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古の庭で  作者: 槍田歩馬
第一章 幕開け
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第2話

「今年の新任が教員寮に住むって本当ですか?」

 門に立っていた警備員の八代(やしろ)さんに教えてもらった情報を瑠璃さんに聞いてみた。

「そうだよ」

 それまで私が10年前に引っ越してから、教員寮には瑠璃さんしか住んでいなかった。

 一応建物は二つに分かれていて、女性寮と男性寮とはなっているが、心配になった。なぜなら・・・

「新任って男なんですよね?大丈夫ですか?」

「まあもし何かあればそいつのクビが飛ぶだけだし・・・あ、教育係はキミね」

「え」

 衝撃の事実を告げられ、思わず自分に入れたコーヒーと瑠璃さんに入れた紅茶を落としそうになる。

「気をつけたまえよ」

 そう言って紅茶を優雅に飲む瑠璃さんにすこしムッとしながら、ダンボール箱を運んだ。

「だってその人の顔合わせって今日ですよ!?」

「だから八代くんに悠湖(はるこ)に伝えるよう頼んだんだよ」

 あなたって人は、とため息をつく。

「じゃあせめてまともな服着て下さいね、短パンとTシャツに草履とか、だめですよ」

「うっ」

 瑠璃さんは服に頓着がない。信じられないくらい、頓着がない。曰く、「まあ長い人生布一枚とかのときもあったからねえ」とかなんとか。「着てて見えちゃダメなところが隠れてればいいのいいの」と。

「これに上着羽織ればいいかな?」

「まあいいんじゃないですか」

 なんか投げやりじゃない?とぶつぶつ言う瑠璃さんを横目に、男性寮の扉を開ける。掃除しないと、埃が大変なことになっているし、そもそも物置化しているから住む場所がない。

「・・・あれ?」

 扉を開けた瞬間雪崩れてくると覚悟していたら、玄関からまっすぐ伸びる廊下は物が退けられていて、床も拭いたのか輝いていた。

「昨日送迎会のあと片付けたの」

とドヤ顔で言う瑠璃さんを見て、これ絶対昨日まで忘れてたでしょ、と思った。

「ろくに寝ずに何やってんだか」

「これぞ不死身の特権よ」

 そう、瑠衣さんは不老不死なのだ。なんやかんやで19歳の時に不死身となってから、ずっと生きているらしい。正確に何年生きているのかは本人も数えていないからわからないとか。私は訳あって知っているが、校長以外の周りには一応隠している。中には大江先生のように長く学校にいることでうっすら知っている人もいる。

 だから徹夜してもこのとおり、と瑠璃さんは輝く廊下でバク宙をした。

「まあだからいつ新任くんが来ても大丈夫って訳」

「新任にはおちゃらけキャラでやっていくんですか?」

「まあそうだね」

 基本的に、瑠璃さんはしっかりしているんだかズボラなんだかわからない。服には頓着がないが、掃除、洗濯はしっかりしているし料理も普通に美味しい。服は適当だが。

 でも学校ではきちんとシャツを着て、クラバットなんかを締めている。

 服がちゃんとする代わりに、キャラクターはおちゃらけて、そしていかにも若くて初々しい感じになる。私には普段「おい、悠湖」と声を掛けるのに、学校では、「あ、おーい、御酒先生ー!ちょっと待ってくださーい」とか言って駆け寄ってくる。常にニッコニコして怒ったりもしない。たまにうっかりしたミスをしたりして「てへぺろ」と言えるマインドはこの人のどこから来るんだろう、と本気で不思議に思っている。

「もうすぐ来る予定の2時だね」

 そう言うと瑠璃さんは学校モードになった。

 「どんな新任さんが来るんだろうなあ、楽しみだなあ」と呟いている。

 そんなこんなしていると、校門に荷物を背負った若い男性が立っていた。

「あの人ですか」

「そうね」

 私が校門まで行くと、男性は輝く笑顔を放って言った。

「初めましてっ!これからお世話になります!新任の佐野大地です!」

 体育教師なだけあって、佐野くんはよく声が通った。

「ええ、初めまして。あなたの教育係で数学科の御酒です。」

 佐野くんが手を差し出して、私は握手をした。すると瑠璃さんがやって来た。ちゃんと上着を着ているし、靴はスニーカーを履いていた。

「こんにちは!佐倉瑠璃です!よろしくね!」

 瑠璃さんが顔を出すと、佐野くんは何も言わなくなってしまった。

「?」

「どうしたの?」

私たちが口々に尋ねる。

「あっ・・・いや、その・・・」

 佐野くんはそのままもじもじして黙ってしまったので、なんとなく気まずいまま引越しトラックを待った。

 トラックが来て、荷物を運び込み、佐野くんに訊いてみた。

「どうしちゃったのさ」

「あ、あの・・・」

「あ、トイレは曲がって左ね」

「いや、トイレじゃなくて、その」

「?」

 佐野くんは顔を赤らめて言った。

「佐倉先生って、お、お付き合いしている方いるかって、ししし知っていますか・・・」

「は?」

 どうやら、佐野くんは瑠璃さんに一目惚れしてしまったようだ。

まずはこの作品を手にとって(クリックして)下さりありがとうございます。

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(切実に!待ってます!)

拙い文ですが、これからも頑張ります!

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