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追放された大聖女。王子よ、なぜあなたはあと一年待てなかったのか! そして義妹よ、あなたは大聖女の仕事を何もわかっていない!  作者: 星野 満


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番外編 エドワルドの初恋と二人のひととき

※ エドワルドが蒼の騎士団に入った時、初めてダイアナを見た時と、晴れて夫婦になった数年後のお話です。

※2026/5/3 修正済


 ◇ ◇ ◇ ◇




 更に(さかのぼ)れば、エドこと、エドワルドはダイアナに出会う前は王宮生活にウンザリしていた。


 田舎の野山を駆け巡っていた野生児のエドワルドは、蒼の正騎士団に入隊した夢を叶えたのはいいが直ぐに嫌になった。


 王宮勤務は規則、規則と全てが規則だらけだったからだ。

 貴族マナーに慣れない田舎者のエドワルドは毎日、先輩や団長から怒られてばかり。


『あーっ、やってらんねえ!』

 とエドワルドはとうとう宮廷が窮屈でたまらず、騎士団を辞めようとさえ考えていた。



 そんなある日の事──。

 王族の祈祷式(きとうしき)が行われた日、神殿警護で大聖女ダイアナの祈祷姿を初めて見たエドワルドは、一瞬にしてダイアナに心を奪われた。


『はあ~! 何て清らかな王女なんだろう。あんな別嬪な姫様がこの世にいるとは!』と。


 後で先輩騎士に教えてもらったらダイアナは王女ではなく、大神殿を司る大聖女と知った。


『おお、大聖女様なのか! どおりでゴテゴテと化粧っ気のないスッキリした容姿だ、俺の好みだや~!』

 とエドは、ますますダイアナに傾倒していった。


 そこからエドワルドは一切騎士をやめたいと思わなくなった。

 ダイアナを好きになって以来、あれほど窮屈だった王宮勤務が楽しみでしかたなかった。


 ◇ ◇


 時おり、偶然にもエドワルドは偶然、ダイアナと王宮殿ですれ違うだけで一日がバラ色となった。


 この辺りは異母弟のアレックスもダイアナを見惚れていて、執着心と相似している。だがエドワルドの愛はアレックスとは違い、どこまでもダイアナ一筋であった。


 何故なら彼は生まれて初めて、母親以外の女性に魅かれる喜びを知ったのだ。


 そしてダイアナが大聖女の地位をアレックスからむりやり剥奪され、王都追放となった事を知るや否や、エドワルドは烈火のごとく怒りが爆発した。


 ──クソ王子のトンチキ馬鹿野郎!


 よくも俺の大聖女さまをを追放しやがったな!


 と、もしこの時エドワルドが王宮に(とど)まっていたら、怒りにかまけて、アレックス王太子の命を殺めていたかも知れない。


 エドワルドも己の物騒な気持ちを悟ったのか、ダイアナが追放されてすぐに蒼騎士団の団長にいった。


『団長、俺めちゃくちゃ具合が悪いんで、田舎へ帰ります!』

『は?』


 こうしてエドワルドは不貞腐れた表情で、蒼騎士団長が呆気に取られる間に、休暇届を無理やり叩きつけたのだった。


 そして彼は密かにダイアナの後を追った。


 実は青騎士団の団長は、シーラン伯爵からエドワルドの出目を知らされていたので、これは一大事だとシーラン伯爵にその経緯を慌てて伝えにいった。


 シーラン伯爵も卒倒して、エドワルドが行方不明になったと聞き、配下の者にエドワルドの行方を追うように指示した。



 ◇


 而してエドは森の中で大神官の暗殺者からダイアナを(まも)った。


 それ以来、エドワルドは、ダイアナに四六時中つきまとい始める。

た。


 エドワルドにしてみれば、憧れていた大聖女様を助けたはいいが、赤面して上手く自分を表現できない。だが、なんとかして彼女と一緒に過ごしたいと思ったのだ。


 また、彼の野生本能が、この大聖女を一生お守りしたい!と決意もしていた。


 こうしてエドワルドはダイアナと孤児院で一緒に過ごしていく内に、ダイアナの別の姿、お茶目な少女の面も知った。


  はじめはダイアナの外見の美しさから惹かれたエドワルドだったが、彼女の孤児院での子供たちへの振る舞いや、心根の優しさや清白さ、そして何よりも大聖女としての使命を果たす強靱さに、尊敬せずにはいられなかった。


