第24話 力を持つということ
どうも、初心者Pです。
今回は力を持つということ……なんてタイトルですが、そんな良い話じゃありません。
主人公が自分には有り余る力を持ってちょっと悩む程度の話です。
それでも良い方は、第24話どうぞ~。
第24話 力を持つということ
王都の男性歩行者視点
ある日、その男は王都に現れた。全身を赤く染め、堂々と歩くその姿はまさしく鬼。いや、戦鬼だ。
しかし、そんな男は周りからの視線をまったく気にしようとしない。それどころか、宿屋へと入って行った。あぁ、可愛そうに。あんな奴が急に入ってきたらきっと困るだろうなぁ。
そう思い宿屋の看板を見てみると、そこには『永遠の眠り』と書いてあった。そして、俺は悟ったのだった。
「この宿屋は鬼を客としてもてなすのか」
それ以来、永遠の眠りという宿屋はよりお客が来なくなったという。
視点変更終了
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「ただいま~」
「あ、おかえりなサイ!?」
「どうかしましたか?」
「ど、どうかしましたかじゃないよ!なんでそんなに真っ赤なの!?」
真っ赤?何を言ってるんだこの娘は。ん?視線が俺の体に?……うぉ!?俺の体めっちゃ真っ赤じゃないか!ドユコト!?
そうか、モンスターハウスで魔物の返り血を浴び過ぎたのか。これは、早めに流さないと固まって落ちにくなってしまうな。
「体洗いたいんだけど、いい?」
「はい!井戸は自由で使えるので、どうぞ。ささ、早く早く」
「え?ちょ、押さないで?」
俺は宿の子に背中を押されて井戸まで連れてこられた。そして、装備を脱げと言われたので下は勘弁してもらった。
上半身の装備を脱ぎ、半裸になった俺に容赦なく冷水をぶっかけてくる宿の子。だが、今の俺にとっては冷たくて気持ちいのでもっとしてほしいと思った。
「まだ名前行ってなかったよね。俺はユウト。君は?」
「私はマナって言います。ユウトさんは冒険者なんですか?」
「そうだよ。今日はダンジョンに潜ってきたんだ」
「あー、だからこんなに血が……って、そんな危険なダンジョンに潜れるくらい強いですか!?」
「いや、まだC級冒険者だよ。これはモンスターハウスで浴びた返り血なんだ」
「えぇ!?モンスターハウスって、入ったら生還不可能のアレですか!?」
「え?そうなの?」
モンスターハウスって入ったら確実に死ぬトラップだったのかよ。ハインの奴、知ってて言わなかったな。あいつ、次会ったら混合気で気分を悪くしてやる。
俺が復讐心に燃えていると、マナが俺の体を必死に洗ってくれているのが分かった。頼んでもないのに洗ってくれるなんて、サービスなのか?ありがたいから別にいいか。
「でもやっぱり冒険者さんだと、身体つきも良くてかっこいいですね」
「そうかな?俺には良く分からないな。他の人の体なんて見たことないから」
「そうなんですか?でも、ユウトさんの体はかっこいいですよ。顔も……性格も」
「え?何だって?」
「な、何でもありません!」
マナがそう大きな声で言うと、どこかへ行ってしまった。
何だ?急に怒り出して。これって俺が怒らせたのか?どっちにしても、マナに悪いことをした気がする。あとで謝っておこう。
その後、俺は体と装備を一通り洗った。しかし、血というものはそう簡単に落ちるものではなく。ピンク色っぽくなってしまった。そして、クレイモアは刃こぼれが酷くもう使えない。
「仕方ない。どこかでまた新しいのを買うか」
俺はそう思い勢いよく立ち上がった。すると、体は宙に浮き景色は一転、青空へと放り出された。
焦りはしたものの、直ぐに自分が力み過ぎたのだと理解できた。それから、落下する途中に足へと力を入れしっかりと地面に着地した。
着地した地面は抉れ、足の形がくっきりと残ってしまったが問題はないだろう。抉れた分を他から持ってきて、埋めてやればほら元通り。
「あれ?というか、俺ってこんなに高くジャンプできたっけ?」
そんな疑問が湧いてきたが、武器の事を思い出し火魔法で装備を乾かして武器屋を探した。
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「武器屋は多いけど、どれもしっくりこないんだよなぁ」
やはり王都にはたくさんの店があり、売っているものも様々だった。しかし、どの武器を触ってもしっくりこず、自分には合わなかった。
というか、剣を持って振ると柄を握りつぶしてしまう事件が多発したんだよね。どうやら俺、強くなりすぎてしまったらしい。
「ステータス表示」
名前:ユウト
種族:人族
職業:剣士・上級
LV:55
HP:357万500/357万500
MP:8万6500/8万6500
筋力:1930
防御:1850
器用:2016
俊敏:2110
知恵:1730
運 :1560
スキル
【片手剣・上級】
【剣術・上級】
【槍術・中級】
【竜殺し】
【威圧】
【闘気】
【覇気】
【強者の余裕】
【料理】
【略式詠唱】
【礼節】
【商人】
【調教】
【探索】
【危険察知】
ユニークスキル
【空間把握】
魔法
【火魔法・初級】
【氷魔法・中級】
なんだこれ。モンスターハウスで見た時とは、比べ物にならないくらい強くなってるじゃないか?やはり、モンスターハウスで魔物を殺しまくったからか?
