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メンタルつよつよ令嬢ハルカはガリガリ王子をふくふくに育てたい!  作者: ふくまる
第5章:ふくふくの実をつけましょう

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第87話:久しぶりの依頼

本日はハルカたちの冒険者活動についてのお話です(*´∇`*)

 学院生活が始まってから三ヶ月。私は平日は寮で学院生活を送り、週末は王都のタウンハウスで化粧品事業や溜まった仕事をこなす毎日だった。


 レオは週末になるとヒルベルト邸へ戻り、ヒロの手伝いをしていた。アーサーも相変わらず王宮での仕事に励んでいる。

 みなそれぞれに忙しく、あっという間に時間は過ぎていた。


 季節は春。


 王都周辺は雪解けも早い。

 眠っていた魔獣たちも活動を始め、人里へ下りてきて悪さをする個体も出始めているようだ。


「ハルカ、緊急討伐の依頼が来てるんだけど、今週末動けそうか?」


 学校からの帰り道、いつものように寮まで送ってもらう途中、レオが徐にそう告げた。


「大丈夫だと思うけど、緊急討伐って、何が出たの?」

「ハーピー。王都郊外の森に、まあまあ大きな群れが住み着いたらしい」

「それはマズイね。繁殖期かな?」

「ギルドではそう見てる。近隣の家畜に被害が出てるそうだ」


 ハーピーは、上半身は女性、下半身は鳥という姿をした魔獣だ。群れで行動し、風魔法と鉤爪で攻撃する。普段は人里離れた山奥で暮らしているが、繁殖期には人里近くに降りてきて人や家畜を襲うBランク討伐対象だった。


「飛行系の魔物相手だから、パトラッシュも呼んだ方がよさそうだね」

「そうだな。あと、アーサーとセシルが参加することになったから、ルナ姉にもそのつもりで準備を頼んでくれるか?」

「アーサー、連れてって大丈夫なの?王族デビューしちゃったから、もう一緒に冒険者活動するのは難しいかと思ってた」


 そう、王族としてデビュタントを迎えたアーサーは、護衛が必要な立場だ。今までのように自由に冒険者活動することが難しくなっていることは、そういったことに疎い私でも理解できる。


