3人のお陰で勇気が出て来たよ」
「それは良かったですよ!」
「ご主人様が負けるはずがありませんからね」
「ん、ユウト様最強」
この3人の俺への評価が高すぎる。別に俺は最強じゃないだけど?
でも、それくらい信頼してくれているのは分かるよ。どうしてかは分からないけど、俺を信じて待っていてくれるといことが。
俺は3人を離して、1人1人の目を見て話した。
「ノラ、ありがとう。いつも元気なノラを見ていると、とても元気が出るよ。それに、あの時も俺を慰めてくれた。本当に感謝してる」
「当り前ですよ!だって、私はユウトの奴隷ですから!」
「ミリア、ありがとな。ミリアが俺の出来ないことの殆どをこなしてくれて、助かってるよ。それに、俺の武器の手入れだってこっそりやってる気付いてるからな?」
「と、当然です。私だって、ご主人様の奴隷ですから」
「ニア、ありがとう。ニアのそのマイペースな性格のおかげで、毎回焦らずゆっくりとやれている。ニアがいると、安心するような気がするよ」
「ん、私はユウト様の妻だから」
それからしばらくは、ノラ達と話をしたり遊んだりした。その間、俺はサザリーとの戦いを忘れることが出来た。どういう理由で戦うことになったとしても、この戦いの結果は世界の命運を左右する。そのプレッシャーを、一瞬だとしても忘れることが出来たのだ。
ノラ達にはきっと何年経っても頭が上がらないだろう。この子たちがいてくれたから、きっと俺は間違いを犯さずに来れた。
勝つ、絶対に。サザリーを倒して、神を呼ぶとかいうバカげた野望を終わらせてやる。世界がどうとか、皆がどうとかじゃない。ノラやミリア、ニアのために。そして、俺に関わった全ての人たちのためにも。絶対に勝って見せる。
次回、本当に決戦。
お楽しみに~。




