表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/75

46話 ギルドマスター

「さて……一応指定場所についたわけだが」

 

 ギルドから指定された森についた。

 後はアイアンウルフを倒すだけなんだが。

 

「どうするかね」

 

 迷っているのは、アルトリウスを使うかどうかだ。

 ハッキリ言って使えば余裕で終わる。

 剣振るだけで終了の楽な仕事ではある。

 

「でもそれで終わっていいのかねえ」

 

(楽なら良いのでは?)

 

(お前複数人の時はしゃべらないのにこういうときだけ話すんだな)

 

(……人見知りなもので)

 

(お前な……まあいいや。それじゃ訓練にならんだろうが。一応大会を目指してるんだ、自力も向上しないとだめだろ)

 

(一理。ですがあんまり意味はないかと、以前も言ったとおり共鳴率を上げたほうが強くなりますので、自力は必要ですが、直近であるならば尚更使用した方が良いかと)

 

 んーまあそれもそうなんだけどなあ。

 力におんぶにだっこな感じもするんだが……。

 

(それはもう少し先で良いと思うのですよ)

 

 先、ねえ。

 ま、大会を考えるならそれでいいか。

 

「んじゃアルトリウス起動」

 

 いつもの白い光が現れる。

 と、そこで気づいた。

 

「そういえばいつの間にかこれだけで済ませて詠唱してないが、詠唱した方が強くなるとかあるのか?」

 

(多少は、と言ったところでしょうか。ただ正直誤差かと)

 

 まあ、恥ずかしい詠唱をしなくて済むのは助かるが結局一度だけだったなあの中二詠唱。

 ……誤差レベルでも違うなら、使うときもあるかね。

 

「んじゃ、さっさと終わらせて次行くか」

 

 

 その後?

 特にないよ。ウルフ見つけて光羽で終わり。

 まったくもって楽な仕事であった。

 

 

 

 

「あれ、どうしたんや戻ってきて。やっぱり1人は厳しかったんか?」

 

 ギルドに戻るとアリスがそう声をかけてくる。

 確かに、途中の騒動と飯を含めても一時間ちょっとくらいだから戻ってきたと思われてもおかしくはないか。

 

「いや、依頼が終わったから報告をしに来た」

 

「あはははは! 冗談上手いなあ、流石のユウでもこんな短時間で終わるわけないやろ」

 

 完全に冗談と思われたのか笑顔でそんな事を言う。

 

「いや、本当の話なんだなこれが。はい」

 

 そう言って魔石を渡す。

 討伐依頼の際は渡された魔石を持っていく事になっている。

 魔石を持った状態で指定された魔獣とかを倒すと倒した時に散る魔力を吸収するらしく、その溜まり具合で何匹討伐したかもわかるとのことだ。

 ちなみにその吸収した魔力の質で指定されたやつ以外を倒してもわかるらしい。

 

 不正防止にもなっているし、数多く倒したり特異な魔獣だったらその分ボーナスも入るという仕組みだ。

 この魔石が色々なエネルギーになっているらしい。加工すると火石にもなるとか。

 魔石自体は高いものではないので売っても二束三文な所はしっかりしている。

 

「え? ホンマなん? ……ちょっと鑑定してくるわ」

 

 奥に消えるアリス。

 ギルドでその魔石に込められた魔力を測定する機器があるらしいが、機械とは違うのかね?

 まあ機械があったら、マキナの事もヒトカタなんて呼ばれないと思うんだがな。

 

 少しばかり待つと、奥からアリスが出てくる。

 

「本当だったろ?」

 

「マジやったわ……凄いなユウ! 流石ウチの専属冒険者やで! くくく、これでアネさんにもでかい顔させへんでぇ!」

 

 悪い笑みを浮かべている。

 

「じゃあ次頼むわ」

 

「え? もう次行くん? 疲れとか傷とか……なさそうやな」

 

 バリバリ元気だぞ。剣五回振っただけだしな。

 

「ホンマ規格外やな、うーむ。それならどうしようなあ」

 

 書類をめくりながら考え始めるアリス。

 しかし中々良いのが見つからないのかページをめくる速度は増えていくが顔は険しくなっていった。

 

「あかん、中々良いのが見つからへん」

 

「無いのか? まあ急いでいるわけじゃないから良いんだが、よほど危険なものじゃない限り大丈夫だぞ」

 

「ランクがなあ。依頼にも難易度があって、受けれるランクが違うんやけど最大でも一つ上のランク分のものしか受けれへんのよ。ランク9で一番難しいのがさっきのやったんやけど……まさかソロでこんな早く終わると思ってなかったからなあ。準備してへんかったわ、すまん」

 

 申し訳なさそうに謝るが全然気にしなくてもいいんだがな。

 その旨を伝えると嬉しそうに笑うアリス。

 と、そこで思いついたようにぽんと手をたたく。

 

「せや、ユウ、ランク昇格試験受けてみいへん?」

 

「ランク昇格試験? でもそれって実績がないとだめなんじゃなかったか?」

 

「まあなあ。でもアイアンウルフをソロで倒せるなら十分って事でギルドマスターに説明してくるわ! やるならウチの舌回しを見せるで!」

 

 べろべろーっと舌を出してアピールするアリス。

 その光景に少し笑いながら。

 

「頼むわ、アリス。俺ももう少し強いやつがいいからな」

 

 流石にワンパンではなあ。

 強くなるにはもう少し強い相手がほしい所だ。

 ……最悪シルヴにまたお願いするしか無いが。

 

「よっしゃ待っててな! ギルドマスター! マスター! おーい!!」

 

 大声を上げながら裏に行くアリス。

 

