第4話 転生者の悩み。
……なんで今頃になって前世のことを思い出したんだろう。
もっと早く思い出せていたら、フィンの昔を見られたかもしれないのに!
「俺は大人だ!」って言ってたフィンの黒歴史とか見たかった……。でも、学生時代をあと数ヶ月は見られると思うと、まぁ良かったのかな。
いやー、それにしても、フィンだったなぁ。
小説のイメージイラストより、少し幼さが残ってる気もしたけど。
あと、髪がイメージイラストより短かったな。これから伸ばして行くんだろうな。
……俺、本当に転生したんだな。
あ。
そういえば、転生者って、国に報告義務みたいなのがあるって小説に書いてたような……。
ということは、俺も……だよな?
……。
小説で、転生者は国の発展に貢献してたって設定だったはずだけど、俺、普通の会社員だったんだけど。……え。これも報告するってことか?
……俺も家電を魔導具化するとか?
いや、そんなことしたら、小説でフィンの作ってきた魔導具をこの目で見ることも出来なくなるな。
まぁ、それ以前に魔導具を作れるようになるのかって話だけど。
……え。
この先不安しかない……?
……待って。俺、これからどうやって生きていくんだ?
魔法は好きだから、将来、魔導師団に入れたらいいなぁって、昨日まで考えてはいたけど……。いや、まぁ、魔力量が多めだから魔導師団に入れる可能性は高いだろうけど。
あ!
魔導師団だったら、フィリップがいるじゃん!
うわぁ! それは熱い!
そうと決まれば、魔導師団を目指すしかない。
……いや、待て。
魔導師団って、どうやったら入れるんだ?
……入団試験とか、あったような気が。
周りに魔導師団に所属してる人がいたら聞けるんだけどなぁ。
……まあ、今日はもう遅いし、明日考えるか。
そう思ってベッドに入った。
今日は色々ありすぎた。
前世を思い出して。
フィンに会って。
その世界に本当に転生したことを知って。
これからのことまで考え始めて。
……なんだか、頭が疲れた。
目を閉じると、思っていたより早く眠りについた。
――翌朝。
「……眠い」
……。
……昨日のこと、夢じゃなかったんだな。
あ。
……ということは、俺、向こうで死んだってこと?!
昨日は『侯爵家三男は快適に暮らしたい。』の作中にいることに浮かれてて、前世がどうだったのか気にもしてなかったな……。
……まぁ、いいか。
前世の記憶を思い出したところで、すでに18年はこの世界で生きてたんだし。
フィンみたいに子供の頃に前世の記憶を思い出してたら、混乱した可能性はあるけど。
ローゼン侯爵家みたいに、家族仲がすごくいいわけでもないし。まぁ、貴族家らしい感じだな。
……やっぱりローゼン侯爵家って家族仲いいんだな。
……あ!
……時間が!
こんなことを考えてる場合じゃなかった!
遅刻する!
急いで準備をし、学園へ向かった。
学園に着くと――
……!!
朝からフィンが歩いてる!
いつもこのくらいの時間に登校してたのか? だから今まで会うことなかった?
……あ。
一緒にいるのってもしかして、ティアナか?!……え、一緒の馬車で登校?めちゃくちゃ仲良しだな!
……いや、なにか揉めてるな。
「もう!フィン兄様のせいで遅刻ギリギリになったじゃない! 朝から作業部屋にこもらないでよね!」
「……昨日上手くいってなかった魔導具のこと考えてたら、可能性を見つけたんだから、しょうがないだろ」
「だとしても!学園がある日はやめてっていつも言ってるじゃない! 私が生徒会に入ってるの知ってるでしょ? 信用問題に関わるのよ!」
「いや、遅刻くらいで……」
……。
ティアナは中等部時代、生徒会に入ってたのか。
こんな話、本編であったっけ……?
……いや、覚えてないだけか?
それにしても、こんな情報も知れるなら、転生して良かった!
第4話を読んでいただき、ありがとうございます!
不定期更新と言いつつ、なんだかんだ第4話まで書けました。
また書けたら更新します!




