第30話 再起
どうも、初心者Pです。
今回は一度挫けて、また立ち上がる話です。
それでは、第30話どうぞ~。
第30話 再起
王女が殺されてから数日後、王女の葬儀がひっそりと行われた。葬儀に参列できたのは王女の身近な人たちだけ。だが、王子の推薦で俺も参列させてもらった。ありがたいと思う反面、来たくなかった。自分の無力さを突き付けられている気がして……。
王女の死は魔法の暴走による事故、という発表になった。何故そんなことになったのか王子に聞くと、
「たった1人の女に王女が殺されたなんて知られたら、この国に不信感をもつ者が現れます。それに、城はそんなに簡単に入れるのかという噂も流れかねない。僕も不本意ですが、それしかないのです」
という返答が返ってきた。言いたいことは分かるが、納得はできない。
それからしばらくは何も出来ない日が続いた。何も出来ないと言っても、毎日ギルドで依頼はこなしていた。でも、それ以外は何もしなかった。宿へ戻って、ベットに寝転がってあの日のことを思い出す。そして、血が出るくらいに拳を握りしめた。
そんな日々が続く中、ノラ達が心配して部屋に来た時があった。だが、ノラ達が来たのが葬儀があった日という、最悪のタイミングだった。
葬儀から戻ってきて部屋で無駄な時間を過ごしていると、扉をノックする音とノラの声が聞こえた。
「ユウト、失礼しますですよ」
俺は何も応えず、ただベットの上でボーっとしていた。すると、ノラ達は扉を開けて部屋に入ってきた。そして、俺を見て驚いていた……と、思う。よく見ていなかったから覚えていない。
まず俺に話しかけてきたのはノラだった。ノラは俺の寝転がっているベットに座り、優しく問いかけてきた。
「ユウトは最近変ですよ。何かあったですか?」
「……」
「もし何かあれば、話してくれるだけでも私たちは嬉しいですよ?」
「……」
「……本当に、どうしちゃったんですか?」
「……」
何があったのかと聞かれて、答えられるわけないだろ。たとえ答えるとして、なんて言えばいい?王女殺されちゃった、なんて言うのか?応えられる、はずない……。
俺がずっと虫をしていると、今度はミリアが話しかけて来た。声を聞く限り、相当怒っているようだ。
「ご主人様、勝手ながら言わせてもらいます。今のご主人様はかっこ悪いです」
「……」
「かっこ悪くて、ヘタレで……こんなご主人様をもった私は世界一不幸でしょうね」
「……そうかよ」
「そうかよ!?なんでそんなになってしまったのですか!少しは怒ったらどうですか!」
「……」
その後もミリアの罵倒は続いたが、俺の心には1つも届かなかった。王女が目の前で殺された時のことを思うと、今さら嫌われても何も感じない。俺なんかと一緒にいても、ミリアの言う通り世界一不幸になる気がするしな。
そんなことを考えていると、突然ミリアの罵倒が止まりニアが話しかけて来た。
「ユウト様、私たちは知ってる。ユウト様がどれだけ頑張ってるか。でも、知らないことたくさんある。だから、教えてほしい」
「知らなくても、いいことはあるだろ」
「ある。でも、ユウト様のことは何でも知りたい。良いことも、悪いことも」
「そうですよ!私も知りたいですよ!!」
「……」
こんなに俺のことを思ってくれる。それを知って復活、とはいかない。アニメや漫画みたいに、ヒロインに励まされてはい復活。なんて、現実で心折れた奴に通じるわけないだろ。あの時燃えてた心は、今完全に燃え尽きてんの。もう燃える要素はありませんよ。
心の中で思っているだけなので、彼女たちはひたすら俺を慰め続けた。それに俺は「あぁ」とか「はぁ」とか適当に返すだけ。
そして、とうとう諦めたのかしばらく小さな話し声が聞こえたかと思うと、部屋を出ていく音が聞こえた。やっと諦めたか、なんて思ってたらベットに誰かが入ってくる気配が……。そして、耳元でノラの声が聞こえた。
「ユウト、寝ちゃったですか?」
「……」
「寝てても話すので関係ないですが」
「(だったら聞くなよ)」
「ユウトは覚えてますか?私を助けてくれた、あの時を」
ノラにそう言われて思い出してみた。たしかあの時は、依頼でグリズリーの巣の破壊をしようとしたときに、ノラを偶然発見したんだったよな。それで、何故か惚れられて今ままで一緒だった。思い出すだけで笑えるな。なんとも、ラノベチックな出会いだ。
「あの時ユウトが来てくれて、本当に嬉しかったですよ。それに、その後の赤いクマと戦ったときだって……」
そういえば、そんなこともあったな。レッドグリズリー、あの時は本当に苦戦した。死を覚悟したなぁ。だって、初めて魔法とか見たし、剣でまともに斬れなかったし……。そう思うと、今の俺って結構強くなってるかもな。ドラゴンと戦ったこともあるし?