 而してエドワルド自身も知らず知らずに、己の脈打つ国王の血がざわついたのか、ダイアナのように聖騎士としての自覚が芽生えていく。


 エドワルドは月の女神の如く、神聖なダイアナにどんどん感化されていった。



 ◇ ◇


 一方、ダイアナもエドワルドと森で出逢って以来、若い男と久しぶりに接した新鮮さ。

 また、彼の奇想天外な性格に振り回されながらも、憎めない愛嬌さと、いざという時に支えてくれる男らしい気骨さや逞しさに惹かれていった。


 結婚後も、相変わらず年下のダイアナに尻を叩かれているエドワルドだったが、それでも日に日に王族の教養とマナーも見違えるように上達していく姿に、皇太子妃のダイアナは優しく眼を細めていた。



 ◇ ◇



 時は流れ、数年後二人の間には双子の王子と一人の王女が生まれた。


 三人とも年子だったので、王宮殿の居間はいつも子供たちの可愛い泣き声と笑い声で一杯だった。ダイアナは乳母任せにしないで、なるべく王子や王女たちとの時間を費やした。

 

 この頃になると、エドワルドは蒼の騎士団の副団長に昇格していた。


 国王は白髪が増えてだいぶ老いてきたが、いたって元気に公務に励んでいた。


 まだまだ当分、エドワルドは王太子として蒼の騎士団の中で自由に謳歌できる立場に喜んだ。

 そんな懸命な国王に感謝の念を示した。



「ふふ、エドも随分、王太子らしくなったわね」


 ある陽だまりのティータイムの時間──。

 ダイアナとエドワルドは王宮の中庭でお茶を楽しんでいた。


「お、ダイアナ。俺だってもう立派な王太子だろう?」

「そうね、あなたもけっこうがんばったわね」


「そうだろう、そうだろう。お、チビたちはお昼寝タイムか?」

「そうよ、まだ幼いですもの。よ〜く眠らないとね」


「そうだな、すくすく育って欲しい。それに来年はもう一人チビができるしな」

 とエドワルドは身重のダイアナのお腹を優しく触りだした。


 ダイアナ皇太子妃は来年の春、四人目の御子が誕生する予定だ。


「次は王子か王女か、あなたはどちらだと思う?」

「そうだな、元気で無事に生まれてくればどちらでも俺はいいよ」


「私は女の子がもう一人欲しいかな」

「ああ、ダイアナに似た可愛い女の子が生まれるだろうよ」

 エドワルドはダイアナによりそって、軽く頬にキスをした。


 

 黄色や朱色が美しい陽だまりの紅葉の季節──。

 王太子夫妻のいる中庭の落ち葉がカサカサと音をたてて舞いだした。

 

 いつしか二人のシルエットが、真っ白なテラスで重なり合う。


 

「ああ、本当に家庭っていいものね……」


 とダイアナは、エドワルドの肩にもたれながら、しみじみと笑顔で呟いた。




 ──完──







※今回改稿で最終話と番外編に分けましたが、最後までお読みくださり大変ありがとうございました。

※今回思った以上に拙作を読んでくださる人が沢山いて感謝致します。

その中でポイント、ブクマと評価してくれた方々も誠にありがとうございました。


※最近、ざまあ作品を投稿してませんが、また私なりのざまあ作品を書くつもりです。恋愛を中心にざまあを組み入れるのは中々難しいですが、今後も挑戦してみたいと思います。

その時はまた、よろしければ一読くださいませ。

本当にありがとうございました。

(2026/2/17)(ꈍᴗꈍ)


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― 新着の感想 ―
エドもはじめは荒れていたんですね〜ww でもダイアナに出会えて、そしてあの時孤児院で共に過ごした日々がとても大事だったんですね(*^^*) 双子の男の子と女の子にも恵まれて、幸せな家庭ですね〜♪しか…
エド視点でどう見えていたのか補強されて良かったです。 (・∀・) 二人が末永く幸せでありますように。 (*´ω`*)
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