第6話 本物を見た。
食事を終え、食後のお茶を飲みながらゆっくりしていると――
「ユリウス、この後暇か?また手伝って欲しいのだが」
……っ!
目の前に!マティアス!!
え、やばい! 近い!
……キューティクルすげぇな!
どうやったらその天使の輪が出来るんだよ!
そこらの令嬢たちより髪、綺麗すぎだろ!
まだこの世界に艶髪なんてないはずだけど。
それに良い声!
ちょっと低めの……バリトンボイスってやつか?
背は……フィンより高そうだな。
ていうか、脚長いし、スタイル良すぎじゃね?!
侯爵家次男で将来有望……羨ましい!
「えぇ……また?他の人に頼みなよぉ」
マティアスに頼まれたなら、みんな快く引き受けそうだけど?
「……」
あ。
なるほど。
令嬢たちがめちゃくちゃこっちの様子を伺ってるのが分かる。
下手に誰かに頼もうものなら……。
「俺、このあと魔導具研究会の方に行くから、ユリウスは手伝ってあげたら?」
「……しょうがない。分かった。……じゃあルカ、また後でな」
「あぁ」
ユリウスを見送り、俺も魔導具研究会へ向かった。
……。
今入ったらフィンとウィルがいるって事だよな?!
いいのかな?入って!俺、邪魔じゃない?!
……ちょっと覗いてみるか……?……いや、そんなことしたら変なやつだって思われる!でも、なんて言いながら入ればいいんだ?「失礼しまーす!フィン元気そうだな!ウィルフリード殿下!ルカ・エーベルと申します!先日、魔導具研究会に入りました。よろしくお願いします!」って感じか……?
……どう考えても変だな。
「あ、ルカ!今日も来てくれたんだね。 ところで、こんな所で何してるの?入らないのかい?」
「っ!……いや、ちょっと考え事をしてて」
「そっか。じゃあ、僕は先に入るね」
「あぁ」
……このまま扉の前にいるだけじゃダメだな。
よし!入ろう!
「失礼しまーす」
……。
転生ありがとう!!
本編では詳しくは書かれてなかったはずの、フィンとウィルの魔導具研究会でのシーンが今、目の前に!
もっとフィンがウィルに教えてる感じかと思ってたけど、それぞれで作ってたんだなぁ。
……魔導具回路って、人によって光り方が多少違うのか?フィンとウィルだと、ウィルの方がほんの少しだけど、色が濃いような……?
「なぁ、エリオ。人によって魔導具回路の濃さって変わるのか?」
「あ―、あの二人の差か。基本は色の濃さは変わらないよ。でも、慣れてない人だったり、流す魔力量が安定していないと、濃さが変わってしまうね。個人で楽しむだけならいいけど、安全性が変わるから他人に渡すのはダメなんだ」
「へぇ。結構集中力が要りそうな作業なんだな」
だから小説でフィンが細かく何度も修正したりしてたシーンがあったのか。
……その割にその辺の説明ってなかったよな?
フィン視点で進んでたからか?
「あ、そうそう!これなんだけどね、ルカが乾風を作ってみたいって言ってたでしょ?それの仕様書だよ」
おお!これが仕様書か!
……道具の名前とか素材は小説読んでたから、何となく分かるけど、どれがどれなんだろう?
棚に置いてある魔導具や素材を、仕様書を見ながら確認していく。
あ、これが魔導回路描写ペンか!長い名前だなぁって思ってたやつ!
こっちは……修正用の方だな。
ペン先も予備として結構置いてあるみたいだ。
そういえばこの頃は、小説に書かれてた一番細いペン先が販売される前だよな。
で、こっちにある素材が薄型鉄板か。
よくフィンが使ってた素材だな。
……思ったより、安めの素材が多いのか。王立学園だから、もっといい素材もあるのかと思ったけど。
あ、そういえばエリオが言ってたな「人数が増えたから、予算を増やしてもらえるぞ!」って。
……こっちのはなんだろ?
形がバラバラな素材がまとめて置いてあるというか……?
「エリオ、ここにあるバラバラな素材はなに?」
「あぁ、それは失敗したやつだね」
「なるほど」
フィンも何度も試行錯誤してる様子が書かれてたから、こんな風に作業部屋にも置いてたりしたのかな。
あ。
「エリオ、練習するのにこの失敗したやつを使ってもいいか?最初から素材を使うのも、もったいないし」
「もちろんいいよ!僕も試してみたい時に、失敗した素材を使うことがあるから」
第6話を読んでいただき、ありがとうございます!
ルカがさっそく転生を楽しんでいる回でした。
また書けたら更新します!