何はともあれ、目的は達成できたんだな。良かった良かった。けど、そのせいでちょっと困ったことになっているのも事実。
「俺は強く……なり過ぎた」
なんて、漫画のセリフを言ってみたがかっこよくもなんともないな。それに、それを扱えてない時点で超かっこ悪い。
せっかく手に入れた力だけど、ここまで使えないんじゃ宝の持ち腐れだ。守るために得た力が、守るために使えない。逆に傷つけてしまうかもしれない。
俺は危機感を覚え、ある人のところへと行った。
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「で、悩んだ末に俺のところへ来たと」
「あぁ、頼むよハイン。俺にアドバイスをくれ」
「アドバイスって言ってもなぁ」
俺は今会える人の中で一番強そうな人、ギルドマスターのハインに会っている。急に来たからハインも困った様子だったが、俺の話を聞いて真剣に悩んでくれた。
そして、しばらく唸った後こう言い放った。
「力のコントロールを覚えればいい。ただ、それだけだ」
「力のコントロールって、どうやったら覚えられるんだ?」
「とりあえず、その辺に転がってる石を壊さない程度に持てるようになれ。それから順に身近なものにしていけば、多少はマシになるはずだ」
「……分かった。やってみる」
俺はさっそく実践すべく席を立とうとした。しかし、ハインに止められ再び席に深く腰を下ろす。どうして俺を止めたのか聞けば、話したいことがあるそうだ。
ハインは1度咳払いをし、俺に話をし出した。
「ユウト、お前はたった1日で強くなった。それは異常なことであり、凄いことだ。それは誇っていい。だが、それで強気になって失敗した奴を俺は何人も見て来た。だから、お前はそういうことにならないようにしろよ」
「失敗?それって、どういうことだ?」
「お前にとって、強いとは何だ」
「強い?……大切なものを守れる、ってこと?」
「じゃあ、強くなければそれが出来ないと思っているんだな」
「当たり前だろ。強くなきゃ何も守れないだろ」
「確かにそうだ。守るには力がいる。だがな、力が強いだけだとお前の守りたいもの……離れていくぞ」
「は?お前何を言って————」
俺がそこまで言うと街中に鐘の音が鳴り響いた。カーンカーンカーンカーンってやつだ。それを聞いたハインは血相を変えて部屋を出ようとした。
俺は何がどうしたのかハインに聞くと、ハインは血走った目で俺にこう言った。
「魔物の襲撃だ!早く冒険者を集めねば!!」
「な、なんだって!?」
そこまで言うと、ハインは部屋を出て行ってしまった。
王都が魔物の襲撃にあうなんて滅多にないことだと、本で読んだ。おそらく、ここ数十年はなかったのではないだろうか。しかし、現在それが起こってしまっている。まさに緊急事態だ。
そこで俺は考えた。さっきハインが言った『力が強いだけだと守りたいものは離れていく』という言葉、この意味はなんだったのだろうかと。そして、俺はある答えを導き出した。
「強いだけじゃなく、結果を出せってことか。そりゃ、口だけの奴になんて守られたくないか」
【探索】【危険察知】【空間把握】を使い、魔物は南門から来るのだと予想できた。人が南門側から逃げてきているのが感じ取れたからである。
俺は終始ニヤケ面で魔物が近付いてきている南門まで走った。どうしてこの時笑っていたか、今になってもまったく分からない。
ただ、このころから俺はちょっとおかしかったのかもな。強くなることに、貪欲過ぎたのかもしれない。
最後、ちょっと主人公が勘違いしてましたね。ギルドマスターの言葉の意味を全く理解してませんでした。
だがしかし、次回は主人公が頑張ります。
それではお楽しみに~。




