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古の庭で  作者: 槍田歩馬
第一章 幕開け
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第9話 怒り

「まあ、そういうことだから」

と瑠璃さんはさも何でもないことかのように言った。

「え、もしかして瑠璃さんが教員寮からほぼ出ないのって、命を狙われているからなんですか?」

「いや、それはただのズボラだね」

「そうなんかいっ」

 ついツッコミを入れてしまった。

「命を狙われてるのはまあどうでもいいんだけど・・・相手が厄介なんだよね」

「いやいや、良くないっすよ」

 そこで呆けていた佐野くんも前のめりになる。

「それと松本先生に関係があるんですか」

「・・・そう。本題はそこなのよ。松本先生は・・・」

 瑠璃さんが何かを言いかける。すると数学準備室の扉が開いた。

 松本先生だ。何かいつもと雰囲気が違う。

「ま、松本先生!今日は休みじゃ・・・」

と佐野くんが言った。これでは密談をしていたと白状しているようなものではないか、とため息をつく。

「佐野先生・・・あなたの声は廊下までよく響いていますよ・・・」

と松本先生。

「じゃあ・・・俺が佐倉先生の代わりに答えます・・・俺は・・・」

「私の兄の生まれ変わりなんだ」

松本先生の声を遮り、瑠璃さんが言った。

「話している途中なんだ。割り込まないでもらえる?」

「初対面のときから、敵意丸出しすぎです・・・」と松本先生が笑った。「そんなに仲が悪かったんですか、お兄さんと貴女は」

「・・・佐倉先生の、お兄さん・・・?」

「の、生まれ変わりね」

 瑠璃さんが生まれたのはそれこそ何百年か何千年か前のこと。ならばお兄さんはずっと昔に亡くなっていることになる。

「別に大したことじゃないさ。生まれ変わった兄には何度も会ったことがある。君は10人目だ」

「どういうことですか?」

 佐野くんはまだ状況を掴めていないようだ。当たり前だ。これは瑠璃さんが不老不死であることが前提の話なのだから。

「色々聞きたいことが増えましたけど、今は良いです・・・」と佐野くんは言った。「今度、言いたくなったら教えて下さいね」そう言って瑠璃さんにウインクする。

「それで松本先生は、金庫の中身、持ち出したんですか?」

 そうだった。とんでもない話たちのせいで、本題をすっかり忘れていた。

「いいえ?佐倉先生です」

「・・・は?」思わず声を荒げる。

「何言ってんの?佐野くんだってあなたが盗んでいるのを見ているんだよ?」

「ちょっと御酒先生、落ち着いて」と瑠璃さんがなだめる。

 松本先生が口を開いた。

「・・・逆に訊きますけど、何故佐野のことは信じて、俺のことは信じないんですか・・・?」

「・・・どういうこと?」

「佐野の証言が嘘かもしれないと、疑わないんですか?出会ってからの日数は大して変わらないじゃあないですか」

はっきりした口調になった。

「そうやって論点のすり替えをして・・・」

怒りが湧く。

「佐野くんはどうだっていいんだよ。でも、佐倉先生は・・・瑠璃さんはそんなことしない!」

「何故そう言い切れる?」

ドスの効いた声になる。少し気後れしたが、耐える。

「瑠璃さんは億万長者だから、そんなみみっちいことしないもの」

「金が目的とは限らないでしょう。例えば・・・」

「あなたをを追い出すこと、とか?」

瑠璃さんが口を開いた。瑠璃さんはいたって冷静だ。

「ええ。よくわかっていらっしゃりますね。さすが──」

「それはあんたの目的でしょう?瑠璃さんになすりつけて、学校を辞めさせようと──」

「何のことだか」

「落ち着いて!」

佐野くんが叫んだ。

「ヒートアップしすぎです。一旦頭を冷やして」

「だって・・・」

「僕だって許せませんよ」

 一瞬、佐野くんがひどく大人びて見えた。

 その後、校長が来て松本先生を連れていった。

「あとは任せて下さいね」

 「大丈夫なんですか」と佐野くんが私に囁いた。「暴れたりしたら…」

「大丈夫。私こう見ても柔道黒帯なのよ」

校長がウインクした。

 去り際に、元の口調に戻った松本先生がこう言っていた。

「あなた達は佐倉先生のことを知らなさすぎる・・・本名だって、知らないでしょう?」

 本音を言えば、もやもやしたし、一発殴ってしまえば良かったかとも思う。

 でも確かに、私は瑠璃さんの全てを知っている訳じゃない。けれど、私たちが過ごした日々を、私はちゃんと知っている。だから今は、それで十分だ。

 いつか、瑠璃さんが色々なことを打ち明けてくれるその日まで…

まずはこの作品を手にとって(クリックして)下さりありがとうございます。

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(切実に!待ってます!)

拙い文ですが、これからも頑張ります!

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