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巨大ロボに乗って幼馴染みに告白し続ける話  作者: みつつきつきまる


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第67話 幼馴染みと長い一日①

 母親は有難いお言葉を残し、店へと戻って行った。


 僕と穂乃果の間に微妙な空気が流れたものの、その言葉達を心に留めてからお弁当を作り、海浜公園へとバスで向かった。


 雲一つない晴天の日曜日という事もあって、多くの家族連れやカップルの姿があちこちに確認出来る。フェアリーランドのようなアトラクションはほぼ無い、あくまで公園に過ぎない海浜公園には、のんびりとした空気が流れている。


 太陽の光を反射して輝く観覧車を眺めつつ、学校の運動場ほどの広さのあるコスモス畑を抜ける。


「この前はヒマワリだったよね」


 穂乃果はそんな事を言いながら、ピンク色のコスモスをバックスマホで自撮りしている。


 一度帰ってから着替えてきた穂乃果は、水色のワンピースという装い。爽やかです涼し気で、眩しくて——つまり可愛い。


 そう言えば、その服に合ってるよ、って言ったっけ。


「ほらほら。隼も一緒に撮ろう」


 爽やか姿の穂乃果が体をくっつけてきて、スマホを向ける。こういうツーショット写真は何枚撮っただろう。


「ほっぺにチューしなくていいのか?」


「それはここじゃないでしょ」


 ダメとかイヤじゃないんだ。その場所に行ったらしてくれるのかな?


 僅かな期待を胸に秘めつつ、手にしたバスケットを持ち直す。二人で作った弁当が中に収められている。


「まずはお弁当食べようか。お腹すいちゃった」


「起きたばっかりで何も食べてないからな。昼には少し早いけど」


 今は十一時を少し過ぎた辺り。十時頃に起きて、母親にありがたい言葉を賜り、お弁当を作っていたらこんな時間になってしまった。お弁当を作っている時点から、すっかりお腹がすいている。


 お弁当を広げる場所を探して歩く。散歩するだけでも気持ちのいい陽気。


 そしてコスモス畑を抜けた先、子供たちが元気に走り回る草原広場でレジャーシートを広げる事にする。


 コスモスを通って流れてきた潮風が気持ちい。


「お弁当お弁当」


 レジャーシートに座った瞬間、バスケットを広げる穂乃果。よほどお腹がすいていたらしい。


 二人一緒に作ったお弁当は、おにぎりがいくつかと、卵焼きにウィンナー。お弁当用に食材を用意していなかったので仕方ないが、シンプル極まりない内容。だが、それもいい。


「おにぎりおにぎり~。形ちゃんと三角形だから、隼が握ったのかな?」


「こっちは随分丸いおにぎりだな。穂乃果のか?」


 そんな事を言いつつも、おにぎりにかじりつく。塩味がどこかへ行ってしまっており、具も行方不明なおにぎりではあるものの、穂乃果が握ったおにぎりは衝撃的な程おいしい。


「隼のおにぎりおいしい」


 綺麗な三角形のおにぎりを手にそんな幸せそうな顔されると、こっちまで幸せな気分になる。


「穂乃果の卵焼きは相変わらずしょっぱいな」


 ガツンとくる塩味。無味のおにぎりとプラマイゼロ。


「なんでかな~?」


 穂乃果も一口かじって苦い顔——しょっぱい顔をする。穂乃果は気づいていないかもしれないが、卵焼きのしょっぱい加減がいつも一緒。つまりは入れる塩の量が一緒なのだから、減らせばいいだけの話なんだけどね。


 そうは言っても、


「僕はこれぐらいしょっぱくないと、物足りなく感じるようになったよ」


「んんー。私に胃袋掴まれたって事?」


「ある意味そうかも」


 素直にそう答えると、穂乃果はふふんと得意げな顔をした。


「健康のためには控えてほしいけど」


「がんばります」


 なんて事を言いつつお弁当を食べ終えてレジャーシートにごろんと横になる。頭の後ろで手を組んで、雲一つない晴天を見上げる。頬を撫でるひんやりとした風が、コスモスと潮風の匂いを運んでくる。


「食べてすぐ寝ると太るよ~って、昨日も言った気がするけど」


 穂乃果は寝転がずに見下ろしてくる。


「だったら穂乃果も一緒に太ろうぜ」


「んー」


 少し迷うような表情を見せ、穂乃果は僕の小粋な誘いのセリフに従って、レジャーシートに横たわった。そのままごろごろ転がって来て、僕の腕に頭を乗せた。


「・・・近い、近いよ穂乃果」


「ダメ?」


「ダメじゃないけど」


 これが腕枕ってやつか。思った以上に顔が近くてドキドキするな。首筋に息がかかって、くすぐったい。


 ドキドキはしつつも、幸せを具現化したかのような穏やかな一時。さっき起きたばかりなのに、うとうとしてしまうような陽気と、穂乃果の体温。穂乃果はもう目を閉じてしまっている。


 ここまで近くで目を閉じられてしまうと、あらぬチャレンジがしたくもなるが、それは我慢。


 無心になるためにも目を閉じる。


 頭の中を色々なものがぐるぐる回る。穂乃果との昔からの思い出やら、最近の思い出。楽しかったり、喧嘩したり、仲直りしたり、いい雰囲気になったり。


 思い返してみれば、幼馴染みという関係から脱却できるタイミングが何度かあったように思える。そうならなかったのは、穂乃果が僕の事をお兄ちゃんとしか見てないとかじゃなく、ただ僕が目を背けていただけだ。関係性が変わるのが怖くて、見ないフリしてただけだ。


 そろそろ、ちゃんと答えを出す必要があるかもしれない。



 



 


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