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その後の神殿 〜マリアver.11〜

 第二王子のお取りまき達だって、本来ならちゃんと事前チュートリアルばっちりの貴族の子弟で、皆決して出来が悪い人達ばかりじゃなかったという。第二王子と関わっちゃったばかりに悪の道(?)に引っ張られちゃっただけの、ある意味で被害者だ。

 第二王子の年の4回生Cクラスの人達は、早い人は反省文の提出だけで1ヶ月後に、他の人達も今まで第二王子にそそのかされてすっぽかしてた追試とか課題とかをちゃんとこなすことで半年後には脱Cクラスを果たし、本来居るべき場所に戻っていった。言葉通りでのバカは某子爵家の長男だけで、そいつは絶望的に頭が悪かったけど5回生に上がる時には何とかBクラスに滑り込んだって(以上、弟談)。


 第二王子は変わらなかった。クラトス殿下は5回生に進級できたものの、Cクラスのままだった。

 せっかくの学びの機会を自ら無駄にし、素行不良で、お前次やったら留年どころか退学やぞ、を、暗にほのめかされてるクラス編成=Cクラス2年目。せめて頑張ってるフリだけでもしときゃいいのに、未成年飲酒と女買うのやめとくだけでも学園長は考慮してくれると思うぞ、って弟は言うけど、それもどうかなぁって思う。ってか第二王子、買春とかしてんだ……気持ち悪っ!






 わたしは『弟情報』を、ここぞとばかりにぶちまけた。聖女以外は入れない祈りの間、巫女さえ来ない夜中の祈りの塔でだからこそできる話だ。

 ファティマ様は時折、あらあら、とか、まぁまぁ、とか相槌を打ちつつ、「脱Cクラスまでに1年かかった言葉本来での意味のバカこと某子爵家の長男」の話の時に片眉を上げ、口元を歪めたが、それだけだった。幼いセシルは眠たげにしてて、途中からうとうとしてた。長話になって申し訳なかったな。

 わたしの話を一通り聞いたファティマ様の第一声は、


「マリア様の弟君は、まるでスパイですわね」


だった。情報は命、が弟の座右の名。それはそのまま、おばあちゃんの口癖でもあった。


「私、貴族学園のことはよく存じ上げませんけれど、マリア様のお話ですとクラスが違えば接点すらないのが普通なのでしょう? マリア様とラウスさ……クラウス第一王子殿下の間に何事もなかったように。

 それを、別の学年、いえ、貴族学園では回生と呼称するのでしたわね、別の回生の方達のお話はおろか、学園長の動きや国王陛下の学生時代の逸話までごく当たり前のように掘り出されて……魔術学院には探り屋と呼ばれる者達が存在しているとのことですが、探り屋どころか王家の影も真っ青な暗躍っぷりですわね!」


 わーお! ルイージ、あんたファティマ様に褒められてるよ⁉︎ 探り屋だって、王家の影だって‼︎ すっごいベタ褒めじゃん‼︎! いいなぁ弟ちょっとそこ変われ。わたしもファティマ様に褒められたい‼︎‼︎ いや、ファティマ様わたしのこともいっぱい褒めてくれるけどさ、でも最近セシルにその枠取られちゃったかなみたいなのあって? 別にセシルに嫉妬とかしないしセシルが天才なのは確定でわたしもいっぱい褒め褒めするけどさ⁉︎ 弟のこと手放しで絶賛されてわたしだって鼻が高いけどさ⁉︎


「それに致しましても、クラトス第二王子殿下の非道ぶりは我々が認識している以上かも知れませんわね。やる気のないお馬鹿さんなら放置で結構ですが、国家権力をお持ちのアクティブ馬鹿では周囲の被害が甚大です。

 結局のところ、マリア様の弟君の『情報』ですと、スルフェ子爵家の長男以外の元Cクラスの方々は貰い事故と申しますか、クラトス殿下に逆らえずにいただけの被害者ですものね。

 現在、クラトス殿下はいわば学生間で孤立している状態なのでしょうか?」


「弟情報によると、元Cクラスの人とかは昔一緒に悪さしてた頃の弱みに漬け込まれてカツアゲ……っと、お金たかられたり、付きまとわれたりはまだあるみたいです。でもさすがに前みたいに派手に買春ツアーとかはなくなって、高位貴族御用達レストランでフルコースがせいぜいだって話ですけど」


「けれどそれとてカツアゲ、いえ失礼致しました、他人様のお金で、ですものね? ヨシュア……っと、第二王子のお取り巻きの方のお財布はさぞや大きいのでしょうね。その資金は一体、何処から湧いて出たのやら」


 あれ? わたし、某子爵家の長男の名前言ったっけ? ルイージはばっちり実名で挙げてたけど、さすがにわたしは自重した……つもりだったけど、ついうっかり言っちゃってたかな? ヨシュア・スルフェ子爵令息で合ってるけど。


「……案外、姉を売ったお金で第二王子に取り入ってらっしゃるのかも知れませんことよ? あらあうふふ、冗談ですわマリア様、そんなお顔をなさらないで。

 第二王子も王子の分際で迂闊なことを。婚姻前に身元が不確かな女性と関係を持つなど言語道断ですわ。うっかりご落胤でも成そうものなら王家の跡目争いがさらに激化するでしょうに」


「ファティマ様、意外と冷静なんですね……」


 聖女の鑑みたいなファティマ様のことだから、婚前交渉とか不潔な! 穢らわしい! とか言いそうって勝手に想像してたけど。


「迂闊なお馬鹿さんにつける薬はないと先人は申しましたが、まさにそれですわ。

 そうですか、どちらにせよ、あまり善い状態ではなさそうでございますわね。私はエスニャ様が心配です」


「あぁー……」


 わたしはどっちつかずで頷いた。弟情報では、第二王子は子分から巻き上げたカネで銀髪ドリル改め頭にコロネに貢いでる〜みたいな話だったけど。

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