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古の庭で  作者: 槍田歩馬
第一章 幕開け
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第3話

「え、佐倉先生の、彼氏?」

「いるかどうかだけでもいいので・・・」

 最近の子ってこんなに積極的なのか、と感心したけれど、「自分で訊いたら」と返した。

「本人の口から聞いたほうがいいよ」

 彼の夢を壊すのが可哀想だから・・・というのが主な理由である。

 実は瑠璃さんは遠い昔に結婚したことがあると言っていた。まあ彼女が遠い昔、と言うのならば何百年、あるいは何千年も昔のことなんだろう。だから今は当然未亡人だし、前に結婚願望とかを訊いてみたら、「もうこりごりだ」と言っていたので、確実にフリーではある。ただ彼が振り向いてもらえるかというと、それは天地がひっくり返りでもしないと起こり得ないだろう。

「そうですよね」

 佐野くんは少ししょんぼりした。ちょっと可哀想ではあるが、仕方がない。

 そうこうしているうちに搬入が終わった。

「お手伝いありがとうございました!」

「いえいえ。4月からよろしくね」

 男性寮と女性寮の間にある食堂でお茶を飲む。

「お疲れ様!」

 そこへ瑠璃さんが来た。暑いのか上着をパタパタしている。

「あちー」

そう言って瑠璃さんが上着を脱ぐと、Tシャツの袖が捲れて痛々しい傷跡が見えた。

「えっ・・・」

佐野くんも見えてしまったようで、目が動揺している。私は何度も見たことがあるけれど、どう言った経緯でその傷がついたのかは教えてくれなかった。

「ああ、これ?」

佐野くんの表情を見て瑠璃さんがさらに袖を捲った。

「この傷、肩まであるんだよねえ」

そう言うと瑠璃さんはへにゃりと笑った。佐野くんは俯いている。

「ごめんね、お見苦しいもの見せちゃって」

 さすがに瑠璃さんは佐野くんを気にかけて声を掛ける。

「いえ、かっこいいです!」

 いきなり、佐野くんがバッと顔を上げて言った。

「か、かっこいい?」

「はい!歴戦の戦士みたいです!」

 目が輝いているので、本心みたいだ。

「そうかな?そう言ってもらえると嬉しいけど」

瑠璃さんは怯えさせると思っていたらしく、少し驚いていた。でも、口元が少しだけ、笑っていた。


「それじゃあ、また4月からよろしくお願いします!」

 佐野くんと別れた後、瑠璃さんと瑠璃さんの部屋で話していた。

「どうだった、彼は?」

「まあいい子だと思いますよ、明るいし。瑠璃さんの学校モードを素にしたみたいな子ですね」

「素じゃなくて悪かったね」

瑠璃さんの口元がにやけていた。

「よかったですね」

「ん?」

「傷」

「ああ・・・」

 今まで瑠璃さんは、傷を気にして生きてきたということを、私は知っている。もちろんそれは、目に見えるものだけではない。それを知っているのは、今現在瑠璃さんの周りでは私だけだ。

「いい子だね」

「ええ。あ、あと瑠璃さんに惚れたみたいですよ」

「は?」

瑠璃さんは頭を抱えた。綺麗な白髪(はくはつ)が光を反射する。

「嘘だろ・・・」

 そう、これが瑠璃さんの素。佐野くんみたいなのとはテンションが違いすぎるんだ。だから、瑠璃さんが佐野くんに振り向くことはない。そう言い聞かせて、ふと我に返る。

 別に、いいじゃないか。瑠璃さんは誰かパートナーがいた方が幸せなんじゃないだろうか。なのに私は、なんでこうも彼が瑠璃さんに近づくのが嫌なのだろう。

 ──嫉妬、なのか?確かに私は、自分が誰よりも瑠璃さんを知っているという自負があるけれど、嫉妬は良くない。

 本当に、自分の器の小ささが嫌になる。

まずはこの作品を手にとって(クリックして)下さりありがとうございます。

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(切実に!待ってます!)

拙い文ですが、これからも頑張ります!

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