第21話 早い再会
「やあ」
瑠璃さんが居なくなって、最初の日。大江先生が教師に復帰した。
「あ、大江先生!」
「思ったよりも早い再会だったね」
思わず抱きついてしまい、ハッと我に返って「すいません」と離れる。
佐野くんはきょとんとしている。
「ああこちら、大江先生。私の教育係もした人だよ。今日から復職されるんですね」
「じゃあ僕の大師匠…みたいな人ってことですね!」
と佐野くん。目が輝いている。
大江先生は、そんな佐野くんを見て相変わらずわっはっは、と笑って、
「そうだよ。君が佐野先生?佐倉先生から話は聞いてるよ。若いっていいねえ」
と言った。大江先生は佐野くんの背中をばんと叩いた。
「聞いてるって…何を?」
佐野くんは顔を真っ赤にしている。
「さあ?佐倉先生にいつか訊いてみな」
何の話だろうか。
「御酒くんも、佐倉先生を一人占め出来なくなったなぁ」
「えっ」
私も顔が真っ赤になった。
「嫉妬、してんだろう?教員寮が一緒だからって。目線が怖いよー」
大江先生は何でもお見通しだ。それにしても、そんな目線だったのだろうか。気を付けよう、と気を引き締める。
「君らも9月には異動なんだって?」と大江先生が言った。
「ああ、はい。そうです」
「…御酒くんも難儀だねぇ。恩人と娘の担任なんて」と大江先生は囁いた。
本当にこの人は、どれだけ知っているんだ。
そう、瑠璃さんは娘の十和のクラスに潜入したのだ。
十和のクラスは今年に入って5回担任が代わっている。だから、校長たちはそこが元凶のクラスだと思っているのだろう。それに、そのクラスには…「毛利」の名字の生徒がいる。
まあ今のところ、私にはあまり関係がないし、考えても仕方がない。瑠璃さんの健闘を祈るばかりだ。瑠璃さん、教師人生長いのに十代の子が苦手だ、とよく漏らしている。今頃悲鳴を上げているんじゃないか。
「瑠璃さん、今頃何してるのかなぁ」
天井を見上げてつぶやく。
「どうせキャラ通せてないよ」と大江先生が言った。
「ですね」と私も同意した。
瑠璃さんは、実は演技は上手いが日常でも、となると途端にキャラ崩壊するからなあ。
※※※
「へくしょいっ」
その頃瑠璃がくしゃみをしていたのは、言うまでもない。
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