第5話 上の空。
「おはよう」
「あぁ、ルカ。おはよう。今日は遅かったんだな」
「あ―……考え事してたら、時間ギリギリになってて」
「あれだろ、好きな人のこと、考えたんだろ?」
「なんで分かるんだよ?!」
確かに朝からフィンの事とか考えたけど!
「いや、ルカ、昨日からなんか変だったし、好きな人がいたって教えてくれただろ? 意外とルカは分かりやすく浮かれるんだなって」
……。
まぁ、確かに浮かれてたけど……。
だって、本当にこんなことが起こるなんて、誰も思わないだろ。ファンタジーするぎる。
……あ。
そいえば、魔導具に関する講義もあるって小説に書いてたけど……俺、その講義受けてないな……。魔導具に興味なかったから、魔法に関する方の講義を選んだんだよなぁ。
魔導具研究会に入ったから、魔導具に関する講義を今からでも受けた方がいいのか……?
「なあ、今からでも講義って、別のに変更出来ると思う?」
「講義? 何に変更したいんだ?」
「魔導具に関する講義。昨日、魔導具研究会に入ったはいいけど、知識がなさ過ぎて」
「あぁ、なるほどな。さすがに今からは無理じゃないか? 卒業まであと数ヶ月しかないし、魔法に関する方の講義もあるだろ? 評価にも関わってるみたいだから、中途半端になるのは避けた方がいいと思う」
「だよな……」
小説で読んでた時は、魔導具作りは簡単そうな感じだったけど、昨日実際に少し見ただけでも、難しそうだった。
……まぁ、フィンが優秀だったからなんだろうけど。
いや、優秀なフィンでも、小説の中で試行錯誤してるシーンも書かれてたよな。
ということは、俺にはハードルが高すぎる……。
……あ。
でもウィルも魔導具作ってたって書いてあったから、俺も多少は出来るかも……?
そんなことを考えながら、いつの間にか午前の授業を終えていた。
……午前の授業、全然集中出来てなかった。
「ユリウス、さっきのところなんだけど――」
……俺、今日は本当に上の空だな。
「あぁ、そういう事か。だから、これが消えるんだな」
「そう。魔法同士の反発も厄介だけど、打ち消すのも厄介って話だね。これ、絶対次のテストで出そうだよね。あの先生、こういうの好きでしょ」
「……確かに」
「そろそろ、食堂に行こう。お腹すいた」
「あぁ、そうだな」
食堂でいつものメニューを頼んで、席に着いた。
窓際の端の席。
食堂全体を見渡せるけど、あんまり人気が無い席だ。
……あ。
フィンがいる!
……一緒にいるのは……ガレスか?!
イメージイラスト通りだ!
……なるほど。ガレスの方が少し、身長が高いんだな。
……あ。ウィルと……あれ、マティアスだよな? 昼は四人で食べてたのか。
今まで気づかなかったな。
……あぁ、あそこの席か。
ここからじゃ遠くて気付かないはずだ。
「どうかした?」
「……え? ……今まで、あの四人があの辺に座ってたの知らなかったなって思って」
「四人?……あぁ、ウィルたちか。 あれ、多分、令嬢たちを避けるためにあの辺に座ってるんじゃないかな?」
なるほど。
俺たちが座ってる席も人気が無いけど、四人が座ってる席は、もっと人気のない席だ。
日当たりも悪く、出入口からも遠い。少し不便な場所だ。
……でも、令嬢たちの目が、肉食獣みたいにギラギラしてるように見えるんだけど。
「……まあ、あの四人、目立つからね。 第二王子に侯爵家次男と侯爵家三男。それに伯爵家の長男だから。将来安泰が約束されてるようなものだから。令嬢たちも必死になるのは分かる」
「……ユリウスも侯爵家じゃん」
「俺は平凡だからなぁ」
「ユリウスが平凡なら、俺はどうなるんだよ……」
「いや、ルカは将来、魔導師団を希望してるんだろ? 魔力量が多いから期待もされてるじゃないか」
「……あ。魔導師団って、入団試験あったよな?あれ、どうなってるんだ?」
「卒業前に、入団試験を受けられるはずだけど。先に申請書の提出が必要だったはずだよ。まぁ、もう少し先だろうけど、受付の時期になったら先生から声をかけてくれるんじゃないかな?」
……入団試験ってどんな事するんだろう。
あ。
フィンとウィルが……。
……魔導具研究会の方に行くのかな。
第5話を読んでいただき、ありがとうございます!
フィンに会えて、すっかり上の空なルカでした。
また書けたら更新します!