「うっせえなあ! なんだどうした、またクレームか? それとも喧嘩か? もしくはお前の担当をまた外したいって言ったのか?」

 

「ちゃうわ!! いつもそうとは限らんやろ!!」

 

 ふたりとも声が大きいのか裏からなのに声が聞こえてくる。

 ギルドマスターというのは、まあギルドの責任者だろう。

 どっしりと構えたような低い声の男だが、姿は見えない。

 

「お前が呼ぶ時は大体それだろうが。んで、なんだ?」

 

「あのなあ! ウチのユウに昇格試験受けさせてほしいんや!」

 

「お前のユウって誰だよ。コレか?」

 

「ちゃちゃちゃちゃ、ちゃうわい!! その、専属冒険者って意味や!」

 

「おーおーいっちょ前に照れてやがる。ああ、わかったわかったから拳を握んなよ。んで、直接来たって事はわけありなのか?」

 

「実績は足りてないんやけど、実力は十分なんや! ソロでアイアンウルフ倒せるぐらいなんやで。だからランク上げさせてやってーな」

 

 おい、情報ダダ漏れなんだがそれでいいのかギルド。

 

「ほお、ソロでねえ。……そいつのランクはいくつなんだ?」

 

「10や」

 

 ガンっと、こちらにも響く様な音が鳴った。

 

「あああああああああ痛ったいいいいいいいいい!!! なにすんの! なにすんの!! ウチの可愛い頭を殴って暴力や! DVや! ハラスメントや!!」

 

「馬鹿野郎! ランク10のやつにソロで生かせるんじゃねえ!!! 殺すつもりか!!」

 

 あのアイアンウルフとやらそんな強い扱いなのか?

 

「うぐぐぐ、でもユウなら行けると思ったんやもん!」

 

「いーやだめだ。いいか、ギルドの受付って言うのは命を預かっているのと同じだ、だからこそ無理な依頼を受けさせないのが……」

 

 説教が始まってしまった。

 これは長引くやつではないのか?

 

「ちょ、ちょっと待ってーや! お説教は後で聞くけど今はユウを待たしとるんや。出来るか出来んかだけでも答えほしいねん!」

 

「何ぃ、生意気な事を言いやがる。しかし、安易に特例は作れねえが……その話が本当なら実績的には十分とは言えるか。今居るんだな? よし、会ってから考えてやろう」

 

「おお! 頼むでギルドマスター! いよ、男前や! ほんまかっこいいわ!」

 

「調子のいいやつだ。おら、案内しろ」

 

 その時、裏からアリスが出てくる。

 後ろに付いてきたのは熊みたいな男だ。

 顔にヒゲがめっちゃ生えている。うーん、なんかドワーフみたいだ。

 

「ユウ! これがウチのギルドのギルドマスターや! 一番偉いんやで!」

 

「一番偉い人をこれって言うんじゃねえよ! ったく、あー俺様がこのギルドを預かるギルドマスターのバロウだ。お前がユウってやつか」

 

 眼光鋭くこちらをみる。

 迫力満点だ、身体が大きいのもあるが、歴戦の勇士という感じの印象を受ける大男。

 なるほど、ギルドを統べるギルドマスターの看板に偽りはない、と納得できる。

 

 それを確信したのはこの後の台詞だ。

 

「ほお、こいつは……なるほどな、こいつならアイアンウルフ程度余裕だろう。良いだろ、ランク昇格試験受けていいぞ」

 

 ひと目見ただけであっさりとそう言ったからだ。

 先程聞こえていた所では命を預かる仕事という事でかなり慎重な人かと思ったが、俺を見て納得したように。

 だが、一応聞いておこう。

 

「いいのか?」

 

「構わん、強すぎるやつが低ランクにいても困るしな。ま、お前なら昇格試験も余裕だろ。んじゃまだ仕事があるんでな、後は頼んだぞ」

 

 それだけ言うとさっさと裏に戻ってしまう。

 それを黙って見送るアリスだったが、完全にギルドマスター、バロウの姿が消えるとテーブルに乗り出して興奮気味に言った。

 

「凄いやんユウ! ギルドマスターがあんなに簡単に頷いた所も、あんなに褒めた事も初めて見たで!!」

 

 興奮冷めやらぬ様子でぐっとガッツポーズをしながら更にまくしたてる。

 

「いやあウチの目は間違ってなかったんやな! これはもうギルド内でもウチの株爆上げ間違いなしやで! これも全部ユウのおかげや! いよ! ランク昇格おめでとう!!」

 

「はえーよ。まだ受けてすら居ねえし」

 

「ギルドマスターが受かるって言ったんや、受かるで。なにせ、見る目はホンマやからな」

 

 そう力説する。

 言ってくれるのはありがたいが、その言い方だと不正をしているように聞こえるだろ。

 

「なにせ、ウチの事を稀有な存在って言ってたしな!! めっちゃ褒められたで!」

 

「……どういう意味で稀有って言われたんだ?」

 

「ん? ええとなんやったかな。なんかとにかく珍しいって言われたんや!」

 

 それは褒め言葉ではないのではないか。

 俺にはその言葉を飲むこむだけの優しさがあった。

 

「まあいいや、それで試験って何をすれば良いんだ?」

 

「えっとな、時期によっても違うんやけど今のランク9の試験は……うん」

 

 書類を確認してアリスはページを見せる。

 

「近くにあるダンジョン。レイヴェルト洞窟の探索や!」

【TIPS】

 レイヴェルト洞窟。

 街の近くにあるダンジョン。以前の事件を参考に定期的に魔獣退治と調査が行われており、以前の予防にはなっている。

 強い魔獣も居ないため初心者向けと言われている。

 しかしそれでも踏破は熟練者でなければ難しいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