第26話 一難去ってまた一難
どうも、最近執筆の神様に助けられている初心者Pです。
そんなことよりも、今回は王子に出会い物語がまた動き出します。
第3章も後半戦です。
では、第26話どうぞ~。
第26話 一難去ってまた一難
いきなりですが問題です。俺は一体どこにいるでしょう。
1、宿屋 2、武器屋 3、謁見の間
さて、どれでしょう。正解は……今、越後製菓って言った奴腹筋50回な。後、倒れるだけで腹筋がワンダーでコアなものを使うならプラス100回。
まぁ、お察しの通り、隊長さん達が張り切ったせいで王様に呼ばれてしまいました。どうして呼ばれたかは分かっていたが、そのせいで余計に来たくなかった。
「そなたが近衛隊長の言っていた英雄か」
「いえ、人違いです」
間。圧倒的なまでの間が開いた。まさに、時が止まったとはこのことを言うのだろう。そう思うくらいの間だった。
というか、どうして俺が英雄になんか祭り上げられなきゃいけないんだ。別に俺はそんなことのために戦ったわけじゃないのに。ただ強くなりたいと思って魔物を殺して回った。ただそれだけなのに……。そんなことよりもこの間長いなぁ。
そう思った瞬間、この間を破ったのは人がいた。それは、さっき王様に近衛隊長とか言われてた奴だった。
「い、いやいや君だろ?あの時魔物の大部分を壊滅させたのは」
「儂もそう聞いているのだが……違うのか?」
「違います」
再びの間。だが、さっきのとは違う。王様や近衛隊長に疑りの目を向けられた状態での間。居心地が悪すぎる。それに、この謁見の間にいる人全員からそんな目で見られている気がする。
面倒くさい。さっさと言いくるめて帰ろう。
「失礼ながら、あなた達は英雄に夢を見過ぎではありませんか?」
「英雄に夢を見過ぎだと?それは一体どういうことだ」
「英雄ってさ、一歩間違えればただの化け物だろ。化け物を殺す化け物とも言える。そんなヤツになりたいと、誰が思うんだよ」
「た、確かに言い方を変えればそうかもしれない。でも、それは力の使い方を間違えなければ————」
「そうだな。隊長さんの言いたいことも分かる。でも、人間は間違える生き物だ。それを、あんたは絶対に間違えるなって言ってるようなもんだぞ?そんなの普通無理だろ。間違えちゃいけないものなんて、俺になれる訳ないじゃん。俺は、自由に生きていたい。間違えて間違えて、それでも皆で笑っていられる。普通の人間の生活がしたいよ」
俺がそこまで言うと隊長さんは黙ってしまった。何か言いたそうな顔をしているが、俺の言葉を聞いて悩んでいるようだ。王様も俺と隊長さんの会話を聞いて悩んでいるようだ。目を瞑り、何かを考えている。
さっき言ったこと全てが俺の考えだ。間違えられない生き方はしたくなかった。そんなの、人間には酷過ぎる。たとえ世界がピンチだとしても、俺は英雄にはなりたくないね。
しばらくして、王様がある提案をしてきた。
「そなたの言い分は分かった。しかし、そなたの力には価値がある。いや、あり過ぎると言っても過言ではあるまい。そこでだ。そなたに名誉騎士の称号を授けたいと思う」
「いらね」
「……ふぁ!?」
俺が即答したことに対して王様が驚きの声を上げた。まさかこんな声を上げるとは周りの人も思ってなかったのか、俺よりも王様の方で驚いているように見える。
「な、何故だ。何が気に入らぬのだ。名誉騎士となれば貴族に近づける。それに、もっと成果を出せば本物の貴族にだってなれるのだぞ!?」
「いや、貴族とか興味ないし。それに、政治に関わるのは面倒くさいで」
「面倒くさい……たったそれだけの理由で断ると言うのか」
「そうですけど、もう帰っていいですか?疲れてるんで」
「あ、あぁ……急な呼び出し、すまなかった。ゆっくり休んでくれ」
放心状態の王様にそう言われたので、俺はさっさと謁見の間を出た。実際、疲れていたのは嘘じゃないし、帰りたかったのは事実だったので俺は何も悪くない。
あ、そういえば隊長さんに剣返してなかったな。でも、今更あそこに戻るのはちょっとあれだし……。
俺がそう悩んでいると、後ろから隊長さんに呼び止められた。まさに、噂をすればなんとやらだ。
「君、ちょっと待ってくれ」
「どうしました隊長さん」
「隊長さんはやめてくれ。俺はジュダックという」
「ジュダックさんですか。俺はユウトと言います。よろしくお願いします」
「おいおい、そんな堅苦しくしないでくれよ。呼び捨てで構わないし、敬語もいらない」
「そっか。じゃ、よろしくな。ジュダック」
「あぁ、こちらこそよろしく。ユウト」
それから俺は城を出るまでジュダックと話をした。この国のこと、建国記念祭のこと、ジュダックのこと。色々話したが、一番印象に残ったのはあの戦いのことだった。
ジュダックから聞いたのは、ジュダック目線での俺の戦闘の話だった。ジュダックは俺の戦闘を見て、最初は「こいつ本当に人間か?」と思ったらしい。
