67話 魔王剣談義
「さて、第三回戦だが……18人って言ってたよな? だからえーっと……4回?」
という事はもうこれが準決勝って事か?
ああ、第二回戦は代わり映えしない試合だった。
魔王剣で終わっちまったからな。
正直この後も試合ももうこれだけでいいんじゃないかなってレベルだが、本当にそうだったら、楽だけどなんだかなあと思う。
「こちら係員です。いえ、5試合で優勝です。4チームだけ5戦、残りの14チームは4戦になりますね」
「こりゃどうも……トーナメント表とかはないんですか?」
「確か事前に配布したはずですが……」
ないんですけどねえ。
「では画面に出しておきます」
「画面? ……ああ、壁に映るのね。凄いな魔法って」
なんでもない壁だったと思うがまるでテレビの様にトーナメント表が映る。
えっと俺の位置は……ど真ん中か。いちにさんしご……確かに5試合か。
「しかし、チーム名が気になりすぎる」
『ははは、いいじゃないか。面白くて大変結構』
「……リズか」
『ああ、俺様だぜ。なんだ、不満なのかよ色男』
「誰が色男だ。最近、トゥールーの声も聞かない気がしてな」
『トゥの字の方が好みかよ、でもあいつ胸はないし板だし貧乳だぜ?』
「お前なあ……」
『軽いジョークさ。挨拶代わりのな、いい機会だ、少しその辺のことを話しておこうか。次の試合までまだ時間はあるしな』
見れば、試合予定時間は20分と書いてある。
確かに話す余裕はありそうだが。
『まず前提として俺様とトゥの字は同時に表に出ることは出来ねえ。だから俺様が出ている間は出れない、だから話しかけれねえ』
「ふむ、なるほど」
『んで、ついでに今はトゥの字が大忙し何でな、引っ越しもかくやって程に』
「忙しい? 何かやることでもあるのか? そういえば、前力の整理のような事を言っていた気がするが」
『ああ、ただでさえ白の王の力をなんとか馴染ませようとしている所に黒の王の力を付け加えたからな、例えるならそうだな、必死に部屋の掃除をしてると油をぶち撒けられたみたいなもんだな』
「キレるだろそれ」
『ああ、発狂てたぞ。大変面白かった、目の光が消えていてな』
やはり悪なのでは?
『さて、そんなつまんねー話よりも面白い話をしてやる』
「へぇ、トゥールーの発狂よりも面白い話か?」
『宿主もいい性格してるぜ。まず、宿主が使う魔王剣について教えておいてやろう。ある程度頭には入ってるだろ?』
「なんとなくって感じだがな」
そう言いながら肩をすくめる。
あの起き上がった後、俺はなんとなく魔王剣、という物を使えると思っていた。
理由はわからないし、なぜわかるかといわれればなんとなくとしかいえないふわふわしたものだが。
『なら魔王剣の種類や特性はわかるか?』
確かめるようにそういったリズに対して俺はわかっている事を伝える。
まずは、魔王剣・空亡。
空に向かって黒い刃を放つ技だが、この黒い刃には吸引作用があるらしい。
周りの霧や雲を晴らしたのは切り払ったからではなく、吸い込んで消し飛ばしたからだ。
『そうだ、吸引。それが特性だ、その特性上気候とかを操る相手に強いぞ。雷雨を降らせるやつとか』
そんな驚天動地な相手は戦いたくない。
二つ目は魔王剣・黒壊月
地面に突き立てる事は幽世の門と似た感じだが、そこから亀裂が入り、その亀裂から黒いオーラの様な物が噴出する。
このオーラには触れたものを脆くする特性があるらしく、地面を軽々と砕いていく。
『破砕。それが特性だ。地面に撃つと周囲を巻き込むが硬い相手にも効果的だ。結界を張って穴熊決め込むやつに打ち込むと恐ろしく気分がいいぞ』
実際やったんだろうなと実感できるほどうっとりした声だな。
さて三つ目は魔王剣・深淵舞。
剣を円舞の様に回す事で黒い刃が円となり、そのまま広がる技だ。
一見すると地味だが、凶悪なのはその特性だ。
『衰弱。触れた相手の魔力や体力、あらゆる物をどんどん衰弱させる呪いがついているからな、跳んで避ける相手に空亡を撃つと十字架のようになって格好いいぞ。黒十字と呼んでいた』
ひょっとして中二病なのだろうか。
さて、此処までは今まで使った技だ。
最後は
『魔王剣・逢魔……言っておくがうかつに使うなよ? 流石の俺様も使い所を選んだ技だ』
傍若がすぎるこのリズですらも安易には使わない技。
だが、どんな技か知っている俺はその気持がわかる。
可能であれば使わないのが望ましい。
『……さて、魔王剣を使っていて、わかったか?』
その試すような言葉にふんと鼻を鳴らす。
それぐらいわかってるさ。
「魔王剣には俺の魔法切断が乗らない、だろ」
そう、あらゆる形のないもの、魔法すらも切る俺の剣で、今まで使う魔法にはそれが乗っていたが、魔王剣には乗らないのだ。
『無象切断だぞ』
「こまけえな……」
『お前のそれはある種の魔法特攻だ。勿論無条件で斬れるわけではないが、斬れるという特性が後押しして並の魔法であれば斬り飛ばす。まあ斬撃の形をしていないと効果は半減するが』
光羽とかはそれが強く乗る。
だが、アグリシアや幽世の門はその効果が薄いのはわかっていた。
『だから対魔法技としてはあまり良くない、折角だ、使い分けていけよ』
「言われなくてもわかってるさ……ところで、肝心の話を聞いていないが」
そういうとクスリと笑う。
『王について知りたいなら、まずは閨に来ることだな』
「? ねやってなんだ」
『ほう、知らんか。ほうほう!』
すっげえ楽しげな声がうざいな。
スマホとかあればすぐに調べるのに、こういう時不便だ。ネット環境をくれ。
『いずれわかるさ。さて、そろそろ良い時間だろう』
その声で、残り時間を見れば3分を切っていた。
『言っておくが、魔王剣で楽に勝てる、なんて思っていないだろうな?』
「わかってるさ、魔王剣を使うデメリットぐらいはな」
『ならいいさ、勝って価値を上げてあのボクっ子をこましてこい』
こますって、今どき聞かない古風な言い方を……
『俺様は寝る。女体の裸じゃないと起きんからそのつもりでな』
おっさんかテメーはと思ったときには既に回答はなかった。
はあ。仕方ない。
行くか。勝ちにな。
そうして三回戦目。
俺はここで初めて。
強者に出会う事になる。
名をヴァンダルヴァ。
二回戦目で
───あのヒーロー。ガーネットを倒した男。
【TIPS】
もうすぐ




