第7話 同じお茶。
……。
え。難しいんだけど。
とりあえず、本棚にあった魔導具作りの基礎を読みながら、試しに失敗作の素材を使って形成してるけど……。全然均等に曲げられないというか、丸まらないというか……。
まさか、乾風の持ち手部分で、さっそく躓くとは思ってなかった……。力ずくで曲げた方が綺麗に曲がりそうだな……。
「あ、ルカ。それは魔力量をもう少し絞ったら上手くいくよ」
「……これでもかなり絞ってるんだけどね」
「そっか。……じゃあ、もう少し魔力の範囲を広げてみるのはどうかな?」
「魔力の範囲?」
「うん。魔力量は変えずに薄く引き伸ばすというか……。例えば今が羊皮紙だとして、レースくらいの薄さになるようにして、素材に魔力を纏わす感じ!」
「……なるほど?」
なんとなく分かったけど、それはそれで難しいと思う。
薄く引き伸ばしたら素材だけじゃなく、テーブルごと魔力を纏わせてしまいそうなんだよなぁ。
……あ。
これならいい感じかも。
「おぉ!ルカ、そんな感じだよ!でもまさか、片手でやるとは思わなかった」
「両手でやるから、魔力の出力が上がるのかなって思って、試しに片手でやってみたら半分の出力で出来た」
「いや〜普通、片手でやるのはすごくコントロールが難しいはずなんだけど……ルカの場合は、魔力量が多いから片手の方がやりやすいんだね!他の人もそうなのか気になるねぇ」
……エリオの顔が研究者の顔に変わった。
対象者が俺じゃないことを祈る!
「えぇーっと、次はー……」
小説では先に魔導回路を描いてるイメージだったけど、この仕様書を見る限り、部品を仕上げてから魔導回路を描いてるみたいだな。
「なぁ、エリオ。俺がイメージしてたのは、持ち手部分が出来たらそのまま魔導回路を描いて、次に他の部品を作っていくって感じだったんだけど、順番に決まりがあるものなのか?」
「あ、それね。人によって違うよ。最初に全部、部品を作る人もいれば、持ち手部分を仕上げてから、部品を作って、魔導回路を描いて組み立てるっていう人もいる。仕様書に書かれてるのは、生産する際の効率化で順番がそうなってたりするよ」
「なるほど。確かに大量に作る時、順番がバラバラだと大変そうだ」
じゃあ、俺はどうするかだけど……。
やっぱりそこはフィンが作る順番で作りたいよなぁ。
て、ことで――
「……。真っ直ぐ描けないんだけど……」
「ん?あぁ、そんなに押さえつけるようにしなくていいよ。部品に軽く触れる程度で。そうすると、綺麗に描けるんだ」
「あ、本当だ。真っ直ぐ描かなきゃって力が入り過ぎてたみたいだな」
「僕も最初の頃、力が入りすぎてペン先を折っちゃったことがあるんだよねぇ。魔導回路って、溝みたいになってるように見える時があったから、削る勢いで描いてた。でも実際は軽く触れる態度でいいんだよね」
「そうなんだ。確かに集中すると、余計に力が入ったりしそうだな。……力が入らないように……集中を途切れさせないように……。え。しんどい……」
「そんなに魔力を一気に使ってるわけじゃないのに、意外とつかれるよね?そんな時は、甘いもので休憩するのがおすすめだよ。あっちの棚にお茶とお菓子があるから、自由に飲んで食べていいからね」
そういえば、小説でフィンも途中でお茶の時間を作ってたな。
作中で描かれてた焼き菓子と、すっきりするお茶があったらそれを試してみたいけど……。お菓子とか茶葉の名前、出てなかったような気がする……。覚えてないな……。
あ。焼き菓子はある!
これがフィンの好きなやつなのかは分からないけど。
お茶は……五種類くらいあるな。どれがいいんだろ――
「この茶葉がおすすめだ。すっきりして、飲みやすい」
っ!!
フィンっ!!
ん?!って、ことは?!このお茶かっ?!
「……そうなんだ。なら、これを飲んでみようかな。ついでにフィンの分も入れようか?」
「あぁ、じゃあ頼む」
「分かった」
あぁー……びっくりした!
いきなり話しかけないで欲しい……いや、話しかけてくれるのは嬉しい!
でもびっくりしすぎて、もう少しで持ってた焼き菓子を落とすところだった……。
……。
「……はい。どうぞ」
「ありがとう」
フィンが席に戻るのを見送りながら、やっと一息ついた。
「……あ、美味しい」
確かにすっきりしてて、飲みやすいな。
酸味が感じられるお茶は苦手だったけど、これはどちらかと言うと、フルーティーな酸味というか……香り?って感じだな。
……やっぱり、これが小説でフィンが飲んでたお茶なのかな?
違ってたとしても、今!推しと!同じ場所で!同じお茶を!飲んでるんだから!最高だな!!
第7話を読んでいただき、ありがとうございます!
推しと同じお茶を飲めて満足した回でした。
また書けたら更新します!




