第18話 わがままだって言えば良い
瑠璃さんはしばらくポカンとした顔をしていたが、しばらくするとクスッと笑って、
「…前にも言われたのにね」とだけ言った。
「あっでも…もし死にそうだったら助けて下さいね!」
と私が言ったら、
「そりゃあ…命にかえても」
と瑠璃さんは言った。不死身なのに、命にかえても、なんておかしいの。
「ふふっ」と瑠璃さんが笑った。
「え?」
「いや、私、学習しないなぁってね」
瑠璃さんには瑠璃さんにしかわからないものがあるんだと思った。瑠璃さんは寂しそうな、懐かしむような目をしている。
「わかった。でも、しばらく有給をとって、頭は冷やす。それで良い?」
「…はい!」
「それにしても、まだまだ子供だね、悠湖も」
と瑠璃さんが言った。
「え?」
「まだまだ我が儘を言うんだから、もう…」
そう言って私の頭をくしゃっと撫でた。
「私ももう40過ぎなんですけど…」
「そんなのまだまだ子供だよー」
「それは瑠璃さんだけの感覚でしょ…そうじゃなくて、私が言いたいのはですね…」
「うん?」
瑠璃さんはきょとんとして私を見た。
白く透き通った髪と、硝子球のような目。何もかも見透かされそうであって、少し怖じ気付きそうになるけれど。本当はそんなではなく、この人は、しっかりしているようで、しっかりしようとしてもがいてるだけだ。でも本当はとぼけてて、まだまだ幼い所もあって…それが良い、と私は思う。
「子供じゃなくても…わがままを言ってもいいと思いますよ、私は」
そう言って微笑んだ。
瑠璃さんだって、まだまだ幼い所があるよ、なんて言うと、ふてくされてしまうかな。でも、少しでもこの人の気持ちが楽になれば…といつも思う。
「…ありがとう」
瑠璃さんはそう言うとうつむいた。
「まあ今回は私のわがままのほうが勝ったってことです」
「そうだね」
「いきなり居なくならないで下さいね。これは他の誰でもない…悠湖のお願いです!」
二人で笑って教員寮まで歩いた。いつもの道が、少しだけ短いような、長いような。今日という日が終わることに少し寂しさを抱き、明日という日に期待を高まらせて。人はそれを、日常と言うのだろう。
「そういえば有給取って何するんです?」
「んー?…墓参りでも、しようかなってね」
「いいですね、それ」
二つの影が、交差した。
第一章完です!
一話からたどたどしく始まったこの物語を読んでくれてありがとうございます。感謝で一杯です。
まだまだ続いていきますので、ご期待下さい!
この作品を手にとって(クリックして)下さりありがとうございます。そろそろ更新の度に読んでくれている読者さんもいる…のかな?
もし、「面白そう」「続きが気になる」と少しでも思っていただけたのなら、ぜひ 「ブクマ」や「評価」 を押して頂けると幸いです。
(切実に!待ってます!)
拙い文ですが、これからもまだまだ頑張ります!
あと近々活動報告書きます
おまけみたいな感じかな…?