「ジュダック、お前は結構酷い奴なんだな」
「そう言うなよ。今では尊敬してるんだから」
「……それで、どの辺りでそう思ったんだな」
「そうだな……お前がドラゴンと戦っている時、かな」
「ドラゴンか」
「あぁ。あのドラゴンを圧倒していただろ?1発殴っただけで、ドラゴンを昏倒させていたし、その後の斬撃も人間業じゃない」
そう言われても、あれはジーンからコピーした技だからなぁ。となると、必然的にジーンも人間じゃなくなるのか。まぁ、俺よりは強いと思ってたし間違いじゃなさそうだけどな。
そういえば言い忘れていたことがあったので、俺はジュダックに剣を差し出して言った。
「剣、ありがとな。助かったよ」
「いや、別にいいさ。それに、その剣はおまえにあげたつもりだったんだがな」
「そうか?……なら、ありがたくもらっとくよ」
「おぉ、そうしてくれ。英雄様」
「俺は英雄じゃない!!」
そんなことを話しながら歩いていると、とうとう城の大きな扉の前まで来た。そこでも軽く会話をして、そこでさようならとなるはずだった。
しかし、城から出ようとした時にまた呼び止められた。今度は知らない声の知らない顔、しかもイケメンだ。
「誰」
「えっと、僕トリナ・ファタールと言います」
「と、トリナ王子!?ど、どうしてこんなところに」
「近衛隊長、お久しぶりです」
「王子?……俺帰るわ」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
俺の望まない展開になりそうだったので、足早に帰ろうとしたのだが王子が腰に抱き着き阻止されてしまった。
仕方がなく話を聞くことにしたが、正直聞きたくない。できればこのまま帰って寝たい。疲れてるんだって俺は!
そんな俺の気持ちも露知らず、王子はわけを話し始めた。
「実は、この城に英雄様が来ていると知って……その、相談したいことがあったので」
「俺は英雄じゃない!!……それで、相談?」
「はい。僕、母様に嫌われているのです。だから、どうにかして母様に僕のことを好きになってほしいのです!」
「めんどい、帰る」
「えぇぇ!?ちょっと待ってください。お願いします。好きとまではいかなくても、嫌いじゃなくなってほしいんですよぉ!!」
こいつ、どっかの馬鹿野郎の臭いがする。いや、絶対に兄弟だろこの面倒くさい感じは。目に涙を浮かべながら腰に縋り付いて来る様子なんて、まさにそっくりだぞ。
俺は王子を引き剥がそうとしたが、中々剥がれない。それどころか段々と強くなってきている。
「お願いしますよぉ~!!」
「ええい!鬱陶しいな!いいから離せって言ってるんだ!!」
「僕の相談を受けてくれるまで離しませんから~!!」
「ホントめんどくさい!!」
「ユウト、ちょっといいか」
「あ?なんだよ」
俺が王子に四苦八苦していると、さっきまで無言だったジュダックが話しかけて来た。それも、結構真剣な顔でだ。
これは何かあると思った俺は、少しばかり本気を出して王子を引き剥がしてジュダックの方へと向き直った。
「どうした」
「王子の相談、受けてはくれないか」
「嫌だよ。俺はそんなことしてる暇は――」
「お前、冒険者だったよな。依頼を出す。それでいいか」
「……」
「報酬は……そうだな。500万コルでどうだ」
「そんなことジュダックが勝手に決めていいのか?」
「問題ない。俺のポケットマネーだ」
「(これだから金持ちは!!)」
金がもらえるのは正直嬉しい。だが、それだけで受けていいものなのか?王子は嫌われていると言っているが、実際のところは分からない。けど、本当に嫌われている奴を好かれるようにしろとか。俺に出来ないだろ、そんなこと。
だがしかし、ここで依頼を断れば色々とマズイ気がする。というか、ジュダックの俺が持っている剣への視線がヤバイ。依頼を受けないなら剣を返せと言ってきてる。返してもいいが、この切れ味を手放すのは少し惜しい気がする。
「仕方ないな……王子、受けるよ」
「ほ、ホントですか~!?」
「ただし!俺とお前は対等な立場になることが条件だ」
「対等?」
「つまりだ。俺がお前に謙ることも、お前が俺に偉ぶることもナシってことだ」
「もちろんです!英雄様にそんなことしませんし、させませんよ!!」
「俺は英雄じゃない!!」
やっと王様から解放されたと思ったら、今度は王子かよ。俺はさっさと帰って寝たいんだがなぁ。まぁ、仕方がないだろう。
これが俗に言う、一難去ってまた一難ってやつなのかね?俺は早く帰ってあいつらを……あれ?あいつらを、何だっけ?そのために強くなった気がするんだけど……どうだったかな?
ま、いいか。そのうち思い出すだろ。
ユウトが記憶障害に……。
そして、王子の相談にのってしまった……。
次回は王子の事情を聞きます。
お楽しみに~。




