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推しは異世界で今日も『快適』に暮らしている。  作者: 西 悠希


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3/10

第3話 研究会に入った。



「えーと、ルカ……だっけ? この書類にサインをもらえますか?」


……魔導具研究会への入会書類か。


「……。これでいいですか?」


「はい! これで君も晴れて魔導具研究会の仲間だね! フランクに話しても?」


「……あぁ、もちろん」


「じゃあ、僕は書類を届けてくるね!」


……エリオは走り去っていった。


ちょっと、待って。

俺、今、フィンと二人じゃん!……え、何話せばいいの?! いや、魔導具を見てるから話しかけない方がいいのか……。


それより、俺はここにいていいんだろうか……?

今のところ、何もすることないけど。


……あ。でもそろそろ戻らないと、昼休みが終わるな。

フィンは……このままここにいるつもりなんだろうか?


いや、さすがに授業は受けてるか。……多分。


「……そろそろ、俺、教室に戻るけど……フィンは?」


「……俺はここにいる。次の授業、自習になったみたいだから」


……サボりではなさそうだな。


「そっか。……じゃあ、またな!」


「あぁ」


……やばい!フィンと普通に話せた!!

推しが最高すぎる!


「こら、そこの君! 廊下を走らない!」



……。


……恥ずかしい。



「あれ、ルカ。今帰ってきたのか?」


「うん。なんか流れで魔導具研究会に入ることになって」


「どんな流れだよ、それ」


「それより! 俺はユリウスに感謝してるんだ! ユリウスのおかげで、運命にめぐり逢えたんだから!」


「え、俺のおかげ? 一目惚れでもしたのか?」


「違う。ずっと好きだった人に逢えたんだ!」


「ルカ、好きな人いたの? 初耳なんだけど!」


「とにかく幸せな時間を過ごせたんだよ!ありがとう、ユリウス!」


「……よく分からないけど、ルカが幸せそうで何よりだ」


あ。


「そういえば、生徒会長によばれてたんだろ?何かあったのか?」


「あぁ……なんか提出してた書類に不備があったらしくて、呼ばれたんだけど、結局雑用を押し付けられた感じになって。雑用が嫌だったから、生徒会に入るの断ったのに、結局これだよ……。幼なじみだからって扱いが雑なんだよなぁ」


「……生徒会長と幼なじみだったのか?」


「うん。侯爵家同士、昔から交流があったんだ」


……ん?


ということは……


「……じゃあ、フィンとも幼なじみなのか?」


「……幼なじみと言えば、幼なじみだと思うけど……。フィンとはそれほどって感じだな。フィンはガレスとかウィルの方が仲が良いだろ」


……こんなところに、推しと繋がる縁があったなんて……!


「ルカはフィンと知り合いだったのか?」


……一方的に知ってるけど


「さっき、魔導具研究会で会った。……会ったんだよ。 それに喋ったんだ!」


「え、うん?」


「こんなこと、本当に起こり得るんだな!」


……あ。


魔導具研究会に入ったはいいけど、活動時間とかなにも聞いてなかったな。

放課後とか、行ったほうがいいのか?


「ユリウスは魔導具研究会に行ったことある?」


「いや、ほとんどないな。エリオに用事があった時に行ったくらいで」


……エリオとも知り合いだったのか。

ユリウスの交遊関係って広かったんだな。


「そうなんだ。 俺、魔導具研究会に入ったって言っただろ? 活動時間とか、聞くの忘れてたんだよなぁ」


「あそこは自由なはずだよ。授業以外の時間は、みんな魔導具研究会にこもってるって聞いたことあるし」


……じゃあ、とりあえず放課後覗いてみるか。



それから午後の授業を終え、俺は放課後になるのを待った。


……そして、放課後。


俺は魔導具研究会が使っている教室へ向かった。


「……失礼しまーす」


……あれ?


誰もいない?


……放課後は活動してないのか?


「ルカじゃないか! さっそく来てくれたんだね!」


……びっくりしたぁ。

急に後ろから声かけないで欲しい……。


「……あぁ。魔導具研究会に入ったはいいけど、具体的なこと何も聞いてなかったって思って」


「フィンから聞かなかったのかい?」


「うん。昼休みも終わりそうだったから、あのあとすぐ、教室に戻ったんだよ」


「なるほど。……そうだなぁ。とくに伝える必要があるものは、ないんだよねぇ。みんな自由に、自分がやりたいことを、やりたいときにやってる感じだから」


……フィンが魔導具研究会にこもってた理由が、ちょっと分かった気がする。


でも、そうなると、俺は何をすればいいんだろう?


「俺、魔導具を作ったこと、一回もないんだけど……」


「試しに簡単なものから作ってみるのがいいかもね! なにか興味あるものがあればいいんだけど」


……興味あるものか。


あ。


「乾風《ブロア》とか……」


「あぁ!あれね! 簡単かと言われると、そうでもないけど……でも作りがいはあると思うよ」


……乾風《ブロア》はフィンが子供の頃に作って、大ヒットした魔導具だから、ちょっと興味がある。


……推しが作ったものを、俺も作れたら……!!


「……あ。ちなみに、放課後はほとんど集まらないのか?」


「そうだね。みんな屋敷に作業部屋があったりするから、そっちで続きをする人が多いかな」


……ということは、フィンはもう帰ったのか。

もっと話したかったなぁ。


「エリオは?」


「僕も基本的に放課後は、屋敷に戻って続きをしてるよ。今日は荷物をここに置いてたから、取りに来たんだ」


……え。


じゃあ、今日、俺だけってことか。


……帰ろう。



第3話を読んでいただき、ありがとうございます!

ルカは魔導具研究会に入りました。

次回も楽しんでいただけると嬉しいです。

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