「あれから私はユウトが好きなったですよ。強くて、かっこいい。まるで、物語の中の英雄みたいだったですよ」
英雄……俺が辞退したやつだな。英雄なんてガラじゃないし、魅力を感じなかった。それに、その後の名誉騎士なんてまったく興味なかったな。
「でも、最近になってユウトは英雄じゃないと思ったのですよ。英雄は1人で何でもできて、皆を守っちゃうような凄い人なんですよ。だけどユウトは、1人じゃ出来ないことがたくさんあって、皆を守るために必死に努力をする。そんな、英雄よりも頑張り屋さんなのですよ!」
頑張り屋さんなんて、褒め言葉に聞こえないな。言い方を変えれば、頑張らないと何も出来ない。何も守れないダメダメな男ってことだろ。ハッキリ言ってくれればいいのに、気を遣ってくれたのか?
「だから、ユウトが頑張って頑張って……それでも出来なかった時は、私に言ってほしいのですよ。あ、私だけじゃなくて、ミリアちゃんやニアちゃんにも」
「……言って、どうなるんだよ」
「言葉にするだけで、気が楽になるですよ。スッキリするというか、楽になるですよ!」
おい、2回言ったよこの子。やっぱり天然ていうか、アホの子なんだろうなぁ。だって、あの村長の孫だろ?思い出しただけで村長殴りたくなってきたな。
それよりも、ノラ達に話す……できればそうしたいが、やっぱり何て言えばいいか分からない。自分の失敗を晒すことなんて、したくない。
「だけど、本当に言いたくなかったら言わなくてもいいですよ。言うことが苦しいなら、言わなくても。でも、私たちが心配してることや力になりたいことだけでも、知ってほしいのですよ」
「……ゴメン」
「いいですよ。だって、私はユウトの奴隷だからですよ!!」
「そっか……」
なんだか心が温かくなった気がした。やる気とは違う。何というか、勇気に近い何かをもらった気がする。ノラはそんなつもりなかったんだろうけど……やっぱり、天然だな。
そこから俺が寝てしまったので、何があったかは知らない。だが、朝起きたらノラの他にもミリアとニアが俺のベットに入り込んでいたのを発見した。
「おぉ……絶景かな絶景かな」
美少女3人の寝顔を一度に、それも生で見れるなんて俺の前世ではあり得なかった。なんという幸福、そして幸運!
