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メンタルつよつよ令嬢ハルカはガリガリ王子をふくふくに育てたい!  作者: ふくまる
第4章:ふくふくの花を咲かせましょう 

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第69話:帰ってきた

 王都での面会を終え、レイノルド殿下に挨拶をした後、私たちはセシルと別れ、オンタリオへと戻った。


 集めた情報を急いで報告するため、お父様たちのいる執務室へと向かう。


 クラウゼン兄妹の反応。

 ソルティス侯爵との繋がり。

 オスカーの協力。


 収穫はあった。

 けれど、肝心のヒロの居場所は、まだ掴めていない。


 焦りだけが募っていく。


「ヒロ、大丈夫かな」


 廊下を歩きながら、アーサーがぽつりと呟く。


「ヒロならきっと大丈夫。強くて賢い人だもの。きっと、できることを探して、今も必死に足掻いてるはずだよ!」


 そう返したものの、無意識に握り締めていた拳には力が入っていた。


 早く見つけたい。


 無事でいてほしい。


 その思いばかりが胸の中で膨らんでいった。



◇◇◇



 執務室へ辿り着き、ルナが扉をノックした。


「失礼します」


 返事を待って、部屋の中に入ると——。


「——え?」


 私は思わず立ち止まった。


執務室の中央。

 お父様とお母様、そしてお祖父様に囲まれるようにして、一人の少年が立っていた。


 赤みがかった茶色の髪。

 健康的に日に焼けた肌。

 深い茶色の瞳。


 見覚えのある顔立ち。


 けれど、以前よりも背が伸びている。

 肩幅も広がり、身体つきもぐっと引き締まっていた。


 少年らしい危うさは薄れ、その佇まいにはどこか落ち着きがある。

 少し大人びたその姿は、ほんの少しだけヒロを思わせた。


「……レオ?」


 信じられない気持ちで名前を呼ぶ。


 すると、少年がこちらを振り返った。


 一瞬だけ目を見開き、私の姿を認めると、ふっと懐かしそうに口元を緩めた。


「お嬢」


「えっ、レオ!? 本当に!?」


 気づけば、私は駆け出していた。


「おかえり、レオ!いつ帰ってきたの!?」


 勢いのまま抱きつく。


 するとレオは少し驚いたように目を丸くしたあと、優しく私を抱き止めてくれた。


「……ただいま、お嬢」


 ぽん、ぽん、と背中を叩かれる。


 以前より大きな手だった。


「大きくなったね、レオ……!」


 泣きそうになりながら顔を上げる。


「無事で良かった……!」


「お嬢こそ、元気そうで安心した」


 以前よりずっと低くなった声に、妙に落ち着かない気持ちになる。


 ほんの数年会わなかっただけなのに、こんなにも変わるなんて。

 ——でも、笑った時の空気は昔のままだった。


「おかえり、レオ!」


 今度はアーサーが嬉しそうに駆け寄る。


「久しぶり!」


「アーサーも変わってねぇな」


「レオは変わりすぎ! 背伸びすぎだよ!」


 二人は顔を見合わせて笑った。


 そこに、お父様の「コホン」という咳払いが割って入る。


「久々の再会を邪魔するつもりはないが、今は状況が状況だからな。先に報告を頼む」


「そうだった!」


 私たちは慌ててレオから離れ、勧められた席に腰を下ろした。

 でも、レオへの関心が消えるわけではない。

 私は小声でそっとレオに話しかけた。


「レオ、修行は終わったの? まだ三年経ってないよね?」


「ああ。基本的な修行は終わった」


 レオは軽く肩を竦める。


「今は冒険者として実践経験を積んでるところ」


「え?」


 アーサーが驚いた声を上げた。


「じゃあ、もう冒険者登録してるの?」


「ん? ああ。今年の冬、十歳になってすぐ試験を受けた」


「そうなんだ!?」


「レオは凄いぞ」


 お祖父様がどこか誇らしげに口を開く。


「登録から半年も経たないうちに、B級へ昇格したんじゃ」


「B級!?」


 思わず大きな声を出してしまった。


 普通、B級冒険者なんてベテランの領域だ。

 それを、まだ十歳のレオが——。


「春にB級へ上がったのを機に、所属をこの街へ移したらしくてな」


 お父様が続ける。


「現在は魔の森を中心に活動しているそうだ」


「じゃあ、今回の依頼で……?」


「ああ」


 レオが頷く。


「冒険者ギルド経由で現地調査の依頼を受けて魔の森へ向かった。そこで大旦那様から事情を聞いたんだ」


「現地捜索するにあたって、レオはすごく役立ってくれてな。幼いながらも、騎士や冒険者たちの信頼を集め、情報をまとめてくれていたんじゃ」


 お祖父様がそう付け加え、ここにレオが来るまでの経緯を軽く話してくれた。

 レオがこの場にいる理由がわかり、私は納得の息を吐いた。


「それにしても、戻ってきてるなら先に顔を出してくれても良かったのに」


 少し恨みがましく言うと、レオはふいっと視線を逸らした。


「……一応、まだ修行中だからな」


「?」


「せめてA級になってから、お嬢に会いに来たかったんだ」


「え?」


 一瞬、言葉の意味がわからなかった。


 けれど、どこか照れたように視線を逸らすレオを見て、胸が妙にざわつく。


 なんだろう。


「……?」


 戸惑う私の横で、アーサーがなぜか複雑そうな顔をしていた。


「聞きたいことが山ほどあるのはわかるが、そろそろいいか?」


 お父様が呆れたように口を開く。


「とっとと情報のすり合わせを始めるぞ」


 その一言で、空気が引き締まった。


 お父様が机の上へ書類を広げる。


「まず、先ほど父上とレオが持ち帰ってくれた情報からだが——」


 そう言って共有されたのは、現在の捜索範囲と結果だった。結局のところ、前回発見された痕跡以上のものは、現場周辺では見つからなかったらしい。


 続いて報告を始めたお母様も、街道周辺では不審な動きをする集団は見当たらないとのことだった。


「ハルカ、王都側で得た情報も共有してくれ」


「はい」


 私は春以降のヒロの様子や、届いた手紙のこと、そしてクラウゼン家とソルティス侯爵家の繋がりなど、オスカーたちから聞き出した内容を順番に説明し始めた。

レオが帰ってきました。

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― 新着の感想 ―
レオ君 おかえりなさい。 …帰って来た矢先に 心配事がありますが… ヒロさんが 無事でありますように…
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