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巨大ロボに乗って幼馴染みに告白し続ける話  作者: みつつきつきまる


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第48話 幼馴染みとキスマーク

「キスして」


「えっ」


 呼吸が止まる。もしかしたら心臓も止まったかも。


「ほっぺに」


「あ、ああ、そうだよな・・・びっくりした」


 思わずうろたえてしまった。だだ、好きな子に突然あんな事言われてしまったら、無理もない話だろう。


 そんな僕の反応を見て、穂乃果の真剣な目がにやりと歪む。


「ふふ・・・いい反応。ドキドキした?ねぇ、ねぇ」


 にやけ顔で僕を覗き込んでくる穂乃果。


「うぐ・・・した・・・したけども」


 恥ずかしながらそれは認めなければならない。瞬間最大風速だけで言えば、これまでで最大かもしれない。


「いいねぇ~やっと隼をドキドキさせられた」


 そう言えば前もそんな事言ってたな。て事は、僕をドキドキさせて動揺させるためだけにあんな事言ったのか。


「はいはい。参ったよ」


 これで穂乃果が安心?するのかどうかは分からないが、どうやら満足したようなので降参せざるを得ない。それにしても憎たらしいが。


 とにかくそんな事は忘れて、次の勝負を——


「ちょっと!」


 ゲームを再開しようとした僕からコントローラーを取り上げる穂乃果。


「ん?」


 見ると、頬を膨らませた穂乃果。フグみたいで可愛い。


 そんな穂乃果は膨れた自分の頬を指さす。


「まだしてないでしょ?」


「あ、それは本当にするんだ」


 からかっただけかと思った。僕のいい反応を引き出すためのものだと。


「ほら」


 穂乃果が頬をこちらに近づけてくる。


 本当か。本当にするんだ。


 唇じゃなくて頬でホッとしたけど、普通に考えればカップルでもないのに頬にキスだって大したもんだ。少なくとも、ただの幼馴染みが行うような行為ではないと思うんだが。前のは状況的な勢いみたいのがあったし。


 あれ?緊張してきた。初めてではないが、改めてと言うか、要求されてするというのは妙に緊張する。


 そう思いながら見つめる穂乃果の頬。すこしピンクがかった頬。あれ?穂乃果も緊張してる?


 だとすると、少し仕返ししたくなるな。こうしてからかわれてばかりでは僕の尊厳に関わる。


「じゃあするぞ」


「うん」


 なぜかぎゅっと目を閉じる穂乃果。唇もすぼめる。


 それに穂乃果の覚悟を感じて、僕は頬に唇を近づけて、


 ちゅ。


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「ちょ、ちょっと!」


 僕の長い吸いつきに、たまらず顔を離す穂乃果。


 そのお餅のように柔らかく滑らかなその頬に、


「お、いいのがついたな」


 薄く赤いキスマークがついた。





「許さないんだから!」


 顔を真っ赤にして怒っているが、それでも頬のキスマークは確認できる。とは言え薄っすら赤くなっただけなので、明日どころかすぐに消えてしまいそうだけど。


 それでも僕の留飲を下げるには充分で、心も体も熱くなった穂乃果とは違い、心を穏やかにしてゲームに挑む事が出来る。


 そうなると穂乃果の勝ち目は少なくなるのは自明の理。これは前回も証明された事でもある。


 なので第三回戦は余裕のはずだったのだが、


「え?何で負けるの?」


 僕社長は大借金をして灰のように真っ白になっており、穂乃果社長は左団扇でシャム猫を膝に乗せている(イメージ)。


「ふっふっふ・・・ようやくわかった。隼はとんでもなく運が無いのよ!」


 ひどい事を言われた。まあ、運がいいと思った事もないけど。


「さてと・・・何してやろうかな・・・」


 目を細くして舌なめずりする。


「それ、まだやってたのか・・・」


 この勝負にも罰ゲームかかってたのか。明確に約束した記憶はないが・・・今更覆せるわけもないんだけど。


 穂乃果がベッドの上で身構える。今にも飛びかかろうとしている猫のように、身を低くして僕を見上げている。


「おい・・・痛い事とかやめてくれよ・・・」


 もう一度『キスして』って言わないかな。言われたら『ほっぺに』なんて言う前にしちゃうかな。


 そんな僕の期待をよそに、穂乃果はさらに身を低くする。


 そして、限界まで伸びたゴムが弾けるように、


「がー!」


 飛びついて来た。


「おい、ちょ——」


 そのまま勢いよくベッドに押し倒され、のしかかってきた穂乃果が唇を近づけて来て、


「待——」


 Tシャツのネックをぐいと引き下げられ、防ぐ事も出来ないまま、


 ちゅ。


 首筋に吸いついてきた。


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「ま、待てって」


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。 


「いてて、痛いって」


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「痛い!痛いからやめろ!」


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「痛い!ごめん、穂乃果!」


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「ぷはっ!」


 ピンポン玉でも吐き出すみたいに唇を離す。シャンパンの栓を抜くみたいな音した。


 首筋にちくちくした痛み。


 僕の上にのしかかったまま、その場所を確認する穂乃果。にやっとする。


「いいのついた」


 言いながら鏡を渡して来る。


 ちくちくする場所を確認。


「おい・・・赤いどころか青くなってるぞ」


 首筋。鎖骨より少し上。襟で隠せるかどうか微妙な位置にある、むしろ青に近いキスマーク。もう青あざだろこれ。


「ふふん。乙女の肌を傷つけた罰です」


 上に乗った穂乃果に罰の執行を受けたらしい。痛いしかゆいし、罰ではあるんだろうけど。


 とにかく場所が良くない。ネックの広めのTシャツだと隠せないぞ。


「どうすんだよ。見られたら」


「いいじゃん見られても。悪い虫がつかなくなるよ」


 悪い虫って何だよ。そういう問題じゃないだろ。


 それでも穂乃果の唇につけられたものだし、悪くないと思っちゃうんだよな。


「じゃあ次の勝負よ!」


「ま、まだやるの・・・?」


 少し気持ちが萎え始めている。首筋のちくちくもそうだし、自分の運の無さを思い知らされているようで、ネガティブになってしまう。


「調子のいい時には畳みかけないと!」


 反面穂乃果は運気が急上昇している最中なので、手綱を緩めてくれない。


 となると、やっぱり負けて。


 結果、


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「い、痛い痛い!」


 ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


「もう勘弁してくれよ・・・」


 などと言う僕の泣き言には耳も貸さず、さっきと反対側の首筋にまたキスマークをつける穂乃果。


「ああ・・・これはもう・・・」


 鏡で確認すると、首筋の左右に赤黒いキスマーク。なぜか綺麗な唇の形。


「隠せないだろ、これ」


 あと数日で学校も始まるのにTシャツじゃ隠せないし、それまでに消えてくれればいいのだけれど。


「いいじゃん」


 呑気な穂乃果。


「隼は私の所有物、っていう印だよ」


「マジか・・・」


 いいなそれ。


 だったら、穂乃果の頬の印は、穂乃果が僕の所有物って意味かな?








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