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巨大ロボに乗って幼馴染みに告白し続ける話  作者: みつつきつきまる


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第10話 幼馴染みのママ

「ああ見えて友達思いなんだな。新内って」


「友達思いだよ。姫ちゃんは。私の事妹みたいに思ってくれてるし」


「それでもさすがに余計なお世話だろ。勝手に口出して来て、勝手に怒って」


「きっと隼が嬉しそうにお弁当食べなかったからだよ。評論家みたいな顔してさ」


「だって、あそこで絶賛して喜んで食べてたら、絶対調子乗るだろ」


「・・・乗るかも」


「だから、そこら辺も新内には理解してほしいもんだけどな。僕だってあえて厳しくしてるんだよ」


「でも、一回くらい美味しいって言ってほしかったな」


「んー、じゃあ、また今度な」


 まだ何か納得していないような新内と別れ、二人っきりでの下校の時間が戻ってくる。ったく邪魔しやがって。


 商店街を抜けて、いつもの中央公園を過ぎる。


 何気なく公園内を見る。まだ夕方とは言えないこの時間は子供達が元気に走り回っており、おかしな物は見当たらない。例えば、白いロボットとか。


 まあ、それが普通か。もしかしたらあれが夢だったとか、あの時限定の出来事だって事も考えられるが、ポケットには確かに薄緑色のデバイスが収まっている。


 このままローレライの出番が無いのなら、それに越したことはないのだが。


「そうだ。今日はうちで晩御飯食べるんでしょ?一回帰ってから来る?」


 僕の腕を掴む穂乃果がそう言って僕の顔を大きくてきらきらした目で見上げる。よくよく考えれば、ローレライの出番がなければ穂乃果はこんな事をする必要が無くなるのか。必要なくなったら、僕の恋心だけが残されるのか。


 そんな時がいつか来ると思うと寂しい。


「そうだな。一回帰るよ。まだ早いだろ」


 まだ今はこうしてまるで恋人同士のように一緒にいられるのはローレライのおかげだと考えると複雑だ。見た目だけの恋人同士とは言え。


 そんな事を考えてているうちに、僕と穂乃果の家が見えてくる。


 となると、注意しなければならない事がある。


「家が近くなって来たから、そろそろ離れろよ」


「やっぱり離れなきゃダメかな?」


「そりゃあ、志穂さんとかに見られたら面倒だろ」


「・・・そっか。ママそういうゴシップ大好きだもんね」


「本当ならともかく、誤解されるのは嫌だろ」


「別に嫌じゃないけど」


 もうすぐ家に着くという事は、僕やら穂乃果の家族や知り合いに出会う可能性が高くなると言う事。登下校中に同じ学校の連中に見られるのはまだいいが、志穂さんなんかに知られたら全力で揶揄って来るに違いない。


 幸い今日まで遭遇する事は無かったが、これからも遭遇しないとも限らない。


 現状、説明出来ない事が多い以上言い訳するのも面倒くさい。


 それより、どうして穂乃果の方が離れるのを嫌がるんだよ。


「とにかく家の近くではくっつくな。じゃないと——」


「おー。穂乃果と隼君だ」


 こうやって買い物袋を下げた志穂さんに出会ってしまうじゃないか・・・


「あら」


 志穂さんは僕と穂乃果、そして絡み合った腕を見て口角を上げる。


「・・・ママ、もうちょっと散歩して来るから、ごゆっくり・・・」


「いや・・・、ちょっと待って志穂さん・・・」


 手を振って立ち去ろうとする志穂さんを呼び止める。


「いやごめん。二人がそんな関係だとは思わなかったから。空気読めなくてごめん」


「だから違うんですよ・・・」


「大丈夫よ?私は反対しないから。パパにも佳代子にも悠介君にもちゃんと説明しておくし。私に任せておいて!しっかり外堀は埋めておくから!」


 わざわざ僕の両親にまで話を広げないで。


 外堀埋めるとか、怖い事言わないで。


「任せといて!」


「だから、違うんですよ!」


 分かってくれない志穂さん。ほら、穂乃果も何か言えよ。


「むぅぅぅぅ・・・」


 真っ赤になって俯くな。


 誰か味方はいないのか。





 一度自分の家に帰り、着替えてから穂乃果の家に向かう。


 その間どう言い訳しようか考えてはいたのだが、これといって思いつかないまま、気がつくと和泉家のリビングのソファにて志穂さんに真正面から笑顔を向けられていた。


 僕の隣には相変わらず色気のないグレーのスウェット姿の穂乃果。顔を隠すようにホットミルクを飲んでいる。


「で」


 頭を巡らす僕に対し、目をきらきらさせて言い出す志穂さん。


「いつから?」


「えっと、三日前からかな」


「三日前から付き合ってるの!?」


「違う違う!穂乃果も不用意な事言うな!」


「そ、そう!違うの!」


「えー。じゃあいつから?」


「だから付き合ってないんですよ・・・」


 何か最近はこればっかりだ。新内にしろ、志穂さんにしろ。穂乃果は役に立たないし。


 もう面倒だから、実は付き合ってますって言ったっていいんだぞ。僕は。なんせ僕は穂乃果の事が好きなんだから。


 だから本来は穂乃果がしっかり否定しなきゃならないのに。


 だが志穂さんの追求は終わらない。獲物を見つけた猫科のハンターみたいな目。


「じゃあ何で腕なんか組んでたの?しかも、嬉しくて飛びついた、みたいな衝動的な感じじゃなくて、もう五年も付き合ってますみたいな自然な感じで。もう全て済ませたからわざわざくっつかなくて大丈夫ですみたいなベテラン感を出して」


「いやあれは・・・」


 あれは穂乃果が掴んで来たんじゃないか。


 僕は穂乃果に目くばせする。


「とにかく違うんですよ・・・長い付き合いなんだから腕を組むくらいの事もありますよ」


「そ、そう!ちょっと恋人気分を味わってみたかっただけで!」


 腕を組んだり手を繋いだり、した事がない訳じゃない。でもそれらは子供の頃の話で、高校生になってからはほとんどなかった。まあ、だから不自然だろって話なんだが。


「そんなに長く付き合ってるんだー。へー。知らなかったなー」


「そうじゃなくて・・・」


「な、長い付き合いって、そういう意味じゃないもんね!」


「えー、いいじゃん別に否定しなくても」


「私と隼を今は男の子として見れないし、まだ付き合ってる訳じゃないから!」


 そうはっきり言われると傷つくな。


「ふーん。じゃあ、隼君は?」


 めちゃめちゃ女の子として意識してるし、大好きです。


「・・・そりゃ、可愛い妹みたいなものだと」


 結局本当の事は言えず。情けない。


「つまんないのー」


 穂乃果と僕の答えを聞いて、つまらなそうに口をとがらす志穂さん。期待していた答えではなかった事については申し訳ないが、まだ間違った認識を植え付けておく訳にはいかない。


「でも『まだ』って事は、これから期待出来るって事よね?これから育まれれば、あり得るって事よね?」


 突然目をきらきらさせる志穂さん。


「それは・・・分かんないけど・・・」


「うん。ママは期待してるから。楽しみにしてるからね」


 満面の笑みを僕と穂乃果に向けて、鼻歌なんぞを歌いながら志穂さんはキッチンに向かう。晩御飯の準備だろう。


 そんな志穂さんの後ろ姿を見送って、少しホッとしたような、でもどこか不満気にホットミルクを口にする穂乃果。


「こんなに否定しなきゃダメなのかな」


 ダメなのかなって、穂乃果にその気が無いだけだろうに。








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