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メンタルつよつよ令嬢ハルカはガリガリ王子をふくふくに育てたい!  作者: ふくまる
第5章:ふくふくの実をつけましょう

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第83話:寮の朝

いつもご愛読いただきありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡

「さあ、できましたよ」


 ルナの声に目を開けると、見慣れない自分の姿が鏡に映っていた。


 濃紺を基調とした上着に白いブラウス。胸元には学院章の刺繍が入り、膝下丈のプリーツスカートが歩くたびにふわりと揺れる。細身のリボンも可愛らしく、凛とした中にも上品さがあった。


 もう一度鏡に映る自分を上から下までチェックする。

 うん。二割増しくらい真面目そうに見える、かな。


 やはり、「制服」というものはテンションが上がる。いよいよ学院生活が始まるんだと実感が湧いてきて、不思議と胸が高鳴った。


「大変よくお似合いです」


 最後に襟元を整えながら、ルナが満足そうに微笑む。


「ありがとう。なんだか、本当に学生になるんだなって感じがするよ」

「私のお嬢様ならどこへ行っても大丈夫です。気負わず、楽しんでいらしてください。こちらでお部屋を整えながら、お帰りをお待ちしております」


 ルナの笑顔に見送られながら、私は食堂へ向かい、朝食を済ませる。

 授業に間に合うように女子寮の玄関を出ると、壁に体を預けて佇んでいたレオが、片手を挙げて挨拶をした。


「よ、お嬢。おはよう」


 赤みがかった茶色の髪を短く切り揃え、しなやかな筋肉とすらりと伸びた手足を、黒を基調とした騎士科の制服が引き立てていた。


 以前は悪戯っぽくキラキラと輝いていたダークブラウンの瞳も、今ではどこか落ち着いた光を宿すようになっている。


 「おはよう、レオ」


 私は、挨拶を返してレオの側まで駆け寄った。


 「ごめん。待たせちゃったね」


 一緒に並んで歩き出す。

 

 ……こうして並ぶと、身長差をはっきりと感じちゃうなあ。

 いつの間に、ここまで差が広がったんだろう。

 て言うか、これだけ背が高いと、目立つよね。


 デビュタントで注目されていたのも頷ける。

 その証拠に、さっきから登校途中の女子生徒たちがちらちら視線を送ってきてるんだよね。


 ——って、私、なんか睨まれてる!?


 ……え? なんで?

 もしかして、レオの隣にいる私が邪魔ってこと!?


 慌てて少し立ち位置を変えた。


「……レオは、クラウゼン邸から通っても良かったんだよ?」


 思わず、そんな少し拗ねたような言葉が口をついてしまった。


 すると、そんな周囲の視線などまるで気にした様子もなく、レオは呆れたように眉を寄せた。


「何言ってんだよ。俺はお嬢の護衛を仰せつかってるんだから、お嬢と一緒に寮から通うに決まってるだろ」

「でも、せっかく王都に兄弟二人でいるんだし。ヒロとまた一緒に暮らしたくないの?」

「いや、俺たちもいい大人だし、そういうのはもういいかな……」


 レオは少しだけ照れくさそうに頭を掻いた。


「それに、まあ、なんだかんだ、お嬢と一緒の方が俺は気楽なんだよ」

「ふふっ、なにそれ」


 他愛のない会話を交わしながら、十分ほどの道を二人で並んで歩く。

 なんだか幼い頃を思い出し、懐かしい気持ちになった。


 街路樹の上に少しだけ残った雪が、朝陽に照らされてきらきらと輝いていた。

 吐く息は同じように白いけれど、寒さが厳しいオンタリオとは違い、気軽に歩いて移動できるくらいには暖かい。


 「そういえば、アーサーは王宮から馬車で通うことにしたんだよな」

 「うん。時間のある時に、王宮でレイノルド殿下のお手伝いをしたいって言ってたよ」

 「そっか。あいつも頑張ってるんだな」


 今までは、どこへ行くにも一緒だった。


 けれど、今は違う。

 私とレオは寮生。

 アーサーは王宮暮らし。


 「寂しい?」

 「ていうより、心配、かな」


 「でも、レオは授業で会えるでしょ?アーサーのこと、よろしくね」

 「ああ。フェリックス殿もいるし、みんなで何とかやってくよ」


 「いいなー、みんな一緒で。私も、友達たくさんできるといいな」

 「お嬢は文官科だろ?お転婆なお嬢についてこれる奴、見つかるかな」

 「何言ってるの?その気になれば私にだって——」

 「でもさ、お嬢、今までだって、何気に女友達いなくね?」


 「……あ!」


 図星だった。

 そういえば、私の周りって男の子ばっかりだ。


 「ル、ルナがいるよ!」

 「ルナ姉は侍女だろ」


 レオの指摘が鋭すぎる。

 私は軽く目眩を覚えた。


 「だって、今までは周りに女の子がいなかったから、仕方なかったんだよ」

 「……お嬢、俺、今日から毎晩、お嬢のために祈りを捧げることにするよ。『お嬢に女友達ができますように』って」


 レオの本気で心配そうな眼差しが、グサグサと私の心を抉ってくる。


 とは言え、ここで認めてしまうのもなんか負けたみたいで嫌だ。

 それに、私には秘密兵器がある!大丈夫、まだ負けてない。


 「心配いらないよ!ソフィア様にご挨拶した時、『今度お茶会にお誘いするわね』って言ってくださったし!」

 「そうなんだ、良かったな、お嬢」


 あっさり引き下がるレオに、なんだか大人の余裕を感じてしまう。


 ……なんだろう。

 勝ったはずなのに、すごく負けた気がしてきた。


 「見てて、レオ。私、絶対文官科で女友達たくさん作るから」

 「はいはい。期待してるよ」


 うぅ……なんかあしらわれてる気がする。


 でも、学院生活はこれからだ。 

 新しい出会いだって、たくさんあるはず。


 私は熱い決意を胸に、学院の門をくぐったのだった。

ハルカ、そういえば女友達がいなかった Σ(;゜Д゜)

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― 新着の感想 ―
ハルカちゃんなら、すぐ友達が出来るとは思いますが…ヤキモチ妬かれてるらしいので、ちょっと心配… まぁ、でも中身は ほんのり『お母ちゃん』ですし…子供の相手は慣れたモノでしょう。たぶん。 学生生活を 楽…
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