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転生者は他人の真似が上手なようです!  作者: 初心者P
第3章 王都 ~俺は英雄になりたくない!~
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第25話 英雄

どうも、前書きで書くことがなくなってきた初心者Pです。


今回は若干、タイトル詐欺です。スミマセンm(__)m


そして、ユウト君の考え方が変わりつつあるようです。


それでは、第25話どうぞ~。

第25話 英雄


 俺は逃げ惑う人々とはまったく反対方向に走っていた。逃げてる人は皆、北門へと走っている。だが、俺は魔物が来たと思われる南門に来ていた。

 南門に来ると、兵士の人たちが武器を構え魔物を迎え撃とうと意気込んでいた。その内の1人、偉そうに立っていた人が俺に気が付き話しかけて来た。


「君、どうしてこんなところにいるんだ。早く避難しなさい」

「大丈夫です。俺、冒険者なんで」

「何?……武器はどうした」

「……あ」


 やってしまった。完全に忘れていた。たくさんの魔物、レベル上げ、強くなれる。そう思った瞬間、武器を買うことなんてすっかり忘れてここまで走っていた。

 どうしよう。結構真面目にどうしよう。今から武器を買いに行っても、きっと店の人たちは全員避難してるだろうし。


「まさか……忘れたのか?」

「う……はい」

「何やってるんだ君は。それでも冒険者か?」


 かなり呆れた感じで言われた。まぁ、言いたいことは分かります。分かりますが、ちょっと癪に障るな。もしかしたら何か事情があるかもしれないのに、そんな言い方はないんじゃないか?別にそんな事情なんて何にもないけどね!

 俺がそんなことを考えていると、ある兵士が叫び始めた。そして、その叫びは他の兵士にどんどんと感染するかのように広まっていった。


「魔物だぁ!!」

「魔物が来た!」

「魔物が見えたぞー!!」

「魔物だぁ!!魔物!!」

「魔物が見えたぞぉぉーーー!!!」


 兵士たちは口々に魔物が来たことを全体に知らせていた。俺は兵士たちが指さす方を見てみた。俺のところからだと少し遠すぎて良く見えない。

 だが、俺には便利な眼がある。俺は「ズーム」を使って見てみた。すると、確かに魔物の軍勢がこちらに向かってきているのが見えた。

 ただ、気になることがあり。その魔物の軍勢、どれも見たことがある魔物ばかりなのだ。それも、あのダンジョンで。


「武器を構えろ!!敵はすぐそこだ!気を緩めるな!!絶対に!絶対にこの門を潜らせるなぁ!!!」

『うおぉぉおお!!!!』


 おそらく俺の目の前にいた人が隊長なんだろう。さっきの隊長の言葉に呼応した兵士たちの叫びが辺り一帯に響き渡った。正直うるさかったが、こうでもしなければ怖くて戦えないのだろう。叫ぶことによって、自分を奮い立たせているんだな。

 ま、俺にはそんなの必要ない。武器のことはちょっとうっかりしていたが、別に武器がなくても戦える。拳がある、蹴りがある、混合気がある。強くなったんだし、武器は今のところ必要はないな。


「さて、じゃあまず俺が行きますね」

「あ、待ちたまえ!!」

「大丈夫ですから。心配無用ですよ」

「違う。これを使いたまえ!」

「これは、剣?」


 渡された剣は刀身が青く、太陽の光で淡く光っていた。そして、よく見るとこの剣は相当使い込まれているのが分かった。何度も刃こぼれして、研いでまた使う。そんなことを繰り返して来たような剣だった。それに、柄に巻いてある革が擦れてザラザラしているのもその証拠だろう。

