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追放された大聖女。王子よ、なぜあなたはあと一年待てなかったのか! そして義妹よ、あなたは大聖女の仕事を何もわかっていない!  作者: 星野 満


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番外編 エドワルドの初恋と二人のひととき

※ エドワルドが蒼の騎士団に入った時、初めてダイアナを見た時のお話と、晴れて夫婦になった数年後のお話です。

※2026/3/14 修正済

※2026/2/17 エピソードタイトル変更

◇ ◇ ◇ ◇



 

 更に(さかのぼ)れば、エドワルドはダイアナに出会う前は王宮生活にウンザリしていた。


 

 田舎の野山を駆け巡っていた野生児のエドワルドは、蒼の正騎士団に入隊した夢を叶えたのはいいが直ぐに嫌になった。


 王宮勤務は規則、規則と全てが規則だらけだったからだ。


 貴族マナーに慣れない田舎者のエドワルドは毎日、先輩や団長から怒られてばかり。


『あーっ、やってらんねえ!』


とエドワルドはとうとう宮廷が窮屈でたまらず、騎士団を辞めようとさえ考えていた。


 

 そんなある日の事。


 王族の祈祷式(きとうしき)が行われた日、神殿警護で大聖女ダイアナの祈祷姿を初めて見たエドワルドは、一瞬にしてダイアナに心を奪われた。



『はあ~! 何て清らかな王女なんだろう。あんな別嬪な姫様がこの世にいるとは!』と。


 後で先輩騎士に教えてもらったらダイアナは王女ではなく、大神殿を司る大聖女と知った。


『はあ大聖女様なのか! どおりでゴテゴテと化粧っ気のないスッキリした容姿だ、俺の好みだや~!』


 とエドは、ますますダイアナに傾倒していった。


 

 そこからエドは一切騎士をやめたいといわなくなった。

 あれほど窮屈だった王宮勤務が大好きになっていく。


 

 時々、大聖女ダイアナを偶然王宮ですれ違うだけで、エドワルドは一日がバラ色となった。

 

 この辺りは異母弟のアレックスもダイアナを見惚れていた執着心と相似している。

 

 だがエドワルドの愛はアレックスとは違い、どこまでもダイアナ一筋であった。

 

 彼は生まれて初めて母親以外の女性を愛する喜びを知ったのだ。


 そしてダイアナが大聖女の地位を、事も有ろうにアレックスからむりやり剥奪され、王都追放となった事を知るや否や怒りが爆発した。



『団長、俺めちゃくちゃ具合が悪いんで田舎へ帰って休みます!』


とエドワルドは蒼騎士団長に、休暇届を無理やり叩きつけて、密かにダイアナの後を追ったのだった。


 

 エドは森の中でダイアナを大神官の暗殺者から助けて以来、孤児院で一緒に過ごしていく内に、ますますダイアナに浸透していった。

 

 

 ダイアナの外見の美しさも去ることながら、心根の優しさや清白さ、そして何よりも大聖女としての使命を果たす強靱さ。

  

 エドワルド自身も知らず知らずに、そんな月の女神のようなダイアナに感化されていったのだろう。

  

 そしてダイアナもエドワルドと、森で出逢って以来、彼の奇想天外な性格に振り回されながらも、憎めない愛嬌といざという時に、支えてくれる男らしい気骨さや逞しさに惹かれていった。



 結婚後も、相変わらず年下のダイアナに尻を叩かれているエドワルドであったが、それでも日に日に王族の教養とマナーも見違えるように上達していく姿に、皇太子妃のダイアナは優しく眼を細めていた。



◇ ◇



 数年後、二人の間には双子の王子と一人の王女が生まれた。


 三人とも年子だったので、王宮殿の居間はいつも子供たちの可愛い泣き声と笑い声で一杯だった。


 ダイアナは乳母任せにしないで、なるべく王子や王女たちとの時間を費やした。


 この頃になると、エドワルドは蒼の騎士団の副団長に昇格していた。


 国王は白髪が増えてだいぶ老いてきたが、いたって元気に公務に励んでいた。


 まだ当分はエドワルド王太子は、蒼の騎士団として自由に謳歌できる立場に、老いたる国王に感謝の念を示した。


 

「ふふ、エドも随分、王太子らしくなったわね」

 

 ある陽だまりのティータイムの時間、ダイアナとエドワルドは二人っきりでお茶を飲んでいた。



「ダイアナ、俺だってもう立派な王太子だろう?」

「そうね、あなたもけっこうがんばったわね」


「そうだろう。お、チビたちはお昼寝タイムか?」

「そうよ、まだ幼いですもの。よ〜く眠らないとね」


「そうだな、すくすく育って欲しい。それに来年はもう一人チビができるしな」


 とエドワルドは身重のダイアナのお腹を優しく触り始めた。


 ダイアナ皇太子妃は来年の春、四人目の御子が誕生する予定だ。


「次は王子か王女か、あなたはどちらだと思う?」

「そうだな、元気で無事に生まれてくればどちらでも俺はいいよ」


「私は女の子がもう一人欲しいかな」

「ああ、ダイアナに似た可愛い女の子が生まれるだろうよ」

 

 エドワルドはダイアナによりそって、軽く頬にキスをした。


 陽だまりの紅葉の季節。

 落ち葉のカサカサ舞う音が、秋の気配を醸し出してくれる。


 王宮の中庭に映る二人の顔が、重なり合うシルエット。


 銀杏の木立が見えるテラスでお茶を飲む、若き王太子エドワルドと王太子妃ダイアナ。



「ああ、本当に家庭ってとってもいいものね……」


 とダイアナは、エドワルドの肩にもたれながら、しみじみと笑顔で呟いた。




 ──完──







※今回改稿で最終話と番外編に分けましたが、最後までお読みくださり大変ありがとうございました。

※今回思った以上に拙作を読んでくださる人が沢山いて感謝致します。

その中でポイント、ブクマと評価してくれた方々も誠にありがとうございました。


※最近、ざまあ作品を投稿してませんが、また私なりのざまあ作品を書くつもりです。恋愛を中心にざまあを組み入れるのは中々難しいですが、今後も挑戦してみたいと思います。

その時はまた、よろしければ一読くださいませ。

本当にありがとうございました。

(2026/2/17)(ꈍᴗꈍ)


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― 新着の感想 ―
エド視点でどう見えていたのか補強されて良かったです。 (・∀・) 二人が末永く幸せでありますように。 (*´ω`*)
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