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巨大ロボに乗って幼馴染みに告白し続ける話  作者: みつつきつきまる


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第58話 幼馴染みをぎゅ

 お昼ご飯も終わって午後の競技。


 まずは話題に上がっていた借り物競争。


 なのだが、


「・・・ふぅー」


 運動場に戻ってから隣に座った穂乃果の様子がおかしい。深刻な顔をして大きく深く息を吐いている。食べすぎではなさそうだ。


「穂乃果、緊張してるのか?」


「・・・うん」


 そんな返事をしながら、僕の体操着をつまんでくる。緊張してるのか、不安なのか。


「和泉さん!頑張ってね!」


 悪気の無いクラスメイトが通りすがりにそんな事を言って、穂乃果の不安を煽っていく。


「ふぅーーーーーーーーー」


 更に呼吸が深くなる。目を見開いて焦点が定まらない。


 ちょっと緊張しすぎでは。


 選んだ紙に書かれた物を誰かから借りて来て、それを持ってゴールを目指すというだけの競技のはずだ。何も難しい事はない。


 まあ、そんな事よりも、さっき話していたようにもしかしたら総合優勝できる可能性に気づいて、意識してしまっているだけだろう。


 そもそも、優勝したからと言って何か商品が貰えるとか、特別授業が行われるとかそんな事はなく、ただただ名誉を得るだけなので無理に目指す必要はないのだが、手が届くかも、なんて思ってしまうと目指したくなるのが人情と言うもの。


 静かにクラスの士気が高まっているのも、穂乃果にプレッシャーを与える要因となっているのだろう。


 もう届かないと分かっているなら、気楽に楽しむ事は出来るのだが。


「借り物競争で上位に食い込めなきゃ、優勝の目は消えるんだろう?」


「リレーが期待出来るだけにな。これで決まると言っても過言じゃないよな」


 それとなくそんな会話をするクラスメイトの声がまた、穂乃果の緊張感を増して行く。


「うう・・・」


 半泣き状態の穂乃果。


「でもさあ、考えすぎだろ。所詮借り物競争だろ」


「隼は気楽だからそんな事言えるんだ」


 軽口を叩いた僕を穂乃果が睨んでくる。


「自分の出番終わったから——姫ちゃんと仲良くくっついてただけだから、隼は気楽なんだ」


 責めるような目。


「なんだよそれ。こっちはこっちで大変だったんだからな」


「嘘!大きいおっぱい見てたんでしょ!」


「大きい声で変な事言うな!」


 何でこんなに責められてるのか。因みに誓って言うが、見てない。


「またいちゃついてるぞ。あいつら」


「見るな見るな。羨ましくなるだけだから」


 うるせぇ。


「私がずっと不安だったの知らなかったでしょ」


 拗ねるように上目づかいで見る穂乃果。涙目で今にも泣きだしそう。借り物競争にそんな不安を覚える必要はないだろうに。


「考えすぎだろ。借り物競争に」


「違うよ!」


 穂乃果が言って、僕の体操着をぎゅっと握る。


「姫ちゃんに隼を取られるんじゃないかって、ずっと不安だったんだよ」


「・・・」


 穂乃果が口にした不安。それは僕が予想していた事とは違っていた。ただ、穂乃果がやきもちを妬いているんじゃないかという、それは気のせいではなかったのかもしれない。


「何言ってんだよ。そんな訳ないだろう」


 ローレライに乗っている時にいつもいつも好きだって言ってるのに、簡単に気が変わるわけないだろう。


「でも、前よりも仲良くなってるみたいだし・・・私よりも可愛いし。おっぱいも大きいし」


 そればっかりだな。


 とは言っても、穂乃果がそんなに不安を感じていたとは思ってもいなかった。となると、どういう理由にせよ穂乃果を不安にさせてしまった事も事実なので、その不安を取り除くのは当然僕の役割であろう。


 それに、僕の気持ちに疑いを持たれているのもいい気はしない。


 穂乃果の頭に手を置いて、


「不安になるなって。姫の方に行くわけないだろ。いくら可愛いからってさ」


 僕が穂乃果の事を好きなのは、可愛いとか、そんな表面的な理由だけではない。だからいくら他に可愛かったり、スタイルが良かったりする女の子がいたとしても、そう簡単には心を奪われたりしない。


「本当?」


「本当だって。それは誓う」


「うん」


 うつむいてはにかむ穂乃果。可愛いからとか言う理由だけで好きなわけじゃない、なんて言いつつも、やっぱり可愛い。


「じゃあさ、私を安心させるために、ぎゅってしてよ」


「ぎゅっ?」


 言われて拳をぎゅっと握る。


「違うよぉ」


 膨れるな。分かってるから。さすがに何を言われているか分からないほど、鈍くはない。


 分かってるけど、


「ここでか?」


 周りにはクラスメイトがひしめいているんだが。


「うん。ここで」


 まっすぐ見てくる。


「うーん」


「じゃなきゃ、頑張れないかも」


 なんでそんなわがままを。穂乃果のやきもちの為せる業か。


 でもまあ、クラスメイトからすると、ただのいつものいちゃいちゃに見えるのかもしれないな。だったら、


「いいのか?」


「いいよ」


 穂乃果が両手を広げる。つい最近こんな事あったな。


 覚悟を決めて、その小さな体に手を回す。


「ぎゅってして」


「あ、ああ」


 すっかり熱くなった体を強く抱きしめる。伝わって来る速い鼓動。それが時間と共にゆっくりと落ち着いてくるのを感じる。反面、僕の鼓動は速くなり続けるばかり。


 そのまま数秒そのままで時間が流れる。


 満足したのか、体を離した穂乃果の満面の笑み。


「安心したか?」


「うん」


 だったらよかったけども。


「あんたらねぇ・・・」


 聞き覚えのある声がして振り向くと、呆れ顔した金髪ギャル。それと、クラスメイトの面々。


「そんなに堂々としてるの?」


「さすがにこれで付き合ってないとか無理があるんじゃね?」


「あれか。そういう宣言みたいなヤツか。皆に知らしめるために」


 呆れ顔やら妬み顔やら、様々な意味合いを持っていそうな視線が僕と穂乃果に突き刺さる。


「ふふん」


 そんな中穂乃果はしたり顔。少なくとも僕の気持ちを再確認出来たからなのか、落ち着いた様子。そして、それをクラスメイトに知らしめて満足なのかもしれない。でもクラスメイトが薄っすら感じたのは、僕の想いだけではないはずだ。


 穂乃果も多分——と言うのが皆の認識だろう。


 今更と言えば今更だけれども。 


 姫香はため息をついた。


「心配して損した。こうなったら穂乃果には借り物競争で結果出してもらわないと、割に合わないわね」


 同調するようにクラスメイト達が大きくうなずいている。


 結果、穂乃果には大きなプレッシャーがのしかかる事となったが——笑顔なのでどうにかなるだろう。多分。



 


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