 ……本当は少し寂しい。

 学院でもなかなか会えないし、王族としての仕事も増えている。


 でも、それがアーサーの選んだ道なんだから、応援してあげなくっちゃ。


「少し揉めたみたいだけど、セシルが騎士団を率いて俺たちとの合同討伐することで許可が降りたらしい」

「ええ?なんか大事になってるね!?それって、最初から騎士団案件にすれば済む話じゃないの?」


 セシルが騎士団を率いて来ることにも驚いたけれど、そこまでするくらいなら騎士団だけで対処した方が早いんじゃないだろうか。


「本来ならそうなんだけど、この時期はあちこちで魔獣被害が出てるらしく、騎士団だけでは対応しきれないんだと。それで、ギルドに応援要請がでることになったらしい」

「ああ、それで私たちのところにも依頼が来たんだ」

「だな。まさか、パーティメンバーに王族がいて、護衛兼ねた騎士団との共闘になるなんて思っても見なかっただろうがな」


 思わず顔を見合わせて笑ってしまった。


「まあ正直、過剰戦力な気がしないでもないがな。お嬢とパトラッシュだけでもいけるんじゃないかと俺は思う。飛べるし」

「そんなことないよ。だって群れでしょ?私たちだけだと対処に時間かかっちゃうよ」

「ハハ。できないとは言わないんだな。俺の出る幕なさそう」

「そんなわけないでしょ!A級冒険者様の見せ場はたっぷりあるからね」


 軽口を叩き合いながら、寮への道を進む。

 春の暖かな風が、道端に咲くタンポポによく似た黄色い花を優しく揺らしていた。


「じゃあ、三日後早朝、タウンハウスの方に迎えにいくから、準備しておいてくれ」


 そう言うと、レオは男子寮の方へと帰っていった。


◇◇◇


 討伐の朝。

 集合場所の城門前へ向かうと、すでに騎士たちが整列して待機していた。

 先頭にはアーサーとセシルの姿がある。

 私たちに気づいたアーサーが、大きく手を振った。


「ハルカ! 久しぶり!」


 声まで弾んでいる。


「アーサー! 久しぶり!」


 私も笑顔で手を振り返した。


「セシル様も! 久しぶり。元気そうだね」

「ハルカも。今日はよろしくな」


 騎士服に身を包んだセシルが、屈託のない笑顔で応える。


「ハルカ!」


 次の瞬間、アーサーが駆け寄ってきた。

 しかし、その間にパトラッシュがスッと割って入る。


「パトラッシュ!久しぶり」


 嬉しそうに、矛先をパトラッシュへと向けるアーサー。銀色に輝く毛並みに顔を埋め、ギュッとその体を抱きしめた。

 パトラッシュはほんの少し迷惑そうな顔をし、でも「仕方ないな」と言わんばかりに、尻尾でアーサーの頬を撫でる。久しぶりに見るそんな二人のやりとりに、なんだか心がほっこりとした。


「よし、揃ったな。では、出発しよう」


 セシルの号令で隊と共に移動した。

 途中、セシルから今回の討伐について説明を受ける。


 「目撃されているだけでハーピーは十二体。最初の目撃から二週間が経過している。ここから一時間ほど西にある森に住み着いているらしい。森の入口付近の酪農農家で家畜への被害が出ているそうだ」


 今日は合同討伐ということで、互いの戦力と戦い方をセシルとレオ、リーダー同士で擦り合わせる。と言っても、二人はすでにオンタリオで何度も共闘経験がある。そのため、どちらかというと同行している騎士たちに聞かせるのが目的なのだろう。


 私は隣を進むアーサーに話しかけた。


「アーサー、久しぶりの実戦だけど大丈夫?」

「それを言うなら文官科のハルカの方でしょ?腕、鈍ってるんじゃない?」

「確かに!思いっきりやるのは久しぶりなんだよね。加減できるかな…」

「え?そっち?」

「ふふふ、冗談だよ」


 こんな軽口を交わすのも久しぶりだ。

 他愛ない会話を楽しんでいるうちに、気づけば被害のあった酪農農家へ到着していた。代表でセシルとレオが話を聞きに行く。その間に、ルナと騎士隊の一部が周辺の偵察に動いた。私たちは少し離れたところでパトラッシュと共に待機だ。


 アーサーと並んで牧場を眺めていると、暫くして偵察隊と共にレオたちも戻ってきた。


「ハーピーたちは今朝攫っていった羊を食べ終わり、昼寝してるようだ。おおよその巣の場所もわかった。今のうちに移動し、様子を見てそのまま討伐に入ろう」


 森の入口まで、できるだけ静かに移動する。パトラッシュにも気配を消してもらい、慎重に巣に近づいた。


「個体数は事前情報の通り十二体。おおよそ500mの範囲に散らばって眠っている模様。ただし、全員が木の上にいるため、初回の攻撃から逃れた場合、そのまま飛翔して逃げられる可能性大です」


ルナが小声でそう告げる。


「じゃあ、ハルカはパトラッシュと上空に待機。逃げ出した個体の対応をお願い。遠距離攻撃可能なものは、合図と共に一斉に攻撃。各自味方の位置に気をつけて、落ちてきた個体を確実に仕留めよう」


 アーサーが作戦を告げる。

 セシルは小さく頷き、騎士たちへ指示を飛ばした。

 私もパトラッシュと共に所定の位置に移動する。

 

