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ノヴァーリスとぬいぐるみ



 詩人のノヴァーリスは、科学が発展する時代に生まれた。あらゆるものが科学によって、「正解を見つけました」と叫ばれる時代、ノヴァーリスは「あらゆるものに意味を見出す、『ロマン』が必要だ」と主張した。


きっと、若くして愛する人を亡くしているからこそ、その言葉なのだろう。


私もロマンは大切だと思う。




 私の彼女は任天堂のゲームが好きだ。とくにピクミンが好きで、ある日「チャッピー」という敵キャラクターのぬいぐるみを欲しがった。


そして、実際にチャッピーのぬいぐるみを手に入れたのだが……、届いたときから、鼻のところの刺繍がほつれていて、3cmくらいの糸が鼻から伸びている。


彼女は悲しんだ。


しかし、「鼻毛が飛び出て驚いてるみたい」という会話から、悲しい思い出になるはずの出来事は、間抜けで柔らかい記憶になった。


 糸がほつれているのは不良品だ。新品に取り替えるのも大切なことだが、それでは「悲しい思い出」が消えない。だからこそ、不良品であることに意味をもたせる「鼻毛が飛び出て驚いている」というユーモアが必要だった。



 もし、不良品が届いたら大前提として、取り替えてもらうのは当たり前だ。


でも、その不良品になんだか愛着を感じ、そこにロマンを感じたならば、その物に意味を与え、「世界に1つしかない自分の宝物」にしてしまうのも、案外、悪くないと思う。





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