 俺はその剣と隊長を見比べていた。すると、隊長は薄く笑い俺に目配せで「使え」と言ってきた。なんというか、隊長さんらしいな。隊長って、面倒見がいい気がする。


「ありがとな。じゃ、ちょっくら行ってきますよ」

「死ぬなよ。君が強いのは感じ取れたが、やはり油断は命取りだ。気を付けろ」

「誰に言ってんだ。俺が油断なんてする訳ないだろ」

「そ、そうか」


 最後の方に少し殺気が混じってしまったようだ。心のコントロールさえできないとは、俺もまだまだだな。一旦落ち着いて、呼吸を整えるんだ。

 俺は数回深呼吸をした後、魔物の軍勢へと思いっきり走りだした。その直後、門が勢いよく閉じる音が後ろで聞こえた。

 俺はそんなことお構いなしに走り続ける。そして、戦闘の魔物まである程度距離が詰まったら先制攻撃をお見舞いする。


「《アイス・フィールド》」


 やはり先制攻撃は全体攻撃だ。たった1匹殺したところで、敵はどうにもならないだろう。だから、数十匹を巻き込めるこの魔法で攻撃したのだ。

 俺の魔法により地面が凍り始め広がっていく。そして、次にそこに足を踏み入れた魔物たちが凍っていく。足からゆっくりと、体まで凍るともう助からない。そして1匹、また1匹と死んでいった。

 しかし、魔物の行軍は止まらない。次から次へと突っ込んでくる。しかも、俺の魔法が届かなかった左右から魔物が抜けていく。


「くそ!させるかよ。《アイス・グランド》!!」


 地面に拳を突き立て一気に凍らせる。一瞬だ。《アイス・フィールド》とは規模も速さも段違いだ。この魔法で左右から抜けていった魔物の半分は凍らせた。

 だが、やはりまだ抜けた魔物がいた。それは、もう俺の攻撃の届かないところまで行ってしまった。


「ま、あとは兵士に任せるか。数人は死ぬだろうが、それがあいつらの仕事だろ。それよりも……」


 俺が後ろを向いているのに油断したのか、背後から炎が飛んできた。俺はそれを振り返らずに上に飛んで避けた。

 そして、空中で姿勢を反転させ炎を吐いた本人を見る。そいつは、あの時俺が撃退した魔物であり、俺が出会って唯一倒せなかった魔物である。


「よう、久しぶりだな。ドラゴン」

「グギャァァ!!」


 ドラゴンも俺のことを覚えているようで、並々ならぬ殺気をぶつけてくる。その周りにいる魔物も調子乗っているらしく、ドラゴンと一緒に殺気をぶつけて来た。

 俺はそれがとても気に入らなく、地面に着地すると同時に混合気をぶつけ返した。


「雑魚が、粋がってんじゃねぇ」


 俺の言葉と連動するように、さっきまでギャーギャー叫んでいた魔物たちはほとんど倒れ死んだ。ドラゴンは叫ばなくなったが、まだ意識を保っているらしい。それすらも気に食わないが、まぁいいだろう。戦う相手がいなくなると困るからな。

 俺がドラゴンと対峙している中、次々と俺を無視して魔物たちは王都へと進んでいった。俺もそんなやつらを無視した。元々俺は王都なんてどうでもよかった。ただ、こいつらを倒して強くなりたかった。

 あれ、でも最初は何かを守ろうとして……いや、今はどうでもいいか。


「目の前の敵を、殺すだけ!!!」


 俺はドラゴンのもう片方の目を狙って《一閃突き》を繰り出した。ドラゴンはそれに驚き避けようとしている。しかし、速さ、キレ、どちらをとっても前とは違う。 

 俺の剣は見事にドラゴンの目に刺さり、ドラゴンは絶叫した。そこで俺は剣を引き抜き、一旦距離をとった。

 両目をつぶされたドラゴンはただ暴れるしかできない。俺はそれを見て幻滅した。こんなことなら、あのダンジョンにいた特殊なゴブリンのほうが強かった。【空間把握】の能力があれば、目が見えなくなってもある程度周囲の事が分かるのに……こいつは、まったくダメだな。


