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狐は私を帰さない  作者: こもりみかん
始まりと再会

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14/17

ようこそ

 目が覚めた。私は起き上がる。

 ここはどこ…?何があったんだっけ…。えーと、老婆の姿がフラッシュバックする。


 呼吸が乱れる。深呼吸し、心を落ち着かせ、恐る恐る布団をめくった。


「あれ…? 傷がない」

 あんなことがあったのに……。私は小指にも視線を向ける。

 あれ…? 震える指で無いはずの小指を撫でる。確かにそれはそこにあった 。


 私は信じられずじっと小指を見つめる。

 見つめていると、やけに視界が広いことに気がついた。片目を取られたはずなのに。


 手を目に当てる。眼球の感触が伝わるし、近づいてきた指が見えた。

「夢…だったの?」

 でも、感覚を鮮明に思い出せる。それに悪夢を見たにしては脂汗をかいていてない。


 戸惑っていると、襖が開いた。入ってきたのは仮面を被っていない狐だった。

 琥珀はきつね色の毛だが、この狐は銀色の毛だった。


 彼はしゃがみ込む。

「お目覚めになられましたか。唯様」

 狐……。そうだ、私…琥珀に助けられたんだった。傷がないのは……異界だから治療手段があるんだろう。


「あの…琥珀は何処ですが? お礼が言いたいのですが」

 彼はさらに頭を下げる。

「申し訳ありませんが、彼は追放されました。ここには居ません」

「追放…何でそんなことを!」

「彼は貴方を招待者だと気付かず、街に放置し、怪我を負わせました」


 招待者…? 何それ。いやそんな事よりも琥珀の方が重要だ。


「でも彼は私を助けてくれました!! それに傷も治して」

「救助するのは彼の義務です。それと失礼ながら唯様は勘違いされています」

「勘違い…?」


 彼は頭を上げる。

「はい。唯様……ご自身の頭かお尻をお触りください」

 私は頭を触った。何か……付いてる。もふもふとした毛ざわり、それに三角形。


「これは…耳……?」

「その通りです。彼は貴方を狐にして自己再生を促しました」


 狐にして…。どうやって。私は自分のお尻を見る 。やはり尻尾が生えている。

「琥珀は……どうやって私を狐に?」

「血を飲ませたのです。彼は貴方が人間として生きられることを剥奪して助けたのです」


 人間を剥奪……。つまり…。


「つまり私は……」


「狐になられました。ようこそ、我らの一族は歓迎します」

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