 アーサーは右手を掲げたまま、全員を見渡す。

 準備が整ったのを確認すると、その手を静かに振り下ろした。


 作戦開始だ。


 ザシュ。

 ヒュン。

 シュ。


 一斉に矢と遠距離魔法が樹上めがけて放たれる。その気配に気づき、ギリギリのところでハーピーが起き出し、一斉に飛び立った。


「チッ、気づかれたか。ハルカ!」

「任せて!」


 私はハーピーの翼を目掛け、ストーンパレットを放つ。

 三体のハーピーにヒットし、落下していくのが見えた。


 その隙に、パトラッシュも爪や風魔法を使って次々とハーピーを打ち落としていく。

 地面に落ちたハーピーに、レオたちがトドメを刺していった。


 残るは五体。

 ハーピーたちは空中で陣形を組み直し、こちらを睨みつける。


 次の瞬間——

 一体のハーピーから猛烈な風魔法が放たれた。ヒラリと躱した先に、もう一体の風魔法が迫る。

 私は咄嗟にファイアーボールを放つ。火球は一体の翼をかすめ、そのハーピーは「ギャ」と一声鳴くと、そのまま地上へ落ちていった。


 残り四体。


 すると、木の上から何かが飛び上がり、一体のハーピーを一閃のもとに斬り落とす。

 身体強化を剣先にまで纏ったレオだ。


 続いてアーサーが風魔法を纏った矢を放つ。見事な軌道を描き、別の個体を射落とした。


 残り二体。


 パトラッシュが吠えた。

 威圧の籠った咆哮。それだけで、目の前の二体は力を失い、あえなく地面に落ちていった。


 眼下で騎士たちがトドメを刺すのが見える。


「ふう。これで終わりかな」


 念の為、パトラッシュと共に周囲を確認し、皆の元へと降り立つ。


「お疲れ、ハルカ」

「みんなも、お疲れ様。上から見た感じではもう大丈夫そうだけど、こっちはどう?」

「ああ。ハーピー十二体確認した。今はセシルが騎士たちと巣の探索をしてる。卵があるとやっかいだからね」


「そっか。みんな、怪我は大丈夫?」

「俺は平気。それにしても、今回もいいところをほとんどハルカとパトラッシュに取られちゃったね」

「え?アーサーの矢の方が凄かったよ!あの距離を一発で仕留めるなんて、腕を上げたね、アーサー」

「騎士科の訓練の賜物かな」

「でも、あの飛距離、風魔法の運用だよね?」

「ああ。風魔法で矢速を上げると、威力と飛距離も格段に伸びるんだ」

「凄い!」


 そんな風に久しぶりにおしゃべりをしながら待っていると、やがて確認を終えたセシルたちが戻ってきた。


「卵もなかったし、巣も撤去してきた。これで任務は完了だ。王都に戻ろう」


 セシルの号令で私たちは森を出た。

 途中、来る時に立ち寄った農家で討伐完了の報告をすると、大変感謝され、お礼にと搾りたての牛乳を振る舞ってくれた。せっかくなので、私たちは牧場の片隅で休憩を取ることにする。

 ルナが気を利かせてお昼ご飯の準備をしてくれた。


 草原を渡る春風が気持ちいい。

 仲間たちの笑い声を聞きながら牛乳を飲んでいると、胸の奥がじんわりと温かくなった。

 ——やっぱり、こうしてみんなと一緒に活動するの、好きだなあ。


 学院生活も楽しい。

 でも、こうして皆と依頼に出る時間は、それとはまた違う特別なものだった。

ハルカたちの冒険者パーティ『紅蓮の翼』のリーダーはレオです。

ルナは斥候、アーサーは魔法剣士兼戦術担当、ハルカは魔導士として活躍しています。


ちなみに、セシルも時々オンタリオ家へ遊びに来ては、ハルカたちの依頼に同行していました。なので連携はバッチリです。


ハルカは幼い頃、防衛手段としてしか魔法を使っていませんでしたが、冒険者になってからは戦いの幅を広げるため、牽制や陽動に使えるストーンパレットやファイアーボールなどの遠距離魔法も習得しています。現在、ゴーレムも2体までなら作れます。(←スゴ─(〃''艸''〃))


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― 新着の感想 ―
パトラッシュ「ボクのお嬢様に 『ぎゅー』なんて…させないよ?」 ↑でも、モフられて 満更でもない。多分。
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