「はぁ……期待はずれ。もううるさいから、死ねよ」


 俺は剣を左手に持ち替え、暴れているドラゴンの顔を右手で思いっきり殴り黙らせた。殴られたドラゴンはしばらくクラクラと頭を動かしたあと、地面に顔を落とした。

 だが、これで死んでないと分かっていた俺はドラゴンが口を開けられないように剣で突き刺した。しかし、長さが足りない。この剣、切れ味は最高なのだが短すぎる。


「まぁ、これで死ぬならいっか。《乱れ斬り》」


 俺はひたすらドラゴンの顔目掛けて剣を振り続けた。闇雲なわけではなく、細切れにするイメージで剣を振るっていた。

 そして、3秒くらい経ったと思った俺はピタッと剣を止めた。そのままドラゴンに背を向け他の敵を探す。

 そして歩き出してしばらくすると、後ろの方からブシャァァァァという音が聞こえた。だが、俺は気にすることなく魔物を探した。


「……いない。敵が、いないぞ」


 しかし、探せど探せど魔物の1匹も見当たらない。何故だろう、と思っていると門のあたりで歓声が上がっているのが聞こえた。どうやら魔物が全て討伐されたようだ。

 仕方がない。これ以上は何をしても無駄だな。さっさと王都へ戻って武器を探さななければ。

 そんなことを思いながら門へ戻ると、何故かたくさんの人に囲まれた。その中には兵士以外にも冒険者が混じっていた。どうやら、冒険者が到着していたらしい。だから魔物をこんなにも効率よく討伐できたのか。と、俺は内心納得した。


「何ですか?俺することあるんで、退いてもらっていいですか?」


 そう俺が言うが、俺を囲む人が退く気配はない。というか、ほとんどの人がなんだかニヤニヤしているようで気持ちが悪い。何で俺がこんなことになっているんだ。

 そう思いながら無理やり歩き出そうとしたとき、囲んでいた人たちが道を作るようにして裂けていった。そして、そこから見覚えのある顔が……隊長さんが出て来た。


「君には感謝してもしきれない。本当にありがとう!」

『ありがとうございます!!!』


 どうしてこうなった?俺には理解できないんだが?だって、急に隊長がお礼を言いながらお辞儀してきたと思ったら、俺を囲んでいた奴ら全員お辞儀をしてきたんだぞ?これを理解できる奴がいたら俺のところへ来い。そして、現状を説明しやがれください。


「君がいなかったら、あのドラゴンに我々は皆殺しにされ……街を焼かれていた」

「……え?」

「あの魔法はあんただろ!?あれのおかげで俺たち凄く楽できたんだ!」

「……ん?」

「そうそう。あんたが強い魔物ばかり足止めしてくれたから、こっちの被害は最小限で済んだ。ありがとな!」

『ありがとう!!』

「……はぁ?」


 良く分からないんだけど。何?つまり、俺が自分のためにやってたことを、こいつらは街のためにやったと勘違いしてるのか?もしそうだとしたら、俺としては結構迷惑なんだが。

 俺が嫌な顔をしているのに気付かない隊長さんはとんでもない発言をした。


「俺たち……いや、この国の英雄様の誕生だ!記念祭と一緒に祭りをするぞ!!!」

『おぉぉぉぉ!!!』


 え?記念祭と一緒?そんな簡単に決めても大丈夫なのか?そんな、お母さんといっしょじゃないんだぞ?

それに、俺としては英雄になんてなりたくないんだが?

 そんな気持ちも知らずに隊長さんは話を進めた。


「王には俺から話を付けておく。お前らは準備だ!いいな!!」

『よっしゃぁあ!!!』


 湧き上がる歓声、狂喜乱舞な兵士に冒険者たち。ただ1人佇む、俺。この状況、どうにかしてくれる人はいませんかね?


 さてと、英雄を辞退する言い訳でも考えますか。

今回のユウト君、コピーを使いませんでしたね。それほど余裕だったのでしょうか。


そして、「殺す」とか「死ね」とかの言動が目立ってきましたね。お~怖い怖い。


さてと、次回はユウトにとっての面倒事がまた降りかかります。


お楽しみに~。

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