驚愕(きょうがく)
「ほう、新型の魔導通信機を持って居るのか、
そう言えば、街の門で警備に当たっていた者も、
その方らが見慣れぬ魔導車で、この街を訪れたと申して居ったな、
流石は魔導具の開発が盛んなコウガ王国の者だけはあるな・・・」
魔導通信機や魔導車などといった特殊な魔導具の製造販売を、
一手に独占しているコウガ王国以外の国では、
一部の権力者を除き旧型や中古品しか入手する事が出来ない代物なので、
アポペンが若干羨ましそうな表情を浮かべながら、そう言った。
「まあ、通信機も車も主から貸与されてる物だけどな、
ミコチャさん、こいつを使いたいんで部屋の結界を一度解除して貰えないかな?」
アポペンの言葉に返事を返しながら、
シュウがミコチャに、そうリクエストをした。
「はい、畏まりました。」
ミコチャは肯定の返事をすると、
会議室の入り口へと向い結界用の魔導具を操作して、
盗聴を防止する為に施されていた結界を解除した。
そのミコチャの動作を見届けたシュウは、
あらかじめ魔導通信機に登録されていた番号にコールして、相手を呼び出した。
「あ~モシモシ? ・・・はい、先日ご連絡をさせて頂きましたシュウです。
・・・ええ、やっぱり予想通りの展開となりましたので、
一言お口添えをお願いしようかと思いまして、
お電話を差し上げた次第であります。」
「シュウくんが敬語を使うなんて珍しいですね」
ミコチャが近くに居たケンに、そう話し掛ける
「ええ、相手が相手なんで流石にシュウ兄ィも敬語を使ってますね」
「相手が相手ですか・・・?」
「・・・はい、それでは宜しくお願い申し上げます。
ホイよ、そんじゃ先方に許可を貰えたんで直接話してくれや」
シュウが、そう言いながらアポペンへと魔導通信機を差し出した。
「ぬおっ!何たる無礼な態度!」
「その通信相手に取る様な姿勢をアポペン様にも示さぬか!」
アポペンの取り巻きが色めき立つ
「まあ良いわ、
あ~モシモシ、私はアナポーの街の領主を務めるアポペンという者だが、
そなたが、ルクシア共和国の住人で、この通信をした者らの主に成り代わり、
この国での商売を取り仕切るという事に相違ないか?・・・うむ、そうか、
しかし我が街が、その商売に密接に関係をするとなると、
いい加減な者に、その責務を負わせるという訳には行かないと理解出来よう、
そこで尋ねるが、そなたは何者であるのかな?
・・・ふむ、名をコッカ・ゲンシュと申すのか、聞かぬ名だな、
・・・何?コッカ・ゲンシュは職業で名はカメオークと申すと?
カメオーク・・・コッカゲンシュ・・・?
ま、まさか!? そ、そちらは、カ、カ、カメオーク国家元首閣下様で、
在らせられられられますか!?」




