第2話 思い出した。
……いや、ちょっと待て。
……え?
俺って転生だったのか……?
……え、フィンが目の前にいるんだけど。
これって、小説の中ってことか……? いや、小説では学園時代のこと、ほとんど書かれてなかったよな?
じゃあ、貴重じゃん!! フィンの学生時代とか!!
え、本編に書かれてない推しを見れるってことだよな?! なんだこの最高なシュチュエーションは!
……あ。でも俺、クラスも違うし……。
小説でフィンは魔導具研究会にこもってたって書いてたよな。 そうなると、余計に接点もなにもない……。
「……え、結局、誰? 俺になにか用?」
「……?! 推しが喋った!!」
「はぁ?」
……思っていたより、チャラさがない、落ち着いた感じの声なんだな。
まぁ、フィンはチャラいキャラじゃないしな。
「フィン、この人は荷物を届けたくれたんだよ。 なぜかここじゃなくて、違うところに運ばれてたみたで。 誰が間違えたんだろうね」
……そのおかげで、俺は推しに会えました!
「あぁ……何か片付けてる人がいたから、その時間違えたのかも」
……間違えた人、ありがとう!
「ちゃんと書いておいたのに……」
「……字が汚かったんじゃない?」
「それ、フィンが言う?」
原作通り、フィンは字が汚いのか! それも見てみたいな!
「……で、そこの人は、別に俺に用があるわけじゃないんだな?」
「あ、はい……」
「フィンが魔導回路を描いてるところを見て、感動してたんだよね? 分かるよ! フィンの描く魔導回路、綺麗だからね」
「はい!」
まさか、フィンが魔導回路を描いてるシーンをこんな間近で見られるなんて……俺、早くも運を使い果たしたんじゃ……?
「魔導具研究会に入ってくれるんですよね?」
「はい! ……はい?」
……え?
「……魔導具のことはよくわからなくて……。魔法は好きですけど……」
……いや、これはチャンスじゃ?
フィンはほとんど魔導具研究会にいるとなれば、俺が推しを見れる機会なんてほとんどない。
だけど、俺が魔導具研究会に入れば……!!
……でも、細かい魔法操作が必要だよな。
魔力はそれなりにあるけど、それを細かくコントロールするってなると、ちょっと苦手だし……。
「あの、俺、細かい魔法操作がちょっと苦手なんですよね……」
「……それは、魔力が多いからか?」
……!フィンが俺にまた話しかけてくれた!!
「そうですね。魔力は多い方です!」
「それこそ、魔導具研究会は大歓迎ですよ! みんな細かい調節を得意としていますが、魔力は平均くらいなんです。 だから、魔力量が多い人が、うちに来てくれたら魔導具開発にも幅が出るんですよ!」
「……なるほど」
この話は受けるべきだよな……?
それに、他に何も所属してないし。
「……じゃあ、よろしくお願いします」
「よし! 人数が増えたから、予算を増やしてもらえるぞ! さっそく書類作って提出しないと!」
「……え?」
「……魔導具研究会、予算少ないんだよ。 入ってくれるのはありがたい」
……!推しにお礼を言われてしまった!……やっぱり運を使い果たしたか。……それでもいいや。
「……あ。俺、ルカ・エーベルです」
「フィン・ローゼンだ。 同じ歳だろ? 敬語じゃなくていい。 ちなみに、あいつはエリオ・ヴァイゼンだ」
いや、本当にユリウスに感謝だな。
荷物を頼んでくれなかったら、フィンに会うことも、前世を思い出すこともなかっただろうし。
あ!
マティアスって、マティアス・クローデンか!
幼なじみ四人の回とか好きなんだよなぁ!
四人でいるところを覗かせてくれたりしないかなぁ……。
……いや、無理か。
マティアスとガレスは、魔導具研究会の方にはほとんど来てなかったって、小説に書いてたし。
あ。……ウィルはよく来てたって書いてたよな。
ということは、ウィルには会えるな!
……でも、この国の王子ってことだよなぁ。
……。
いや、すでに何度か会ってはいるな。
ただ、前世の記憶を思い出す前だから、そんなに関わりは持ってない。
まぁ、ある意味その方が良かったのかも。
仲が良かったら、前世の記憶を思い出した時、挙動不審になっただろうし。
第2話を読んでいただき、ありがとうございます!
ルカは、無事に前世を思い出しました。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです。