俺が朝日に向かって神にお礼の祈りをしていると、ノラとミリアが起きて来た。ニアは……いつも通りだ。
「あ、おはようですよ~」
「おはようごじゃいま……ございます」
「お、おう。おはよう」
噛んだ、ミリアが噛んだぞ。可愛い。なんて顔をしていたら、ミリアのアイアンクローを朝から食らってしまった。目が覚めました。ありがとうございます。
さて、今日から頑張らないとな。数日間の無駄を取り戻さないといけない。結構怠けてしまったから頑張ろう。
「ノラはマナに朝食を作ってもらってミリアとニアと食べてくれ。ミリアはニアを起こして食堂へ連れってやれ」
「ユウトはどうするのですよ?」
「俺はちょっと城に行ってくる」
「お城、ですか?」
「あぁ、頑張らないといけないからな」
そうさ、こんなところで立ち止まってられない。というか、あの時結構頑張ろうと思えたんだけどなぁ……どうして今まで意気消沈してたんだろう。全てを切り捨てるつもりはないけど、やっぱり多少は切り捨てないと力は得られない。
だから俺は切り捨てるぜ。休日という名の、素晴らしき日を!!
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in 城
「それで、何故に俺はここに?」
「父様がもう少しで来ます。身だしなみを整えてください」
「わ、分かった」
城に着いて王子を尋ねたら「丁度いいところに来てくださいました!」と言われ、謁見の間まで連れてこられました。何がどうしてこうなったのか、説明求む。
そんなことを考えていると、王様が来たようだ。ゆっくりと歩いてきて、俺らの居る場所よりも少し高いところにある豪華な椅子に腰かけた。
「久しいな。そなたと会うのは、これで2度目だったか」
「はい」
「実はそなたに頼みたいことがあるのだ」
「頼みたいこと、ですか?」
「うむ。頼みたいことというのは他でもない。儂の妻の仇をとってほしいのだ」
「仇討ち……ということですか?」
「頼めるか?」
王様の顔と声がマジだった。本当に人を殺そうという顔だ。それ程に王女のこと愛していて、悔しい思いをしているのだ。そんな顔をされたら、断れないじゃないか。でも、やっぱり俺じゃ……。
「もちろん、こちらかも出来る限り手助けをするつもりだ」
「手助け?」
「最近になって勇者を召喚したのだ。そなたの旅に連れて行くがいい」
「勇者?召喚?」
「入れ」
俺が混乱していると、謁見の間に入ってくる鎧姿の人が1人。兜を被っているため、顔が見れない。というか、こんなこと前回もあったような……デジャブって、数日の間に連続で感じるものだったっけ?
「異世界の勇者だ。実力も十分にある。だが、世界を知らない。だから、そなたの旅でより強くしてやってくれ」
「はぁ……異世界……勇者」
「突拍子もない話なのは分かる。だが、本当のことなのだ」
「あ、いえ、疑っているわけじゃないんです」
「だったら、何が不満なのだ?あれか、報酬を心配しているのか」
「違います違います!ただ、本当に俺でいいのかな……って」
「どういうことだ?」
「だから、一度敗けた俺で仇討ちに貢献できるのか心配で」
「一度敗けているそなただから選んだのだ」
「え?」
「一度敗けている。それが力になると、儂は思ったのだ」
このジジイ、性格悪いな。一度敗けた奴に同じ相手と戦えと言う。そして、勝手こいと言うんだからタチが悪い。でも、チャンスがもらえるなら……あの女をこの手で殺すチャンスがもらえるのなら、とてもありがたいことじゃないか。
「分かりました。お受けしましょう、その依頼。あの女を必ず殺してきます」
「おぉ、英雄殿にそう言ってもらえると心強い」
「ただ、1つ条件があります」
「ふむ、なんだ」
「少し時間をください。強くなるための、時間を」
「……分かった。そなたの好きにするがよい」
「ありがとうございます」
こうして俺はあの女との戦いを避けることなく、真っ正面から受けて立つことにした。だが、時間がほしい。この時間、強くなるためと言ったが本当は違う。
今の俺は、立っているだけでも……辛いのだ。
前回に心が燃えていたのは、怒っていたからです。怒りが収まったら、やっぱり無理となってしまいました。
次回は勇者の実力が分かります。
お楽しみに~。




