第8話 驕り
「松本先生が、犯人?」
「だって毛利の手先だもの、目的も見えてるわ」
瑠璃さんがすました顔で言う。
「でもなー。松本先生をシメたとして、毛利が出てくるのはなー。面倒くさいなー」
「あの、どういうことですか」
佐野くんも私も困惑だ。
「今日は松本先生は休みだよね。でもまあ・・・じゃあちょっと空き教室に入ろうか」
今は放課後だから、生徒はほとんどいない。今は使われていない数学準備室に入る。
「え、僕ら数学科じゃないですけど、勝手に入って良いんですか?」
「いーのいーの。今は使われていないし。それに私、数学科でもあるし」
「え?佐倉先生は英語の教師じゃないんですか?」
きょとんとする佐野くん。
「そこの説明は面倒くさいから、後でにしましょう」
一向に話が始まらないので、椅子をさっさと並べて二人を座らせた。
「えーっと、まず何が知りたい?」
瑠璃さんが訊く。
「佐倉先生が何教師なのか・・・」と言いかける佐野くんを押しのける。
「それは後でね。えっと、まず毛利さんって何なんですか」
ここ最近では一番の疑問だ。国会議員だ、と前に聞いたことがあり、何度かこの学校にも来ている。
「毛利貴道。表の顔は国会議員なのよね」
「松本先生を推薦した方ですよね?」
と佐野くんが口を挟む。
「そう。でも、裏の顔は宗教法人『千輪の会』のトップなのよ」
そんな人が官僚になれるのか、ということに驚きだが、まるで心を読んだかのように「父親が財界のトップの人間だから、そこはコネで入ったのよ」と瑠璃さんが言った。
「怪しい団体なんですか?その・・・佐倉先生が前から目をつけてたってことは」
瑠璃さんは黙った。
しばらくして、「まあ・・・因縁というかね」と言葉を濁した。
「一般的な宗教法人ではあるよ。でも、他と違うのは・・・真実に基づいているってことかな」
「真実?」
「その前に、君らは無神教?」
瑠璃さんは真剣な眼差しだ。
「ええ、まあ・・・」
「はい!」
私たちは口々に答える。「なら良かった」と瑠璃さんは続けた。
「佐野先生は、『輪廻転生』って聞いたことがあるかな」
「え?」
「ぶっちゃけると、魂が輪廻転生する、というのは・・・真実だ」
しーん。静寂が訪れる。しばらくして、
「ふえ?」佐野くんは間抜けな声を出した。
「初耳なんですけど」と私も言う。
まあ普通は瑠璃さんが狂っているというか、宗教的なものに盲信していると思うだろう。でも、それは違う。瑠璃さんは無神教だ。
そして私は、世の中には科学では到底説明できないような不可思議なことがあるということは知っている。不老不死の瑠璃さんという存在を知っているからだ。
「私は経験上何人もそういう人を見ていて・・・」
「ちょちょちょ、待って下さい!いきなり話が飛びましたよね!?御酒先生も、なんか話について行っているみたいですけど、僕ちょっと混乱してます!三秒下さい!」
「短っ」
「・・・ふう、整理できました」
「はやっ」
「・・・続けていいかな?」
「どうぞどうぞ」
すると瑠璃さんはまた話しだした。
「私は君たちの前世に会ったことがあるしね」
「!?」
「質問は後でね。それで、毛利はそれを知っているわけ。『千輪の会』で崇められている『神』からの神託を受けているから。それで、毛利はその『神』のお告げに従って私を殺そうとしているわけよ」
・・・。再び訪れる静寂。
「は?」
「こ、ころ・・・え?何て言いました?」
「私は毛利に命を狙われてるの!」
「「はあー!?」」
今なら佐野くんと意見も合う気がする。
私は瑠璃さんを知った気になっていた。でも、新情報が多すぎる。
ほんと、この人は・・・。頭を抱えてしまうのは仕方のないことだ。
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(切実に!待ってます!)
拙い文ですが、これからも頑張ります!




